JRAシンザン記念(G3)も「100万馬券」級の大波乱!? アーモンドアイ2世狙う大本命ククナに試練……1番人気惨敗の武豊が分析した「馬場傾向」とは
10日、中京競馬場でシンザン記念(G3)が開催される。過去10年の勝ち馬にはアーモンドアイ、ジェンティルドンナという2頭の三冠牝馬が名を連ねている通り「牝馬」にとっては指折りの出世レースとなる。
翌日に同じ3歳マイル重賞で、牝馬限定のフェアリーS(G3)が開催されるにも関わらず、あえて牡馬との対戦を選択するということは、それだけ陣営に自信があるということ。2016年の2着には桜花賞馬のジュエラーも名もあり、この傾向はしばらく続きそうだ。
そんな名牝たちの系譜にあやかろうと、今年は2015年の桜花賞2着馬クルミナルの仔ククナ(牝3歳、美浦・栗田徹厩舎)が参戦。前走のアルテミスS(G3)で後の2歳女王ソダシに迫った2着の実績があり、『netkeiba.com』の事前予想でも単勝1.8倍という圧倒的な支持が予測されている。
ここから名牝の階段を駆け上がり、女王ソダシへのリベンジ……そして母が果たせなかったクラシック制覇が期待されるククナ。ここは弾みのつく勝利を期待したいところだが、「今年」はそう簡単には行かないのかもしれない。
というのも先週、シンザン記念と同じ中京のマイル戦で行われた京都金杯(G3)では、12番人気のケイデンスコールが復活勝利を挙げる波乱の結果。3着にも14番人気のエントシャイデンが粘りこみ、三連単は100万馬券を超える大波乱となったからだ。
波乱の要因は「中京の芝コンディション」にあるようだ。1番人気だったシュリに騎乗した武豊騎手は自身の公式ホームページを通じて、以下のように語っている。
「意外だったのは、開催初日というのに中京の芝が緩かったことです。発表は良馬場ですが、乗った感触は道悪のそれ。内も外も緩い感じなので、結果として前残りの競馬が多かったのではないかと思っています」
今年は京都競馬場が長期の改修工事に入っている影響で、代替え開催を行う関西の競馬場には小さくない負担が掛かる。前年の12月から1週間休んでの開催が続く中京も、例年なら1月中に小倉とバトンタッチするのだが、今年は阪神開幕までのロングランとなる。
そんな影響もあって、100万馬券を超える大波乱となった京都金杯も「前残り」が発生。武豊騎手が「内も外も緩い感じ」と語る通り、馬場コンディションがいい外のメリットがない分、単純に距離ロスが少ない内を進んだ馬が上位を独占する極端な結果となった。
その上で、今週のシンザン記念では大本命が予測されるククナが、あろうことか大外の15番枠を引いてしまった。
京都金杯では外枠の馬も上位に入線していたが、いずれも前に行った馬だ。後方からの末脚勝負に懸けたケイアイノーテック(5番人気・15着)、ロードマイウェイ(6番人気・16着)らが、ほぼ何もできずに敗れたように、アルテミスSを上がり最速の末脚で追い込んだククナの持ち味は封印される可能性が高そうだ。
今週も穴党が歓喜するような、波乱の結果が待っているかもしれない。
ポイントは「内枠」そして「前残り」だ。前半の800mが46.9秒というスローペースで流れた京都金杯だが、「前走で逃げた馬がいない」という点ではシンザン記念も同様。やはりスローが予想されるだろう。内枠であれば中団前目でも問題なさそうだが、外枠の馬はやはりできるだけ前に行って内を通りたい。
ピックアップしたいのは、3枠5番のダディーズビビッドだったが、肝心要の武豊騎手が腰痛により急遽、戦線離脱。先週、京都金杯のシュリで敗れて迎えた最終レースでは、外枠の馬をしっかり好位に付けての快勝。さすが「天才」と言われるだけの学習能力の高さを見せつけていたのだが……。