JRA岩田望来「通算200勝&重賞初制覇」の大チャンスも手からスルリ…。アンカツ「着順以外は完璧」重賞の“壁”にまたも屈す、相方は引退間近に

岩田望来騎手 撮影:Ruriko.I

 18日、中山競馬場でターコイズS(G3)が行われた。牝馬限定のハンデ戦らしく、例年荒れ模様となりやすい一戦である。

 今年の激戦を制したのは、M.デムーロ騎手騎乗のミスニューヨークだ。これまで重賞には7回出走していたが、いずれも着外に敗れており本レースが嬉しい重賞初制覇となった。

 一方、惜しくも2着とあと一歩届かなかったのが岩田望来騎手とアンドラステ(牝5歳、栗東・中内田充正厩舎)である。

 道中は中団を進み、直線は馬群をついて抜け出すと一旦は先頭に立つ。勝ったかに思えたのもつかの間、ゴール板手前でミスニューヨークの強襲に屈した。

 敗れはしたものの、アンドラステは今回トップハンデの56.5kgと、牝馬としてはかなり見込まれたハンデを背負っていた。3番人気2着の結果は決して悪いものではない。

 元JRA騎手の安藤勝己氏も、自身のTwitterで「アンドラステは着順以外は完璧。5歳牝馬だけに勝たせてやりたかったけど、ミライには壁が立ちはだかる」とコメントしている。

 実はこのレース、鞍上の岩田望騎手にとっては重賞初制覇とともにJRA通算200勝がかかった大事な一戦でもあった。不名誉な重賞連敗カウンターを「85」で止める大チャンスでもあっただけに、2着とはいえ不本意な結果だったのではないだろうか。

 レース後の本人のコメントも、「馬は応えてくれましたが、相手が強かっただけに悔やまれました。もう少し道中上手く御してあげられていたら、差はもう少し詰まっていたのではないかと思います」と悔しさがにじんでいる。

 岩田望騎手にとって、アンドラステは縁の深い一頭だ。

 コンビを組むのは本レースで9回目。昨年の同レースでは、先行するスマイルカナにハナ差届かず惜しい2着であった。前走の府中牝馬S(G2)も早め先頭に立ったが、こちらも最後シャドウディーヴァが突っ込んできてクビ差の2着と、ツイてないと思わず言いたくなるようなレースが多い。

 アンドラステ自身は、今夏の中京記念(G3)を川田将雅騎手で制し、既に重賞ウィナーとなっている。一部のコメントを抜き取られるのは川田騎手としては心外かもしれないが、「無事に重賞馬になることができて良かったです」というレース後のコメントは、主戦の岩田望騎手からしてみればなんとも複雑かもしれない。

 まだまだコンビの重賞チャレンジは続くと言いたいところだが、そうもいかない事情がある。アンドラステの馬主である社台レースホースでは、牝馬は6歳の3月末までに引退というクラブ規定があるためだ。

 既にタイムリミットまで4か月を切っており、挑戦できたとしてあと一戦というのが現実的であろう。このターコイズSが引退レースとなる可能性も考えられる。

 アンドラステの馬名の意味は「戦いと勝利の女神」だ。文字通り岩田望騎手の勝利の女神となることが出来るのか、はたまたこのままお別れとなってしまうのか。願わくば、最後にコンビの重賞制覇を見たいものである。

(文=鹿取文)

<著者プロフィール>

平日は会社員、土日はグリーンチャンネル三昧の日々を送る。幼少期にグラスワンダーが勝った宝塚記念を生観戦、絶叫する親族にドン引きするも二十年経ち気づけば自分も同じ道へ。逃げ馬の粘りこみが好き。

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