
桜花賞(G1)・皐月賞(G1)ともに直近4年で勝ち馬なし…かつての王道ローテが崩壊した現在、トライアルレースの存在価値とは
パンサラッサによるサウジカップ(G1)制覇に沸いた競馬界であるが、国内では早くも春のクラシックシーズンが開幕を迎える。
今週は桜花賞トライアルのチューリップ賞(G2)、皐月賞トライアルの弥生賞ディープインパクト記念(G2)が行われ、来週以降も4月のクラシック本番に向け東西でトライアルレースが組まれている。
しかしながら、チューリップ賞、弥生賞ともに出走予定馬は非常に手薄な印象がある。
昨年の阪神JF(G1)でワンツーしたリバティアイランド、シンリョクカが桜花賞(G1)直行を予定。朝日杯FS(G1)上位組はダノンタッチダウンが皐月賞(G1)直行、ドルチェモアとレイベリングはマイル路線へと向かう予定だ。今週末の出走予定馬で2歳G1の好走経験があるのは、ホープフルS(G1)で人気薄ながら2着に食い込んだトップナイフのみ。栄光のクラシックレースの前哨戦としては、あまりにも寂しいメンツと言わざるを得ない。
かつては「前哨戦を使ってから本番に挑む」というのが競馬の常識であった。春のクラシック路線においても、2018年までは桜花賞と皐月賞の少なくとも一方でトライアルレースを使った馬が優勝していた。同じ三冠馬でもディープインパクトは弥生賞、オルフェーヴルはスプリングS(G2)に、アパパネとジェンティルドンナはチューリップ賞に出走している。
だが、2019年以降は桜花賞、皐月賞ともにトライアルレースに出走した馬の優勝は一度もない。同じように三冠馬を例に出せば、コントレイルもデアリングタクトもトライアルレースを使わずに一冠目を制しているのだ。
近年の春クラシック勝ち馬は、2歳の暮れから3歳の2月までに必要な収得賞金を積み、ぶっつけ本番で春のG1に挑むケースが多いだけに、「前哨戦を使ってから本番」という常識は徐々に薄れつつある。
トライアルレースの存在価値とは…
そうなると、トライアルレースの存在価値を問う声が出始めても驚けないかもしれない。
世界の名だたるビッグレースを制するほど強くなった日本競馬においては、馬産、育成、血統だけでなくレース選びのトレンドも時代とともに変化している。かつての王道が時代とともにそうではなくなった印象は否めないが、それはそれでG1を勝ち負けするようなレベルの馬に限られる。
トライアルに出走して滑り込みで権利取りに成功し、本番で波乱の立役者となる馬もまだまだいることを考えると、すべての馬に同じことがいえる訳でもないだろう。今年のトライアル出走馬から春のクラシックを沸かせる馬が出てくることに期待したい。
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