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萩原聖人「95%は辞めるつもりだった」Mリーグ「引退」について告白……歴史的大敗からの逆襲のカギは原点回帰。今一度考えるべき「雷電の麻雀」とは

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歴史的大敗を喫したTEAM雷電。萩原聖人は何を思う

「おそらく10年、15年やって1度あるくらいの負け方だと思うんですけど、それがウチ(雷電)に来ちゃったなと……ただ、その事実は当然、重く受け止めています」

 Mリーグ2021-22シーズンで開幕3連勝という最高のスタートを切ったTEAM雷電。今回こそ待望のファイナル進出へ絶好の機会だったが、待っていたのはあまりにも残酷な運命だった。

 終わってみれば▲1256.1という歴史的な大敗。いつか来る追い風を信じながら最後の最後まで必死に腕を振り続けたが、逆風を跳ね返すことは最後までできなかった。

「雷電の麻雀は面白いんです!」

 魅せながら勝つ――。Mリーグ8チームの中で、最も明確なチームコンセプトを持つTEAM雷電。だが、結果だけを見れば、麻雀界を代表するトップ中のトップたちを相手に「理想」を実現するためのハードルは、想像以上に高かったと言わざるを得ない。

 やはり理想は所詮、理想に過ぎないのか。TEAM雷電は、コンセプト自体を変えるべきなのか。そもそも「魅せる」とは、何なのか――。

 約4か月後にやってくる来シーズンで、TEAM雷電はどうあるべきなのか。どん底からの逆襲は、「この男」の復活をなしには絶対に成し遂げられない。

 萩原聖人(日本プロ麻雀連盟)に話をうかがった。

自分の中では95%は辞めるつもりだったんです

 

「(来期について、チームスポンサーの)電通さんが『このメンバーで来期もやりましょう』と言ってくださったので。それはすごくありがたいなと思っています」

 Mリーグに限らず、シーズンで大敗を喫した以上、抜本的な改革を目指すチーム首脳陣が、選手の解雇を含めた大ナタを振るうシーンは、プロ野球やJリーグでも決して珍しいシーンではない。

 だからこそ筆者は、まず「Mリーガー萩原聖人」に取材できたことに感謝していた。今回のようにスポンサーの電通が続投の意思を示したとしても、矜持を重んじる萩原の性格や立場上、チームの不振の責任を取って引退する可能性があると思っていたからだ。

「今だから言える話ですけど、実は昨シーズンがそのつもり(引退する)でした」

 萩原が“引退”の決断を下したのは、2020-21シーズン終了後だった。「責任とかじゃないですけど、僕は雷電のドラ1ですし『僕が辞めるのが一番いい』と思って。藤田(晋、Mリーグチェアマン)さんや、森山(茂和、日本プロ麻雀連盟会長)さんとも話し合いました」。雷電が前へ進むために、低迷するチームの“けじめ”をつける決意を固めていたという。

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今だから明かせる萩原が一度はMリーグ「引退」を決意した舞台裏

「正直、自分の中では95%は辞めるつもりだったんです。シーズン中にABEMAさんの取材が入るんです(ドキュメンタリー番組『熱狂』)けど、僕はもうカメラの前で『辞める』と言っていたんで。(芸能)事務所のスタッフにも『辞めることになると思います』と報告していました。もちろん寂しいですし、こういう形で終わるのかと思っていたんですけど……」

 それでも、ギリギリのところで踏みとどまったのは、藤田チェアマンらMリーグの関係者や雷電のスポンサー電通の意向、そして「ユニバース」と呼ばれる雷電ファンの声だった。

「これは僕の救いというか、言い訳であり、拠り所でもありますが、それでもこんな僕を応援してくれている人がたくさんいるんですよ。『あなたの麻雀が好きです』『あなたがいるからMリーグを見始めました』とか言ってくださる人がいて、だからこそ自分らしくというか、何十年も続けてきた自分の麻雀、ファンが好きになってくれた麻雀を打つことが僕の責任なのかなと」

