JRA武豊「僕は帰ってきました伝説」ダービー再現!? 「馬」「ユタカ」「枠番」「展開」「着差」キズナ待望の大物クリスタルブラックと、スカイグルーヴの共演
19日に中山競馬場で行われた京成杯(G3)は7番人気の伏兵クリスタルブラック(牡3歳、美浦・高橋文雅厩舎)が優勝。鞍上の吉田豊騎手は、2017年の中山金杯(G3)以来となる3年ぶりの重賞制覇となった。
「前走の新馬戦でも、最後に外からいい脚を使ってくれた。どれくらいの競馬ができるか、楽しみはあった」
この日、JRA通算1万6000回騎乗の節目を迎えた吉田豊騎手は、2017年の12月に落馬によって頸椎を骨折。昨年3月まで約1年3カ月の長期休養を余儀なくされた。
今回は、そんな騎手生命を左右しかねないアクシデントからの重賞制覇。それも「同じ大久保洋吉先生のところ出身」と話している通り、クリスタルブラックを管理する高橋文雅調教師も、かつて同じ大久保洋厩舎の所属騎手を務めた間柄だけに、喜びもひとしおか。
レースは1番人気に推されたスカイグルーヴが、先に抜け出したところをゴール前でクリスタルブラックが強襲。2位に0.4秒差をつける、上がり3ハロン35.4秒の末脚は目を見張るものがあった。
「着差こそ2着と半馬身差ですが、非常に強い内容でしたね。吉田豊騎手が『まさか前まで届くとは』と振り返っている通り、最後の決め手は父キズナを彷彿とさせる強烈なインパクトがありました。
新馬戦を快勝しての7番人気と決して目立った存在ではありませんでしたが、今後が楽しみになる走りでしたね。吉田豊騎手にとっては2008年のマイルCS(ブルーメンブラット)以来のG1制覇が期待できる存在。クラシックを盛り上げてほしいです」(競馬記者)
キズナといえば、勝利騎手インタビューで武豊騎手が「僕は帰ってきました」と発言した2013年の日本ダービー(G1)が有名だ。この日の京成杯は、そんな「伝説のレース」を再現する要素に溢れていたという。
「2着のスカイグルーヴの父親がキズナと同世代で、“あのダービー”でも2着だったエピファネイアの産駒なんです。
しかも、先にエピファネイアが抜け出したところを、キズナが強襲して差し切ってしまう展開も同じ。奇しくも、今回のクリスタルブラックの馬番はキズナと同じ1枠1番でした。ちょうど、騎手も(吉田)ユタカでしたし、当時を知るファンで感慨深かったを方もいるでしょうね」(同)
ちなみに半馬身差の「着差」まで、2013年の日本ダービーと同じだったというから、やはり縁を感じざるを得ない。覇権を争った父の仔の活躍を期待するのが、競馬の醍醐味だが、この日の京成杯にはキズナ世代の思い出がよみがえったようだった。