JRA「最強」エルコンドルパサーのNHKマイルC(G1)制覇を振り返る。あの「怪物」と戦えば……
海外で種付け・生産された馬を俗に”マル外”と呼んでいるが、1998年当時はまだクラシックに外国産馬の出走が許されていなかった時代。その流れから、NHKマイルカップ(G1)は「マル外最強馬決定戦」の装いがあり、マル外の陣営はそこを目指すようになっていた。その中でも、とにかく別格の馬であり、競馬ファンがその強さに酔いしれていた馬が1頭。それがあのエルコンドルパサーだ。
エルコンドルパサーは最初から強かった。デビューは東京、ダートのマイル戦。スタートは出遅れて、9頭立てと少ないものの、最後方からの競馬。しかし、直線を向いて鞍上の的場均騎手のゴーサインが出ると、全頭ゴボウ抜きの1着。当然上がり最速で7馬身差の圧勝劇。
2戦目も圧勝する。500万下、中山ダートの1800mでまたも出遅れ後方から進むも、3コーナーから徐々に進出を開始。4コーナーでは3番手につけて直線へ。突き放すとあっという間に加速し9馬身差の圧勝。
3戦目も強い。東京、オープンクラスの共同通信4歳S、マイル戦。当日雪の影響で芝からダートに変更。スタートは3戦目にして初めてうまくゲートを出る。中団前目につけて追走。3コーナーから徐々に進出し、4コーナーは外目をまわり先行3頭に取り付く。直線追い出すと、ダート得意のハイパーナカヤマが最後まで食い下がるも寄せ付けず快勝。3着以下には8馬身差以上をつけて勝った。
4戦目は芝でNHKマイルカップのステップレース、ニュージーランドトロフィー4歳Sに出走。またもや出遅れ後方からとなったが3コーナーから中団まで進出。4コーナーから直線に向かうと外から追い出し完勝。2着に2馬身差だったがまだまだ余裕があった。さらに驚いたことに、レースが終わって引き上げてきたエルコンドルパサーは「すぐ息が入り、ケロッとしていた」(競馬関係者)という。
デビューから4連勝のエルコンドルパサーは、いよいよ「マル外最強馬決定戦」、NHKマイルカップに出走することになる。当日1番人気に支持されたが、2番人気トキオパーフェクトもデビューから4連勝、6番人気シンコウエドワードもデビューから2連勝、三カ月ぶりのぶっつけとなった3番人気ロードアックスもデビューから3連勝。ほかにもマイネルラヴ、エアジハードと錚々たるメンバーとの戦いであった。
前に行く馬がトキオパーフェクトぐらいしかいないため、稍重の馬場での予想タイムは1分34秒台の決着と見ていた。G1のファンファーレが鳴り響き、NHKマイルカップのゲートは開いた。
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