Mリーグ・渋谷ABEMAS松本吉弘「人生最大の苦境」を語る。「僕にとっては『今』が大事な時期」試練の先に見据える未来像
――松本さんが南1局の親番で8,000オールをアガッて一時、5万点あった試合ですね。最終的に藤崎智選手(KONAMI麻雀格闘倶楽部)に捲られての2着でした。
松本 本当に針の穴に糸を通すようなことかもしれなかったんですけど、後で見返すと、僕の中では「このパターンならトップ獲れたかもな」っていう“道”を見つけてて。上手く行けば(逆転の決め手となった)「藤崎さんの6,000オールを阻止できたかな」と。勝又(健志、EX風林火山)さんへのアシストを、もう一発打てていれば……。
――難しい判断だったと思います。シーズン開幕からここまで、かなり厳しい状況が続いていますが。
松本 チームメイトや藤田(晋)監督から、細かいところは(修正点が)あるけど「全体的な内容は良い」と言ってもらってたんです。正直、自分の中でも「やれてるな」という感覚があったんですけど、実際にこれだけ負けると訳が分からなくなってきて……。
――プロになって、これだけ負けが込んだ経験はない。
松本 プロどころか、アマの時代も含めた麻雀人生で「初」ですね。自分の1牌1牌の選択が「もう、すべて間違ってるんじゃないか」っていう気分になるんですよ。自分では正しいと思ってて、みんなも正しいって言ってくれるんですけど、それでも「根本から間違ってるんじゃないかな」っていう気持ちに押し潰されそうになってしまって……。
――試合後の反響や、注目度が高いMリーグだからこその恐ろしさ。
松本 そうですね。今シーズンは自分で「ツイてないな」って思うところもあるんですけど、プロである以上、運だけで片づけられないところもあって。これだけ負けるということは「自分の戦術の中で、どこかが崩れてしまっているんじゃないか」という思いが凄く強くて。そこからは1戦1戦、崖から崩れ落ちそうになりながらも、1つ1つ確かめながら戦っていた感じですね。
――そして、ようやく上向いてきた。先日は、本当に惜しい2着でした。
松本 あの試合は、そうしてやっとたどり着いた8,000オールだったんですね。実はそれ以外の場面でも、かなり“見えて”て。勝てなかったのは悔しいですけど、一時よりは「落ち着いて打てたな」とは思いました。
――何かきっかけのような出来事があったんでしょうか?