 萩原聖人の麻雀。長年にわたってアマチュアの最高峰に君臨し、多くの人々に愛されてきた麻雀だ。

 しかし、最近は「萩原の麻雀はプロには通用しないのでは」という声を聞く機会が増えた。Mリーグで結果が出ていない以上、そういった声が大きくなるのは仕方ない。実際に、ここ数シーズンの萩原は批難されても仕方のない成績だった。

 だが、それで単純に「萩原聖人の麻雀」がプロに通用しないという見解は、いささか早計と言わざるを得ない。

全員が後のMリーガーだったRTDリーグ2018

 

 Mリーグが発足する以前、ABEMAにおける麻雀チャンネルの看板に「藤田晋invitational RTDリーグ」という大会があった。トッププロが所属団体の垣根を超えて戦うリーグという意味では、Mリーグの前身にあたる麻雀界最高峰の舞台である。

 萩原はその3年目にあたるRTDリーグ2018に参戦。当時、アマチュア最強と呼ばれ、トッププロと何度も戦っていた萩原だが、その多くは単発的な対局であり、こうした長期のリーグ戦で矛を交えるのは初といってよかった。

 だからこそ、果たして萩原の麻雀は「本当の意味でトッププロに通用するのか」と大きく注目された。だが、萩原はそこで互角以上の戦いぶりを見せている。

 ちなみに下記が、萩原が参戦したRTDリーグ2018・BLACK DIVISIONのメンバーである。

小林剛(U-NEXT パイレーツ ドラフト1位)
瀬戸熊直樹(TEAM雷電 ドラフト2位)
白鳥翔(渋谷ABEMAS ドラフト2位)
内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ ドラフト1位)
萩原聖人(TEAM雷電 ドラフト1位)
松本吉弘(渋谷ABEMAS ドラフト3位)
多井隆晴(渋谷ABEMAS ドラフト1位)
村上淳(赤坂ドリブンズ ドラフト2位)
※予選最終順位順

 出場選手全員が後のMリーガーであり、それも現在のMリーグ8チーム中、4チームのドラ1位が含まれるという、まさに最高峰のレベル。そんな中で、初参戦だった萩原は27試合(ちなみに昨シーズンのMリーグでは22試合の出場)を戦って▲31.5の5位。上位4人が進出するセミファイナルには惜しくも届かなかったものの、堂々たる戦いぶりを見せている。

 このRTDリーグ2018のシーズンが終了すると、入れ替わるようにMリーグが発足。日本プロ麻雀連盟の門戸を叩き、プロ雀士としてのキャリアをスタートさせた萩原はTEAM雷電からドラフト1位指名を受けてMリーガーとなった。

 Mリーグ開幕初年度、つまり2018-19シーズンは▲61.0で21人中13位とまずまずの結果に終わった。しかし、周囲の期待も大きい分、決して満足という結果ではなく、この頃から萩原のMリーグで勝つための試行錯誤が始まったのではないだろうか。

 ただ、これはここまで「萩原聖人の麻雀」を貫くことで勝利を積み上げてきた萩原にとって初めての試みであり、同時にその後の“迷走”に続く入り口でもあった。

 その顕著たる例が、Mリーグのオフシーズンに行われたRTDトーナメント2019だ。

 この年から従来のリーグ戦ではなく、トーナメントとして開催されるようになったRTD。予選に参戦した萩原は、なんと全4試合でアガリ0という信じられない敗戦を喫している。当時「1回もアガれない日ってあるんだなと思って。でもやっぱり何かが足りないから、こういう日がある」(ABEMA TIMES)と語っている萩原だが、まさにその「何か」を探す旅は始まったばかりだった。

「結果が出ない中で、結果が出ないなら『ちょっと変えてみようかな』と思ったり、実際に新しい考え方を取り入れてみたりしたんですが、やっぱり改めて『できない』なと……。自分はそういう部分は不器用なんだなと」

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TEAM雷電が勝つために、現状に満足するわけにはいかなった。だが……

 自分の麻雀を崩してでも結果を追い求めた萩原は、意外なほど苦しんだ。「どんなに弱い人でも、たまにプラスになるのが麻雀なんですけどね。こんなに長く、たくさん負けたのは人生でも初です」。その後の萩原は2019-20シーズンが▲251.5、2020-21シーズンが▲460.8、そして2021-22シーズンも▲394.0と信じられないような大敗を繰り返した。

