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JRAかつての若手のホープに「再ブレイク」の予感、エージェント効果で二桁人気の大穴を連発…「委員長」川田将雅も認めた腕利きとは

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川田将雅騎手

 昨年143勝を挙げ、自身の悲願でもあるリーディングジョッキーを獲得した川田将雅騎手。「最多勝利」「最高勝率」「最多賞金獲得」を総ナメにし、史上4人目となる「騎手大賞」にも輝いた。

 2022年度のJRA賞授賞式では、「長い間、リーディングを目指して頑張っていく中で、戸崎(圭太)騎手や(クリストフ)ルメール騎手が獲得していった。JRAの生え抜きの騎手として、何とか取り返したいという思いでやってきたので本当にありがたい。心から感謝しています」と感慨深い気持ちを語っている。

 今年も川田騎手の勢いは衰えることなく、一時は横山武史騎手に奪われたトップの座も翌週に早々と奪還。先週末の開催を終えた段階でライバルとの差を広げ、首位固めに入りつつある状況だ。

 快進撃を続ける川田騎手の原動力となっているのが、良質な騎乗馬を集めているエージェントの井上政行氏だ。エージェント、即ち騎乗依頼仲介者とはレースに参加する騎手が馬主又は調教師から騎乗依頼を受けるにあたり、騎手本人に代わって受付を行う者のことである。1名の騎乗依頼仲介者が担当できる騎手の人数には、3名+若手騎手1名という制限が設けられているのだが、これまで井上氏の担当は川田騎手1人だった。

 ある意味“川田将雅専属エージェント”でもあった訳だが、最近になって担当騎手が2人になっていることをご存じだろうか。

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団野大成騎手 撮影:Ruriko.I

 その相手は「乗れる若手」と評価の高い団野大成騎手(22歳、栗東・斉藤崇史厩舎)。これまで挙げた重賞3勝も穴馬(7番人気2勝、5番人気1勝)でもぎ取った腕利きだ。

かつての若手のホープに「再ブレイク」の予感

 落馬による怪我で長らく休養を強いられたこともあり、復帰後の成績は伸び悩んでいたものの、1月末のシルクロードS(G3)で10番人気のファストフォースで2着に食い込んだように調子は上向きつつある。

「ずっとエージェントなしでやっていた団野騎手ですが、最近はレースに対する集中力が増したように感じます。

1人で騎乗馬の管理をしようとすると、例えば調教に乗っている時間や仕事を終えて休養している時間は電話やメールなどの連絡は疎かになりがちですし、調整ルームに入る週末は外部と電話などのやり取りができなくなります。

そうなると仮に騎乗依頼があってもすぐに返事ができないケースもある為、他に流れてしまうことも……。そういったレース以外の事に集中力を削がれるとパフォーマンスが落ちるという話を聞いたことがあります。

ただでさえ団野騎手は自身の休養中に他の若手が台頭し、お手馬が他の騎手に移ってしまうなど、流れもよくありませんでした。エージェントを依頼したのも、そういった負の連鎖を断ち切る目的があったようです。

とはいえ、井上氏の主契約はあの川田騎手。井上氏から『川田騎手に団野騎手を受けていいか相談』し、『団野騎手からも川田騎手にお伺い』を立てたそうです。幸い川田騎手も若手の頃から団野騎手をそれなりに評価していたということで許可が下りたみたいですよ」(競馬記者)

 川田騎手は気になることがあると、大先輩の武豊騎手に対しても意見するといわれる騎手界の学級委員長的な存在。そんな競馬に真摯に向き合うストイックな人物のお眼鏡にかなったのだから、団野騎手はこれから大きく飛躍することになるのかもしれない。

 また先週末に騎乗した馬の顔触れを見ても、未勝利戦を勝ったメイショウコボケなどは河内洋厩舎の馬で井上氏の人脈と思われ、3頭の依頼があった鮫島一歩厩舎もまた同様である。日曜小倉では10番人気で2勝、11番人気で3着と存在感を示した。騎乗馬の質が上がれば、さらなる好成績も見込めるだろう。

 元々関係者からの評価も高く、若手のホープだった団野騎手。これから再浮上するとともに、春の重賞戦線でブレイクしてもおかしくはない予感がある。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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