【徹底考察】菊花賞(G1) エアスピネル「秋初戦で砕け散ったエリートのプライド……すべてを失った相棒に武豊が施す『最後の魔法』とは」
はっきり言えばエアスピネルの特徴をまったく活かしていない”愚策”であり、ミッキーロケットら上がり馬にも先着を許した結果も仕方がないといえる。
しかし、だからこそ武豊騎手はエアスピネルをあえて”裸”にして「現在地」を正確に掴んだはずだ。おそらく武豊騎手がいう「菊花賞に向けた競馬」というのは、そういう意味があったのではないか。
つまり、わざと個性を殺して”愚策”に走ることで、相棒の世代の中での序列を確認したということである。
「判明したこと」として結論を述べると、現在のエアスピネルが小細工なしの競馬をするとサトノダイヤモンドはおろか、ミッキーロケットやレッドエルディストにすら敵わないということだ。繰り返すが、あくまで「小細工なしの正攻法」という条件の上での話だが。
次に、「菊花賞に向けた競馬」を試みた武豊騎手が「小細工なしの正攻法」で後方からの競馬を選んだということは、やはり淀の3000mに(もっといえば阪神の2400mに)対して、明確な距離不安を持っているということだ。
後方から競馬をする多くの場合、同時に折り合いに専念し、道中で極力無駄なエネルギーを使わないことにもつながる。それはいわゆる「道中は死んだふり」という作戦で、距離不安を抱える馬がよく選択する戦法だ。
武豊騎手で述べると、2001年の菊花賞で騎乗したダンツフレームが当てはまる。
ダンツフレームは皐月賞と日本ダービーでともに2着ながら、重賞勝ちはマイルのアーリントンC(G3)。後に安田記念(G1)を2着して宝塚記念(G1)を制しているように、距離適性は明らかにマイルから中距離だった。秋初戦の神戸新聞杯は、好位から競馬するも4着に敗れている。
武豊騎手はそんなダンツフレームの菊花賞で最後方待機を選択。後方13番手から、上がり最速で5着に食い込んでいる。好位抜け出しを身上とするダンツフレームが最後方待機したのは、後にも先にもこのレースだけだ。
「判明したこと」として結論を述べると、武豊騎手がエアスピネルに距離不安を感じていることは確かなようだ。一見、わかり切っていることのように思われるが、想像しているのと認識しているのとでは「備え」という点で大きな差が出る。
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