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JRA武豊「本来の力を出せていません」噂の超大物がまるで別馬…ドウデュース以上と噂された大器が崖っぷち、復活に立ちはだかる血の宿命

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武豊騎手

 先週末の京都記念(G2)は、武豊騎手の1番人気ドウデュース(牡4、栗東・友道康夫厩舎)が次元の違う走りでライバルを圧倒。G1馬3頭が一堂に会した一戦を余裕のある手応えで差し切った。

 また、ダービー馬の京都記念優勝は75年ぶりというオマケまでついた。令和の怪物には過去のジンクスなどまったく関係がなかったということだろう。

 とにかくこの日のドウデュースは、まったく危なげのないレース運び。スタートも出たなりで鞍上の武豊騎手も焦るようなところはない。レジェンド曰く「2コーナーから向正面にかけて少し行きたがった」ようだが、こちらについても「それだけ元気だということ」と一笑に付した。4コーナーを回った頃には、先団を射程圏に捉えるポジションにつけており、ファンの多くが「あ、勝つな」と感じたに違いない。

 次走は3月25日のドバイターフ(G1)を予定している陣営だが、この強さならまずは一安心というところ。今年の競馬界はドウデュースとイクイノックスが引っ張ることになりそうだ。

 不可解な凡走が続いたフランス遠征から完全復活を印象付けたドウデュースだが、2歳時には「それ以上」と噂されたライバル候補がいたことは記憶に新しい。

「本来の力を出せていません」噂の超大物がまるで別馬…

 その相手とはロン(牝4、栗東・石橋守厩舎)だ。どちらもキーファーズの所有馬で牡馬と牝馬で性別も異なる。2年前の8月函館でデビュー戦を楽勝すると、2戦目の野路菊S(OP)も2着に4馬身差をつける快勝。牡馬相手に2戦連続のレコード勝利をマークしたのだから、「大物登場か」と期待する声が出たのも当然だった。

 少なくとも当時、2頭のどちらが上かと問われて即答できるかとなると、比較が難しかったことは間違いない。

 ところが、ロンは阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を体調が整わないと回避、その後に右前脚の屈腱炎を発症していることが判明し、長期休養を余儀なくされてしまった。ロンが戦列から離れている間にドウデュースは日本ダービー(G1)を勝利し、同世代の頂点まで上り詰めていた。

 対するロンは、約1年3か月ぶりの復帰となった昨年12月の甲東特別(2勝クラス)で大本命に推されるも2着に惜敗。このときは長期休養明けということもあり、武豊騎手も「負けたのは残念ですけど」としながら、「乗り味抜群だわ」とパートナーの能力を再確認していた。

 しかし、叩き2戦目の西尾特別(2勝クラス)を3着に敗れた際には、マイペースで折り合いに問題がなかったにもかかわらず、「追ってからが案外」とトーンダウン。先週末の須磨特別(2勝クラス)も5着に敗れ、ついには「復帰してから本来の力を出せていません」と手厳しいコメントが出されるまでになったのだから、もはや崖っぷちに近い状況といえる。

 ちなみに須磨特別の3着馬マテンロウスカイは、かつて野路菊Sでロンが4馬身差で千切り捨てた相手でもある。両馬のその後の成長の差はあれども、パフォーマンスは明らかに低下しているだろう。

復活に立ちはだかる血の宿命

 あれだけ強かった馬が、まるで別馬のように連敗を喫した原因は定かでないものの、不治の病といわれる屈腱炎以外にも、もしかしたらシルバーステート産駒ということが関係している可能性も考えられそうだ。

 現在、シルバーステートの産駒で収得賞金トップにいるウォーターナビレラだが、こちらもまたロンと同じく近走は敗戦続き。バトルボーンやセイウンハーデスは健闘している部類だが、全体的に早熟傾向にある産駒が目立っている。こういった父の特徴がロンにも出ているなら、近走の凡走にも合点がいく。

 これが血の宿命というなら受け入れざるを得ないのだが、強かった2歳時のイメージが残る馬だけに、このまま枯れてしまうようなら非常に残念だ。

 父の名誉を守るためにも、何とかもう一花咲かせてほしいものである。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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