 一体この間、萩原の麻雀に何が起こっていたのか。最も大きな変化が見られた1つが副露率だ。

歯車が狂いだした萩原聖人の麻雀

 

 例えば、RTDリーグ2018における萩原の副露率は19%(18.8%)だった。これは昨シーズンのMリーグでいえば、KONAMI麻雀格闘倶楽部の佐々木寿人(17%)、セガサミーフェニックスの茅森早香(18%)、U-NEXTパイレーツの瑞原明奈(20%)などとほぼ同じだ。

 しかし、Mリーグにおいては通算で13%(Mリーグ成績速報(非公式)より)、昨シーズンに至っては12%と約7%も減少している。たかが7%だが、例えば赤坂ドリブンズの村上淳(16%)とU-NEXTパイレーツの朝倉康心(24%)の副露率の差が8%といえば、少しはその変化の大きさが伝わるかもしれない。

「『もっと鳴いた方がいい』という人もいますけど、黒沢は鳴かなくてもあんなに強いじゃないですか。『それは黒沢だから』というのは暴論だと思いますし……」

 ちなみにRTDリーグ2018で萩原が副露した際の平均打点は2507点と意外なほど低い。これはつまり、打点の見えない手を鳴いて早くアガることで相手の本手を潰す、いわゆる“捌き”のために副露する傾向があったことが垣間見える。これはU-NEXTパイレーツの小林の代名詞「1000点」と同様のコンセプトだ。萩原は本来、豪快な魅せる麻雀を披露していた一方で、こうしたクレバーな側面を持ち合わせている打ち手だった。

「これまでは勝っても負けても自分のせい。自分1人で完結できてましたから」

 では具体的に一体何が、萩原の麻雀を狂わせてしまったのだろうか。

「雷電の麻雀は面白いんです!」冒頭でも記載した通り、TEAM雷電はMリーグ8チームの中で、最も明確なチームコンセプトを持ったチームだ。そして「雷電の麻雀」とは「魅せながら勝つこと」を目的とした萩原聖人、瀬戸熊直樹、黒沢咲、昨シーズンから加わった本田朋広の4人が織り成す麻雀である。

 しかし、例え同じ方向を向いていたとしても、4人はそれぞれ異なる戦術や価値観を持った選手である。だが、その一方でTEAM雷電の所属選手には「雷電の麻雀を体現する」という、あまりにも強烈な共通のコンセプトが存在している。

 萩原はいつしか、これまで1人で培ってきた「萩原聖人の麻雀」を「雷電の麻雀」に重ね始めていたのではないだろうか。

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「雷電の麻雀」とは何なのか。そして、どうあるべきなのか

「それは正直、あると思います。自分でも『これ、仕掛けた方がいい』って思っている時は、当然あるんですよ。でも、それは『雷電の麻雀として、どうなのか』とか考えてしまったりするわけです。それで声が出ないまま後手後手に回ってしまう局面は結構、ありましたね」

「雷電の麻雀」を体現しようとする中で、萩原が最も影響を受けたのは黒沢の麻雀だった。

「そもそも雷電のチームカラーって、どうやって生まれたんでしょうね。じっくりと手を作って高打点をアガるのが『雷電の麻雀』と言われていますが、それを体現できてるのが黒沢。もちろん、彼女は何一つ悪くないんですけど、結果が出てたこともあって、そこに僕らが引っ張られたイメージはあります」

 全Mリーガーの中でも、圧倒的に低い副露率。黒沢の「セレブ麻雀」と呼ばれる“異端”の麻雀は、今なおMリーガーを含めた全国のプレーヤーに「鳴かない」という選択肢の可能性を提示し続けている。

 そんな黒沢は、不振のチームを結果で牽引し続けた。昨シーズンこそ不発に終わったが、Mリーグ創設から3シーズン連続でプラスだったのは、多井(渋谷ABEMAS)と寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)、そして黒沢の3人だけである。

