「承認欲求を満たす場ではないぜ」という意見も…今年も「賛否」が分かれたJRA賞、世界最強馬イクイノックスも三冠牝馬リバティアイランドも満票ならず
「2023年度JRA賞」受賞馬選考委員会は9日、JRAのホームページにて記者投票の結果を発表。年度代表馬には295票中の293票を獲得したイクイノックスが選出された。
以下は受賞馬の顔触れでカッコ内は得票数。
年度代表馬 イクイノックス(293)
最優秀2歳牡馬 ジャンタルマンタル(288)
最優秀2歳牝馬 アスコリピチェーノ(163)
最優秀3歳牡馬 タスティエーラ(260)
最優秀3歳牝馬 リバティアイランド(294)
最優秀4歳以上牡馬 イクイノックス(294)
最優秀4歳以上牝馬 ソングライン(275)
最優秀スプリンター ママコチャ(226)
最優秀マイラー ソングライン(275)
最優秀ダートホース レモンポップ(166)
最優秀障害馬 マイネルグロン(279)
こうして選出された馬を見てみれば、それなりに説得力のある名前が揃ったことは間違いない。
票が割れた最優秀2歳牝馬や最優秀ダートホースに関しては、ホープフルS(G1)で牡馬を相手に優勝したレガレイラやドバイワールドC(G1)や東京大賞典(G1)を制したウシュバテソーロがいたため、ある程度予想通りの結果だった。
その一方で、ネットの掲示板やSNSで話題に上がったのは、やはり満票での受賞がなかった点である。
年度代表馬としてリバティアイランドに2票、最優秀3歳牝馬にはブレイディヴェーグに1票、最優秀4歳以上牡馬にもドウデュースに1票が投じられていたのだが、こちらについては疑問視する声も出た。
「年度代表馬はちょっと難しいところですよね。三冠を取ったリバティアイランドは、もし日本ダービー(G1)に出ても、勝ち負けしたのではないかという評価もある馬でしたし、2票を投じた記者の気持ちも多少理解できます。ただ、ドウデュースとブレイディヴェーグの1票については、否定的な意見があったのも無理はない気がしますね。
どちらもG1を勝っていますが、ドウデュースは天皇賞・秋(G1)とジャパンC(G1)でイクイノックスに連敗していますし、ブレイディヴェーグの優勝したエリザベス女王杯(G1)と牝馬三冠を比較すると劣勢は否めません。
もちろん、投票権を持つ記者の趣味嗜好も優先されていいと思いますが、投票したくてもできないファンの心情に配慮すると、大多数の支持が得られる馬に投票すべきと考える声が出ても仕方がなかったように思います」(競馬誌ライター)
これを同調圧力と捉えるかどうかは見解の分かれるところではあるのだが、実績的に明らかに差のあった2頭を比較する場合には、“空気を読む”ことが必要とする考え方も一理あるだろう。
フリーアナウンサーの舩山陽司氏が自身のSNSで「かつて投票権のあった者として言いたい事」として「承認欲求を満たす場ではないぜ」と発信した2023年度のJRA賞は、結果的に2007年以来となる満票なしに終わった。
世界最強馬として無敗のG1・4連勝したイクイノックスや牝馬三冠を達成しただけでなく、ジャパンCでイクイノックス以外に負けなかったリバティアイランドですら満票にならなかったのであれば、納得のいかないファンがいたのも当然だったかもしれない。
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