【フェブラリーS(G1)展望】B.ムルザバエフ「緊急来日」でドゥラエレーデに勝機あり!? ウィルソンテソーロは松山弘平と新コンビ!
18日、東京競馬場で行われるフェブラリーS(G1)には27頭が特別登録。すでに回避を表明した陣営がいるものの、鞍上にC.ルメール騎手を確保したオメガギネスが除外濃厚となっている。出走がかなえば1番人気もあり得る実力馬だけに、混戦模様に拍車がかかった状態だ。
そんな中、過去にほとんど例がないローテーションで話題を集めてきたドゥラエレーデ(牡4歳、栗東・池添学厩舎)が上半期ダート王決定戦に矛先を向けてきた。
同馬はデビューから芝・ダートの両方で活躍してきた言わば競馬界の“二刀流”。一昨年のホープフルS(G1)を制した際はクラシック路線を歩むと思われたが、3歳初戦にダートのUAEダービー(G2)に挑むと、デルマソトガケの2着に好走。帰国後は日本ダービー(G1)に出走するもスタート直後に落馬するアクシデントに見舞われて競走中止の憂き目に遭った。
さらに3歳馬ながら宝塚記念(G1)で古馬に挑み10着。秋はセントライト記念(G2)から始動し、8着と芝で凡走が続いた。
陣営が再びダート路線に切り替えて向かったのは昨年12月のチャンピオンズC(G1)。ホープフルS以来となるB.ムルザバエフ騎手を鞍上に据えると、9番人気ながら3着に食い込んだ。さらに年末の東京大賞典(G1)も同コンビで4番人気3着と上位争いを演じ、改めてその実力を示した。
デビューからダートでは4戦して「1-1-2-0」と安定しているだけに、今回も大崩れは考えにくい。今回は芝スタートのレースになるが、そこは芝のG1勝ち馬だけに大きなアドバンテージになるだろう。
鞍上は同週から皐月賞(G1)の週まで短期免許を取得する見込みのムルザバエフ騎手を予定。L.モリス騎手の早期帰国がなければ、コンビがかなわなかったと思われるだけに、ドゥラエレーデ陣営にいい流れが向いているといえるのかもしれない。
チャンピオンズCと東京大賞典でドゥラエレーデに先着しているウィルソンテソーロ(牡5歳、美浦・小手川準厩舎)は、惜敗続きにピリオドを打てるか。
一昨年の8月に初ダートで初白星を挙げると、そこから3つの交流重賞タイトルを含めて8戦7勝と怒涛の勢いで勝利を重ねてきた。
ところが昨年11月のJBCクラシック(G1)で5着に敗れ、連勝は「3」でストップ。G1の壁にぶち当たったと思われたが、原優介騎手との初コンビで臨んだチャンピオンズCでは12番人気の低評価を覆し、後方待機策から猛然と追い込んでレモンポップの2着に好走してみせた。
続く東京大賞典でも6番人気に甘んじたが、今度は原騎手が積極策でハナを奪うと、最後の直線で粘り腰を見せ、またも2着に入った。最後は同じテソーロ軍団のウシュバテソーロには差されたものの、もはや同馬をフロック視するファンはいないだろう。
今回も原騎手とのコンビでG1制覇の期待が高まっていたが、同騎手は今月3日の東京競馬で落馬して負傷。すでに松山弘平騎手と初コンビを結成することが発表されている。2021年のチャンピオンズCを最後にJRAのG1勝利が遠ざかっている松山騎手にとっては千載一遇のチャンスとなりそうだ。
ドゥラエレーデとウィルソンテソーロの2頭が人気を集めそうだが、どちらもダートG1は未勝利の身。そこで浮上するのは、正真正銘のダートG1ウイナーたちだろう。
キングズソード(牡5歳、栗東・寺島良厩舎)は、一昨年の12月に2勝クラスを突破し、それから1年弱で昨年秋のJBCクラシックを制した。
4番人気で迎えた同レースはあくまでも伏兵の1頭という評価だったが、J.モレイラ騎手を背に好位から楽に抜け出して4馬身差で完勝。その後は東京大賞典でG1連勝を狙ったが、最後の直線で伸びきれず、勝ったウシュバテソーロから0秒4差の5着に敗れた。
同レースで鞍上を務めたのは、2度目の騎乗となった岩田望来騎手。レース後、「勝った馬は強かった」と完敗を認めた上で、「展開的には向かなかったのですが、差のない競馬をしてくれました」と位置取りやペース次第ではチャンスがあったと捉えている。
キングズソードは7勝すべてを1700~2000mで挙げており、マイル以下の距離を走るのは6着に敗れた3歳夏の1勝クラス以来2度目。パワーだけでなくスピードも問われる舞台だけに、引き続き手綱を取る岩田望騎手の手綱さばきがカギを握りそうだ。
21年のJBCスプリント(G1)を制したレッドルゼル(牡8歳、栗東・安田隆行厩舎)も、年齢を重ねたが元気いっぱい。“四度目の正直”で戴冠を狙う。
フェブラリーSには21年から3年連続で出走し、順に4着、6着、2着。昨年後塵を拝したレモンポップが不在の今年こそ悲願を遂げたいが、主戦の川田将雅騎手がカタール遠征で不在となっている。
代わりを務めるのはデビュー戦から4歳春までレッドルゼルの手綱を取っていた北村友一騎手だ。1年以上の休養を強いられた大ケガから復帰し、早1年半以上が経過したが、いまだ重賞では復活勝利を挙げられていない。
来月5日をもって定年のため引退する安田隆調教師の花道を飾るためにも、“勝利”の二文字が欲しいところだ。
2年連続でNARグランプリ年度代表馬に選出された地方の雄、イグナイター(牡6歳、園田・新子雅司厩舎)は、虎視眈々と中央勢の撃破を目論んでいる。
前走のJBCスプリントを快勝しているように距離適性はスプリント寄りだが、2走前の南部杯(G1)でレモンポップの2着に入っている。21年6月のユニコーンS(G3)以来となる中央のレースで成長した姿を披露することができるか。
昨年の南関東三冠馬ミックファイア(牡4歳、大井・渡辺和雄厩舎)は、これが中央初挑戦。デビュー8連勝を狙った昨年暮れの東京大賞典は古馬の壁に阻まれ、8着に惨敗した。初の芝スタート、初めて背負う58kg、久々のマイル戦など課題は少なくないが、巻き返しを期待するファンは少なくない。
この他には、600kgに迫る馬体重で話題先行も昨年7月以降に重賞を2勝しているドンフランキー(牡5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)、昨夏のエルムS(G3)を豪快に差し切るなど末脚自慢のセキフウ(牡5歳、栗東・武幸四郎厩舎)、重賞初挑戦の前走・根岸S(G3)で3着に好走したサンライズフレイム(牡4歳、栗東・石坂公一厩舎)などが出走を予定している。
同時期にサウジC(G1)が開催される影響でレモンポップを筆頭としたダート界の一線級が不在となる一戦。優勝を飾るのはドゥラエレーデか、ウィルソンテソーロか、それとも思わぬ伏兵の台頭があるのか。発走は、18日15時40分を予定している。
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