多井隆晴×佐々木寿人、Mリーグ開幕直前「No.1対談」実現! 通算「+922.1pt」VS「+803.1pt」2大エースは何故勝てるのか……見えた「強者」の共通点
寿人:一番は勝負強さですね。そして、頭の回転の速さ。解説とかを聞いてても「よく、それだけ色々思いつくな」って思う。そういうのが試合で活きてくるわけですよ、いろんな局面に対応できるし。このデータを見ても隙がない。
リーチ打ったら「ツモられそうだな」ってのが、あるじゃないですか。控室で試合を見てても多井さんがリーチを打ったら「ああ、なんかアガりそうだな」って。そういうのを持ってる人っていうのが、やっぱり強いんじゃないかなと思いますけどね。
多井:俺は寿人の方が一杯アガってるイメージあるけどな。ドラも乗るし(笑)。でも寿人がこれだけ勝つっていうのは、毎年のKONAMI(麻雀格闘倶楽部)の状況も関係してると思う。
僕が最初のシーズンでMVP獲った時も、白鳥(翔)が負けてたでしょ。あの時、僕はトップを狙う比重を少し上げていたんですよ。もちろん、ラスになる確率も高くなるんだけど、それがたまたま上手くいったんだよね。
――白鳥さんが冗談で、多井さんのMVPは「俺のおかげだ」っておっしゃられていました。
多井:そうそう。だから、もしKONAMIの調子がずっと良ければ、寿人もトップが減る代わりにラスも減る麻雀を打つと思うよ。
寿人:チームが余裕のある状態にあまりなったことがないんですよ。
――確かにKONAMI麻雀格闘倶楽部は何故か、毎シーズン序盤で出遅れて……後半に猛烈な勢いで巻き返してくるイメージです。
多井:今シーズンのウチみたいに途中で400、500って浮けば、寿人も戦い方を変えてくると思うよ。このスコア(3シーズンで合計+803.1pt)は、寿人の元々の雀風+チームの状況が招いた結果だろうね。
――なるほど! では逆に多井さんから見た「寿人さんの強さ」は?
多井:麻雀って隅々まで研究したら、本当に細かい色んな知識がある。でも「正直、これってどこまで勝敗に関係してるの?」って思うものも一杯あるわけ。僕とか、他の麻雀プロは、そんなに意味がない細かいところまで考えちゃってるんですよ。でも、それって無駄になることも多くて……。
――寿人さんは以前から「自分が勝った試合しか見ない」と公言されていますね。ちなみに2着だった試合は見るんですか?
寿人:2着の試合はまあ……見てもいいかな。
多井:なんだよ、それ(笑)!
寿人:3着はもうダメですね。自分がアガってないと面白くなくて、まったく見る気がしない……。
――らしさ全開ですね(笑)。多井さんは以前から、麻雀はめちゃくちゃ頑張って勉強しても、逆に弱くなることもある競技とおっしゃられています。
多井:そうそう。ホントは僕らも極力無駄なものを削ぎ落としたいんだけど、どれが本当に無駄なのかがわからない。正直、あまり無駄なことについて時間を割きたくないんだけど、その一見無駄なことが実は僕にとって大事なことで、いきなり勝てなくなったりするのが怖いからできない。
その点、寿人は何が大事で、何がそこまで大事じゃないかをちゃんと見極めてる。無駄がないんだよね。だから、試合中の打牌もめちゃくちゃ速いでしょ。
寿人:多井さんは元々、連盟(日本プロ麻雀連盟)にいたじゃないですか。その時代はバンバンバンバン速かったんです。
多井:昔はねwww
寿人:でもそれが「なんで、あんなに遅くなっちゃったんだろ」って僕は思うんですけど……。
多井:それは(Mリーグ指定5団体の1つ)RMUを造ったのが大きいかな。これまでずっとRMUでトップのところで戦ってるのが俺一人だったから「自分がここで変なミスをしたら」「俺が完璧でないと」って思っちゃうようになった。RTDリーグ(藤田晋invitational RTDリーグ)の頃はホント、そんな感じだったね。
寿人:その気になれば、多井さんはめちゃくちゃ速く切れるんですよ、実は。
多井:今でも時間打ち切りとかだと、めちゃくちゃ速いよ(笑)。でも、強さはそんな変わらないんだよね。あんまり考えずに打ってる時の方が調子が良い。Mリーグで好調なのは、もしかしたらRMUの重責から少し解放されてるからかも。
――MリーグではRMUの選手であると同時に「渋谷ABEMASの多井隆晴」でもあるわけですからね。
多井:僕だけじゃなくてABEMASのみんなで勝てばいいって思ってるから。あと、今シーズンから松ヶ瀬(隆弥、RMU)が入ってくるのも嬉しいね。(EX)風林火山はチームカラー的に向いてると思う。
――今シーズンの多井さんも期待できそうですね。他に、お2人が共通しているところはありますか? できればMリーグの勝ち方というか「強者」の共通点のようなものが見えると嬉しいのですが。