JRAデアリングタクトから「逃亡」の回避!? クロノジェネシス「最強牝馬対決」おあずけも、決戦はコントレイルが待つ夢舞台か
27日、アラブ首長国連邦のメイダン競馬場で行われるドバイシーマクラシック(G1)に出走するクロノジェネシス(牝5、栗東・斉藤崇史厩舎)は、来月25日に香港シャティン競馬場で開催のクイーンエリザベス2世C(G1)の招待を辞退したことが分かった。
また、ドバイでのレース後に帰国すると、所属するサンデーサラブレッドクラブのホームページで発表された。
クイーンエリザベス2世Cには昨年の三冠牝馬デアリングタクトが出走を表明、ラヴズオンリーユーもドバイシーマクラシックからの転戦を視野に入れており、クロノジェネシスが出走すれば、異国の地で日本馬3頭による最強牝馬争いが繰り広げられる可能性もあったが、同馬の回避により実現は叶わなくなった。
その一方、海外で2頭の対決がなくなったとはいえ、春はまだ始まったばかり。国内G1で対決の可能性は残されている。アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトという新旧三冠馬対決で大いに盛り上がった昨年のジャパンC(G1)だが、デアリングタクト陣営の「ファンが望むなら強い相手と戦いたい」というコメントも話題を呼んだ。
志に変化がないようなら、おそらく香港の次走は春のグランプリ・宝塚記念(G1)への出走が考えられる。また、クロノジェネシスは昨年の宝塚記念と有馬記念(G1)を優勝し、両グランプリ制覇の偉業を達成。今年の始動戦がドバイシーマクラシックのクロノジェネシスは、ローテーションにも余裕がある。ディフェンディングチャンピオンとして連覇を狙っても不思議ではないだろう。
ラヴズオンリーユーにしても昨春はヴィクトリアマイル(G1)から鳴尾記念(G3)というローテーションを歩んだが、これは当初予定していたドバイシーマクラシックの中止により、予定が大幅に狂ったことで生じた変更によるもの。今年は同じ阪神・芝2200mで行われた京都記念(G2)を快勝しているだけに、宝塚記念を使われる可能性は十分だ。
「デアリングタクトから『逃げた』なんて声も一部で出ていますが、クロノジェネシスは休み明けを苦にしない鉄砲駆けの利くタイプです。昨年は京都記念から始動しましたが、エリザベス女王杯からの休み明け。秋は天皇賞と有馬記念の2戦だったことを考慮すれば、春もドバイと宝塚記念の2戦が濃厚でしょう。
また、主戦の北村友一騎手は現在売り出し中の有望株です。皐月賞(G1)ではラーゴムとのコンビが決定していますし、コロナ禍の関係で自主隔離期間が発生するため、その間の春G1で騎乗機会を失うことも避けたい思惑もありそうです」(競馬記者)
大阪杯(G1)はグランアレグリア、コントレイルに加えサリオス、レイパパレの参戦で超ハイレベルの熱戦が期待されているが、コントレイルはその後、昨年の菊花賞(G1)で長距離に対する不安を露呈しているだけに、天皇賞・春(G1)を回避して宝塚記念に出走する可能性が高いとも考えられている。
クロノジェネシスの北村友一騎手は一昨年、デアリングタクトの松山弘平騎手は昨年ブレイクした。次代を担うジョッキー同士の対決にもなりそうな宝塚記念。
例年は寂しい顔触れで行われることも珍しくないが、今年はグランプリの名に恥じない好レースが期待できるのではないか。