JRA騎手課程「挫折」からの華々しい栄転!? 日本人ジョッキーが海外初の年間リーディングの歴史的快挙!

今月5日、カナダのウッドバイン競馬場で今年の開催最終日の競馬が行われ、現地で騎乗する日本人の木村和士騎手が138勝を挙げた。それだけではなく、2位以下に50勝以上の大差をつける独走で日本人初の年間リーディングジョッキーに輝いたというのだから驚きである。最多賞金と最多騎乗数も1位となり、日本人騎手が異国の地で頂点に立ったことは歴史的な快挙といえるだろう。
2018年にカナダで騎手デビューした木村騎手は、デビューから2年連続でカナダのソブリン賞(最優秀見習い騎手賞)を受賞。19年にも米国競馬の年度表彰であるエクリプス賞(最優秀見習い騎手部門)を日本人で初めて受賞するなど目覚ましい活躍を見せていた。
また、カナダでサウジアラビアの王族の所有馬に騎乗したことをきっかけに、昨年冬には王族と専属契約を結んで、カナダで競馬がない期間を利用してサウジアラビアでも騎乗するなど活躍の場を広げており、まさに世界を股にかける日本人騎手の代表格といってもいいほどだ。
今やカナダでトップジョッキーとなった木村騎手だが、過去にはJRAの騎手を目指していたこともあるのだ。しかし、「競馬学校を辞めたことについては、自分が未熟だったということだけですね。いろんなルールがある中で、それができなかったということです」と、当時を振り返っているように、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。
騎手への夢を諦めず、カナダに渡ることになった木村騎手だが、JRA競馬学校時代の経験も礎となったのだろう。
騎手課程の34期生として同期だった一人には、距離誤認騎乗で話題となった山田敬士騎手などもいる。その他には西村淳也騎手、服部寿希騎手が同期で入学しているが、国内での認知度はまだまだ低い。騎乗する国が違うと言っても、国際格付けでは日本と同じ「パート1国」に分類されるカナダ競馬で頂点に立った木村騎手が、同期の中では出世頭となった形だ。
カナダでは他にも、昨年、福元大輔騎手が日本人初のダービージョッキーになり、またマカオで騎乗する元船橋競馬所属の中野省吾騎手が現地のG1を勝利するなど、最近は海外に拠点を置いて活動する日本人騎手の活躍が目立っている。
それらの活躍をうけて、すでに競馬関係者やファンの間では、木村騎手をはじめとする海外で活躍する日本人騎手のワールドオールスタージョッキーズへの参加を望む声も上がっている。また、木村騎手は短期免許を取得し日本競馬で騎乗することが目標のひとつとしており、海外からの逆輸入騎手の活躍が国内のレースでみられる日も遠くないかもしれない。
JRA所属騎手も、先月アメリカで行われたブリーダーズC(G1)で川田将雅騎手が日本人騎手として初勝利を挙げるなど海外で活躍する一方、国内では短期免許で来日した外国人騎手への乗り替わりが頻発し、依然として外国人騎手が重宝される傾向が続いている。
今回の木村騎手の世界での活躍に発奮し、世界のトップジョッキー達にも負けないぐらいの活躍を、他の日本人騎手たちにも期待したい。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。
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