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ナリタタイシン、アグネスタキオン、エピファネイアなどなど…「複雑過ぎた」ホープフルSのG1昇格の経緯【競馬クロニクル 第36回】

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1年最後のJRA・G1として定着してきたホープフルSだが…

 今年でG1に昇格して7年目。2歳の中距離チャンピオン決定戦として、また各年度の中央競馬で最後に行われるG1として定着してきたホープフルS(2歳、中山・芝2000m)が迫ってきた。

 無敗でクラシック三冠制覇を成し遂げたコントレイル、皐月賞を制したサートゥルナーリアを輩出し、皐月賞と同じ舞台で行われることもあって、翌年のクラシックに直結するG1として年々評価を高めている。

 さて、このホープフルS。中山の2歳G1として施行されるようになるまで、非常に複雑な過程を経ていることをご存じだろうか。

 筆者のようなオールドファンは、中山で行われるオープン特別の名称として馴染んだものだったが(1988~2013年に施行)、それがそのままG1に格上げされたわけではないところが少し面倒なのだ。

 ホープフルSの源流は意外なことに、1984年に創設された『ラジオたんぱ杯3歳牝馬S(G3、阪神・芝1600m)にある(以下、レース名中の「3歳」は現在の2歳を表す)。

 これが1991年に牡馬・せん馬を対象とする『ラジオたんぱ賞2歳S』になり、施行距離が2000mに改められた(1993年に牝馬を含めた混合競走となる)。その後、ラジオたんぱの愛称の変更にともなって、名称が『ラジオNIKKEI賞2歳S』に変更された。さらにはJRA肝煎りの”2歳戦改革”が断行された2014年に『ホープフルS(G2)』と改称し、条件も中山の芝2000mに変更。2017年に国際格付けでG1への昇格が認められ、現在のかたちになったのである。

 さらに深堀りすると、こうした一連の改変は2歳馬のレース体形の整備という名目によって行われていることが分かる。

数々の名馬を輩出したラジオたんぱ杯3歳S

 2歳チャンピオン決定戦は、1949年に創設された関東の『朝日杯3歳S』(中山・芝1100m)と、関西の『阪神3歳S』(阪神・芝1200m)、東西に分けた2レースに始まった(両レースとも1600mになったのは1962年から)。

 両方とも牡牝混合のレースだったが、先に記したように、1991年の”2歳競馬改革”を機に性別の違いを明確に分けるため、朝日杯は混合のままキープし(実質的には牡馬・せん馬が対象となる)、阪神3歳Sを『阪神3歳牝馬S』として牡牝それぞれの2歳チャンピオン決定戦とした(『朝日杯3歳S』は2001年に名称を『朝日杯フューチュリティS』、『阪神3歳S』は『阪神ジュベナイルフィリーズ』と改められた)。

 東西の統一や、牡牝の区分けなど、一応の整備が進んだ中央の2歳競馬。しかし世界的趨勢として、マイルよりも距離が長く、クラシック競走に準じた距離のレースを増やしてほしいという現場の要望が年々強まっていく。そこでJRAが打った次の手が『ホープフルS』の創設だった、というわけである。

 ここまでに挙げたレースからは翌年のクラシック戦線で活躍する馬を多数送り出しているのは当然のこと。だが一方で、現在のホープフルSへと繋がっていくラジオたんぱ杯2歳S(ラジオNIKKEI杯2歳S)はG3、G2だった1991~2013年の間、レースのグレードが朝日杯のG1に比べて劣っていたにもかかわらず、翌春を意識して2000mの競馬を使う馬が少なくなかったため、しばしば将来のG1ホースが勝利を収めている。

 1992年の勝ち馬ナリタタイシンは翌春、ウイニングチケット、ビワハヤヒデとの”3強”を形成し、クラシック三冠のうち皐月賞を制した。

 1994年に勝利を収めたタヤスツヨシは、サンデーサイレンス産駒として初めて日本ダービーを制することになる。

 1996年の勝者メジロブライトは、本格化するまで時を要したものの、1998年の天皇賞・春(G1)を勝って“長距離王国”と呼ばれた「メジロ」の牙城を守った。

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菊花賞、ジャパンCを勝ったエピファネイア

 上記以外にクラシックを制した馬には(他に勝利したG1も併記)、1998年のアドマイヤベガ(日本ダービー)、2000年のアグネスタキオン(皐月賞)、2002のザッツザプレンティ(菊花賞)、2008年のロジユニヴァース(日本ダービー)、2009年のヴィクトワールピサ(皐月賞、有馬記念、ドバイワールドC)、2012年のエピファネイア(菊花賞、ジャパンC)、2013年のワンアンドオンリー(日本ダービー)、2016年のレイデオロ(日本ダービー、天皇賞・秋)がいる。

 その他にも、2004年のヴァーミリアンはダートのG1(Jpn1)を9勝する大活躍を見せ、また2003年の覇者コスモバルクは、故・岡田繁幸さんのこだわりで地方のホッカイドウ競馬に所属したままJRAのレースに挑戦し続け、2006年にシンガポール航空インターナショナルC(G1)を制する快挙を成し遂げている。

 今年は凱旋門賞馬ソットサスの全弟という世界的良血のシンエンペラーが2戦2勝で出走するなど、年々プレゼンスを増しているホープフルS。古き日の勝ち馬たちに思いを馳せながら、また、来年のクラシック戦線を頭に浮かべながら、2023年最後のJRA・G1を楽しみたい。

(注1)2020年は東京大賞典(29日)と日程が被るため、26日に繰り上げて施行された。

三好達彦

三好達彦

1962年生まれ。ライター&編集者。旅行誌、婦人誌の編集部を経たのち、競馬好きが高じてJRA発行の競馬総合月刊誌『優駿』の編集スタッフに加わり、約20年間携わった。偏愛した馬はオグリキャップ、ホクトヘリオス、テイエムオペラオー。サッカー観戦も趣味で、FC東京のファンでもある。

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