【RTDリーグ2018石橋伸洋インタビュー】惨敗の過去2年「黒いデジタル」は何故「猫」だったのか? 代名詞・国士無双「放銃上等」驚きの戦略とは
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ほぼ例外なく人一倍の負けず嫌いが集った麻雀のトッププロに「敗戦」を振り返ってもらうのは、決して心地いい作業ではない。ましてや『RTDリーグ』は一年間を掛けて争う長期戦。そこでの惨敗は、すなわち数多くの敗北の結果だ。敗北や失敗から得られるものは決して小さくはないが、それでも自ら進んで人に話すには骨が折れる。
今回、石橋伸洋に話を聞く上で最も懸念していたのが、まさに「それ」だった。ただ、当たり障りのない質問に終始していては、インタビューの意味がないのが辛いところでもあった。
しかし、石橋はそんな悩みをいい意味で裏切ってくれた。時々笑い話を交えながら、理路整然と敗北の2シーズンを振り返る。悔しくはないのか、そんなはずはない。楽観的な”良い人”なのか、それも少し違うだろう。
僅かな時間を共有して感じたのは「自信」だ。過去2シーズン、そして今シーズンも決して楽観視できる状況ではない。だが、それでも石橋は常に進化を求め、貪欲に”ベスト”を追求してきた自分の麻雀に対して、確固たる自信を持っている。そして「これで通用しなければ……」という覚悟を、すでに固めているからだと感じた。
「やってる方は大変ですよ(笑)」
インタビュー後、気休めのエールを送った際に帰ってきた言葉は、紛れもない本音だろう。
だが、そこに悲壮感はない。かつて「神童」と称された男の現状は厳しく、下馬評も決して高くない。だが、シーズンはまだ折り返しを過ぎたばかり。「黒いデジタル」は、逆襲の機をしっかりと見据えている。今度は「猫」ではなく、「虎」視眈々と――。(敬称略)※石橋プロはその後の30回戦で56300点の大トップを達成。順位を4位までジャンプアップさせている。
文=浅井宗次郎