「『じゃあ、何を変えればいいのか』ということも見えなくて。なんでこんなに勝てないんだろうなっていうところで、答えが出ないんですよね。今度はこういう風に打てば勝てるというのも全然なくて『麻雀って本当に難しいな』と」

 そんな中、同じチームメイトとして黒沢の麻雀を間近で見てきた萩原が、1つの「答え」として彼女の影響を受けるのは、いわば仕方ないのではないだろうか。魅せる麻雀・面白い麻雀を目指しながらも、不振にあえぐチームを救えるものは、やはり結果に他ならなかった。

 だが、その試みが萩原をさらなる深みへと落とし込むことになってしまう。

我流だからこそ、揺らいだ「軸」

 

「声が出ない時があるんですよ。鳴かなきゃいけない、アガれないことはわかっているんですけど、鳴かないことが体の中に染み付いちゃってるのか『これは良くないな』と思いながらも、なかなか変えることができていない面もあります」

 自分のバランスが失われていることは自覚していた。しかし、何事も新しい何かを取り入れるためには、今持っている何かに別れを告げなければならない。「そもそも僕の麻雀は我流で、プロが学ぶような基礎がない」と語る萩原は、もしかしたら「萩原聖人の麻雀」を保つ上で失ってはならない根源的なものまで手を離してしまっていたのかもしれない。

「黒沢だけじゃなくて、Mリーガー32人がいて、皆それぞれに勝ち方とか正解があって、どれが正しいんだろうと。たろうちゃん(赤坂ドリブンズ、鈴木たろう)とか、昔から僕のことを知ってる人は『萩原さん、もっとイケイケで打った方がいいですよ』って言ってくれるわけですよ。でも『そうは言うけどさ……』と思いながらね」

 まさに暗中模索。それでも時が止まってくれるはずもなく、悩んでいる中で次の試合が、そして次のシーズンがやってくる。そうして萩原が迎えたのが、昨シーズン……つまりは4年目のシーズンだった。

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集大成に据えた昨シーズン。積み上げてきたことを出し切れたからこそ見えたもの

「麻雀の怖さを改めて知ったシーズンでしたね」

 萩原はこの4年目を、Mリーガーになってからの3年間の集大成と定めていた。しかし、結果だけを見れば▲394.0と、これまでと同様に打開策を見い出せないままシーズンを終えてしまったように見える。

 しかし、萩原から出たのは意外な言葉だった。

「昨シーズンに関しては、僕自身の中であまり反省点がないんです。一局、一局で『あれ、やってしまったなあ』とか『あんなことしたから……』というものが、あまり思い当たらないんですよね。さすがの僕も3年間、色々苦労してきた中で、自分なりに分析したものがありましたし、その上で、どの試合もそれなりには打てていたなと」

 萩原は「もちろん親被りが多いとか、リーチをかけたけど待ちがヤマに残ってないとか、そういう不運はあったんですけど」と他の敗因を挙げながらも、これまでMリーグを戦った3年間の集大成としては「ある程度はできていた」という。

 それでも結果が出なかったということは、あまりに残酷だ。しかし、それは同時に、萩原に「この3年やってきたことが正解ではなかった」という1つの結論をもたらした。

「来シーズンはめちゃくちゃ気楽に打てると思うし、そうしようと思っています。たくさんの選手がいて、自分とは麻雀への価値観が違う選手もいますけど、そういったものをあえて気にせずに自分の麻雀を貫く『原点回帰』のシーズンにしようと。一番大事なのは、それなのかなと気付きました」

 原点回帰――、いつの間にかバランスを失っていた「萩原聖人の麻雀」の復活である。それが本当にトッププロに通用するのかは、後のMリーガー8人がぶつかったRTDリーグ2018での戦いぶりが1つの指針になっている。

 ただ「萩原聖人の麻雀」は、決して勝ったわけではない。堂々の戦いぶりを見せたRTDリーグ2018でも結果こそ▲31.5と紙一重だったが、上位4人が残るセミファイナルへの進出が叶わずに敗れた。まだ「らしさ」を見失っていなかったMリーグ初年度でも▲61.0と、結果でチームに貢献できたわけではない。

原点回帰からの復活へ、「新たな可能性」は意外なところに

 

