【弥生賞】デビュー6連勝でシンザンに続く「三冠」を目指した悲劇の名馬…「法則」から導いた今年の本命馬は?【東大式必勝馬券予想】
今週末から季節は春、弥生3月だ。ちなみに日本で稲作が始まった“弥生時代”は3月とは関係なく、“弥生町”で土器が発見されての命名だが、その弥生町こそ東京大学農学部が建つ弥生キャンパス。正門を入ってすぐ左手には忠犬ハチ公と飼い主・上野英三郎の像が鎮座している。
上野氏は農学部の教授であり、弥生町から帰宅する彼をハチ公は自宅最寄りの渋谷駅で待っていたというわけ。東大受験生諸君も合格の暁には弥生キャンパスを訪れ、太古の稲作と大正・昭和の美談にぜひ思いをはせていただきたい。
競馬の方は3日、中山競馬場で弥生賞ディープインパクト記念(G2・芝2000m)が行われる。
3着までに優先出走権が与えられる皐月賞トライアルなのだが、以前書いたように勝ち馬から皐月賞馬は2010年のヴィクトワールピサ以降出現せず、去年のタスティエーラ(弥生1着→皐月2着→ダービー1着)、一昨年のドウデュース(同順で2→3→1着)、2018年ワグネリアン(2→7→1)、2016年マカヒキ(1→2→1)とダービー馬ばかり輩出。
この傾向は昔からで、天馬トウショウボーイをダービーで破ったクライムカイザー(1976年、1→5→1)を筆頭にラッキールーラ、ウイニングチケット、スペシャルウィーク、ロジユニヴァースと、ダービーの神様がそのように導いているのだろうか。
そこで今回の思い出の馬は、この謎の法則の始祖ともなった第2回優勝キーストン。私に競馬の楽しさも悲しさも教えてくれた名馬である。前々回の東京五輪が開催された昭和39年にデビュー5連勝を飾り、最優秀3歳牡馬(馬齢は当時表記)に選出される。
この年、1歳上のシンザンが三冠馬に輝くのだが、同じ関西馬のキーストンも2年連続の三冠を目指し、明け4歳初戦に弥生賞(当時東京1600m)を選び東上。スピードの違いを見せつけ後続15頭に影をも踏ませぬ逃げ切り圧勝。
これで三冠確実、と思われたが次走スプリングSはシンザンと同じ馬主のダイコーターに初黒星。さらに一冠目の皐月賞も逃げるが早々に失速、伏兵チトセオーの14着と大敗しダイコーターは2着。キーストンに距離の壁か?と不安が囁かれ日本ダービーは2番人気の一方、圧倒的1番人気のダイコーターは直前に金銭トレードで馬主が変わり「ダービーを金で買うのか」と世間の指弾を浴びていた。
当日は不良馬場、スタートを決めたキーストンは21頭を引き連れ軽快に逃げる。直線に入ってもその脚は衰えずダイコーターが一完歩ずつ詰め寄るも1馬身3/4まで。先頭でゴールを駆け抜け、ダービー馬の栄光に輝いたのは“弥生賞を勝って皐月賞大敗”のキーストンだった。
三冠最終戦の菊花賞はダイコーターに逆転され2着だったが最優秀4歳牡馬を獲得。古馬となってからも元気に走り続け、6歳時にも4連勝を重ねた後、昭和42年12月17日、運命の阪神大賞典を迎える。悲劇的結末ながら涙なくしては語れないキーストンと山本正司騎手の愛情物語は、同レースの拙稿までお待ちいただければ幸いである。
約40年の時は流れ2005年10月30日、東京競馬場。松永幹夫騎手(現調教師)が馬上から天皇皇后両陛下に最敬礼した天皇賞・秋(G1)の勝者ヘヴンリーロマンスの調教師こそ山本正司、その人である。キーストンが山本師をここに導いてくれたんだ……私は府中のスタンドで涙ながらに表彰式を見守り競馬の神様の存在を確信したのであった。
この辺で「東大馬券王の大よそー」に移ろう。
皐月賞(G1)、いや日本ダービー(G1)まで見据えた多士済々が登録してきた。東大式鉄則「弥生賞はダービー馬を探すつもりで予想せよ」。コース適性は中山2000mの新馬・葉牡丹賞(1勝クラス)を連勝してきたトロヴァトーレに一目置かざるを得ないが、“ダービー馬を探せ”の鉄則に準ずるとズバリ、ホープフルS(G1)の勝ち馬レガレイラを東京のアイビーS(L)で寄せ付けなかったダノンエアズロックを上に見る。
人気の一角、ホープフルS2着のシンエンペラーは、同レース4・5着馬の次走1、2番人気での凡走(どちらも7着)を見て評価を下げ、着候補の筆頭まで。
結論はダノンエアズロック→トロヴァトーレの3連単1・2着流し、押さえにシンエンペラーからダノンエアズロック&トロヴァトーレへ2頭、その他大勢の3連複フォーメーションで「ディープインパクト記念」の名にふさわしいダービー馬の出現を期待することにしよう。
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