「悔しい思いで一杯」浜中俊VS「思い通りのレース」坂井瑠星、2日連続で分かれた明暗…土日重賞制覇のチャンスが一転、持っていかれた主役の座
若手No.1候補、坂井瑠星騎手が新たなビッグタイトル
24日、中京競馬場で行われた高松宮記念(G1)は、6番人気のマッドクール(牡5歳、栗東・池添学厩舎)が勝利。昨秋のスプリンターズS(G1)でハナ差の2着で涙を飲んだNo.2が、待望のスプリント王に輝いた。
「理想的なポジションを取れましたし、直線も『内ラチを狙っていこう』ということで、思い通りのレースができました」
レース後、そう自画自賛したのはマッドクールの鞍上・坂井瑠星騎手だ。昨年107勝を挙げ、自身初となる100勝の大台を突破。これで3年連続G1勝利となるなど、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの若手No.1候補である。
その一方で、アタマ差の接戦で敗れた2着ナムラクレアの浜中俊騎手にとっては、痛恨のレースとなってしまった。
マッドクールが昨年のスプリンターズSの2着馬なら、ナムラクレアは昨年の高松宮記念の2着馬。レースでは昨年同様、中団でしっかりと脚を溜め、最後の直線では坂井騎手が「2着はすごい脚でした」と振り返るほどの末脚で猛然と追い上げた。
だが、アタマ差に迫ったところがゴール。相棒の悲願のG1制覇へ「勝ち馬に、あと一歩のところまで差を詰めてくれたんですが……」と振り返った浜中騎手とナムラクレアにとっては痛恨の2年連続2着となってしまった。
日曜の高松宮記念にナムラクレア、土曜の日経賞(G2)にボッケリーニと、春の連続G1開幕週となった先週は「浜中ウィーク」になるはずだった。
土日重賞制覇のチャンスが一転、持っていかれた主役の座
しかし、蓋を開けてみると単勝2.3倍の1番人気に推されたボッケリーニは5着。勝ち味に遅い分、安定感が売りの堅実派がG1以外で5着以下に敗れたのは、2021年の中京記念(G3)まで遡らなければならなかった。
「(レース後)浜中騎手は『上位とは切れ味の差が出ました、申し訳ない』と頭を下げていましたが、レース運び自体は逃げ馬に早々に並びかける積極的なもの。
ただ『(手応えが良かったので)逃げ馬に並んでから追い出したくらいですが、その逃げた馬も交わせず……』と話していた通り、先頭に立つとソラを使ってしまう難しい面が出たような気がしています。力は重賞なら完全に格上だけに、今回は展開に恵まれませんでした」(競馬記者)
また、浜中騎手の“不運”はそれだけに留まらなかった。
ショッキングな敗戦となった日経賞の約10分前に行われた毎日杯(G3)では、メイショウタバルが6馬身差の圧勝。一躍、クラシック候補に躍り出たことで全国の競馬ファンから注目を集めたが、実はこの馬の主戦は2戦2勝の浜中騎手だったのだ。
「浜中騎手にとっては、ボッケリーニに騎乗するためにメイショウタバルの鞍上を譲った格好になりましたが、実はその鞍上が坂井騎手。6馬身差の圧勝劇は、坂井騎手の馬場読みがハマったこともあると思いますが、高松宮記念のアタマ差を含め両者で大きく明暗が分かれてしまいました」(別の記者)
「強い馬を相手にこれだけの着差。今後が楽しみですね」
毎日杯のレース後、そうメイショウタバルの将来を絶賛した坂井騎手。ただ、浜中騎手にとって救いなのは、坂井騎手がすでにシンエンペラーとのコンビで皐月賞(G1)参戦が決定している点かもしれない。
「結果を出せなくて、悔しい思いで一杯です」
2年連続の2着に終わった高松宮記念を振り返り、そう感情を露わにした浜中騎手。その一方で「常に一生懸命走ってくれる馬で、5歳の今年も力を示せた」と相棒のナムラクレアを労うことを忘れないのが、このジョッキーが関係者から愛される理由の1つだろう。
もう善戦はいらない。ボッケリーニも、ナムラクレアもG1を勝てる器であることは、主戦騎手が最もよくわかっているはず。2024年は悲願達成の一年にしたい。
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