 だからこそ、萩原はさらなる強さを求め、自分の麻雀をアレンジしてでも試行錯誤を繰り返すことを決断した経緯がある。たとえ原点回帰をしたところで、来シーズンの成績が劇的に向上するとは当然、本人も考えていない。

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やりきったからこその原点回帰。そして「新たな可能性」は意外なところに

「実は今、連盟さん(日本プロ麻雀連盟)主催の十段戦というタイトル戦に出ていて、そこで行われてるのが一発も赤もウラもないルールなんですね。点数が動かないからアガリが偉いルールで、結構『鳴き』が重要。Mリーグとは全然違うルールですけど、その中で僕はかなり鳴きを多用してるんですよ。

 それで今、九段戦まで勝ち上がっていて、すごくいい感覚で麻雀が打てているんですよね。もちろん、そこに向けてすごく練習もしていますし、つい先日も本田と練習したんですけど、それが今の僕にとってすごくいい練習になっているのかもしれません。これが何かMリーグに繋がる部分があるんじゃないかなと」

 この話に、あまりピンと来ない人も多いのではないだろうか。何故なら、萩原本人も話している通り、一発も赤もウラもない十段戦のルールと、Mリーグのルールはあまりにも掛け離れているからだ。同じ麻雀でも「異種競技」と言ってもいい。

 だが実は以前、筆者が取材した際に萩原の復活について、十段戦と同じく一発も赤もウラもないルールの「日本プロ麻雀連盟のリーグ戦」に出た方がいいと話した選手がいたことを思い出した。

 それを萩原に伝えると「僕の麻雀はプロが学ぶような基礎がないですが、その基礎の部分を十段戦を通じて学んでいけば、自分の我流の麻雀と上手く融合できるんじゃないかなと」という答えが返ってきた。

「Mリーグに参戦して、色々考えて昨シーズンはその集大成として戦ったけど、結果が出なかった。だからそれを150%受け入れて、結果が出なかった以上、今まで試行錯誤してきたことを一度リセットして、もう一度『1年目が始まるんだ』くらいの気持ちで。

 あの頃にあったワクワクとか新鮮さを感じながら、もう一度『自分の麻雀』をぶつけてみようって思ってます。そういう意味で、来シーズンは『もっと楽に戦えるんじゃないかな』と楽しみにしています」

 そう改めて原点回帰を強調した萩原。それは同時に萩原自身がMリーガーになった理由にも立ち返るきっかけになったようだ。

「本当に自分が何を求めてMリーガーになったのか。50代を迎えて、新しいことにチャレンジする姿を、世の中の同世代の人たちに見せようと思って。

 僕自身も役者という仕事をずっとやってきて、その面白さや新鮮さを再認識するためにMリーガーになった部分もあります。だから、ある程度の役職まで上り詰めたお父さんや、子育てがひと段落着いたお母さんとか、そういう人たちに『もう1回、ここから一緒にチャレンジしてみましょう』みたいなメッセージを送れればいいなと。

 今のままじゃ、ただ苦しんでいる姿をお見せしているだけなので(笑)。『もっと楽しみながらシーズンを戦えたらいいな』と思っています」

 ▲1256.1からの逆襲。来シーズンのTEAM雷電の優勝をイメージできる人は、あまり多くはないだろう。もしかしたら「ユニバース」と呼ばれる雷電ファンでさえ、優勝してほしいと思いながらも、本当に優勝できるとは考えていない人もいるかもしれない。

「(昨シーズンまでを)いい苦しみをしたなと思いたいです。あれだけ負けて、もう失うものはないですし。チームとしても、あれだけ負けたのに、また同じ4人で戦えるというのは大きい。あの逆境を味わったからこそ、今まで以上に明るくて、いいチームになるんじゃないかなという気はしています」

 しかし、誰もが難しいと感じている状況だからこそ、その逆境を跳ね返してTEAM雷電がMリーグの頂に立ったときにもたらされる感動は、どのチームよりも大きなものになるはずだ。(敬称略)

(文=浅井宗次郎/撮影=尾藤能暢)

<著者プロフィール>
 オペックホースが日本ダービーを勝った1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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