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JRAは何故「炎天下」で長時間パドックを周回させるのか? 日本競馬における「熱中症対策」の矛盾と限界

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 無論、主催者であるJRAもこの状況に指を咥えて見ているわけではない。夏競馬が開催される競馬場の内、最も暑さが深刻な小倉は昨年から、福島、中京、新潟も今年から、パドックにミストを噴霧する装置を設置。新潟にはコース上の待機所付近にも設置され、福島にも今年から装鞍所に屋根が設置されたという。

 さらに国際競馬統括機関連盟によるパリ会議の決定により、装鞍作業が済んだ後、水道水に限っては水を飲ませることが可能となった。しかし、述べるまでもなく過度な水分補給は、逆にレースでのパフォーマンスを落としかねない。せっかくの処置だが、JRAの川崎和巳・獣医課長によると「実際に水を与えることはほぼない」と、そこまで機能していないという。

 こういった実情も含め、競馬における熱中症対策が”限界”を見せているのは、日本の競馬が「スポーツ」であると同時に、極めて厳重な公正が求められる「ギャンブル」であるからに他ならない。

 その最たる象徴が、パドックの存在だ。

 レース前に出走馬がパドックを何十周も、何十分も延々と歩き回るのは、日本の競馬における”日常”だ。しかし、こと純粋なスポーツという観点から見れば、これほど無意味な行為もないだろう。特に現在のような酷暑で、その負担が決して小さなものでないことは、誰でも容易に想像できる。

 出走を間近に控えたサラブレッドが、パドックを長時間周回させられているのは、偏に馬券を購入するファンのためである。ただ、本当に「あれだけ何十周も回り続ける必要があるのかどうか」は疑問だ。

 例えば、凱旋門賞(G1)が開催されるフランスのロンシャン競馬場(現パリロンシャン競馬場)では、日本と同じように馬券が発売されているが、凱旋門賞のレース前でもパドックは「2、3周すれば終わり」というのがお馴染みの光景だ。

 パドックは、いわば”ファンサービス”の一環と言えなくもないが、時間縮小など改善の余地はまだまだ残されているように思える。

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