JRA日本ダービー(G1)武豊&川田将雅「鞍上ドタバタ劇」はすべて裏目!? 35年間不落の「ダービーの法則」
いよいよ来週末に東京競馬場で行われる日本ダービー(G1)は、サラブレッドにとって一生に一度の大舞台です。
今年は無敗の皐月賞馬エフフォーリアと若き横山武史騎手が断然の中心で、C.ルメール騎手がウオッカ以来の牝馬制覇を狙うサトノレイナス、福永祐一騎手が惚れ込む大器シャフリヤールといったところが有力ですが、巻き返しを図りたい他のライバル陣営も、あの手この手と当然まだまだ勝負を諦めていません。
そんな中で、逆襲の“カンフル剤”として最も手っ取り早いのが、騎手をチェンジすることではないでしょうか。競馬に乗り替わりは付き物ですが、今年の日本ダービーも様々な乗り替わり劇が起こっています。
まず、ダービー5勝を誇る武豊騎手は春先に負傷してしまったこともあって、皐月賞(G1)には騎乗できませんでした。
今年の武豊騎手にはホープフルS(G1)で3着したヨーホーレイク、デビュー当初から大物と噂されてきたディープモンスターという2頭のお手馬がいました。しかし、武豊騎手が皐月賞で騎乗できなかったため、ヨーホーレイクには岩田望来騎手、ディープモンスターには戸崎圭太騎手が代打騎乗。それぞれ5着、7着という結果でした。
その後、武豊騎手が皐月賞5着のヨーホーレイクではなく、7着のディープモンスターに騎乗することが決まったのは、今年の日本ダービーを占う上で興味深い点ですね。
一方、余った?ヨーホーレイクに騎乗することになったのが、川田将雅騎手。本来なら皐月賞で1番人気だったダノンザキッドとコンビでの参戦が予定されていましたが、2歳王者がまさかの骨折リタイア……。今さら、横山典弘騎手に譲ったレッドジェネシスに戻るわけにも行かず、ヨーホーレイクとのコンビが決まりました。
予定では岩田望騎手とのコンビ継続という噂もあっただけに、まさに弱肉強食の世界ですねー……。他にも皐月賞でルメール騎手と4着だったアドマイヤハダルにはM.デムーロ騎手が騎乗するそうです。
ただ、そんな武豊騎手や川田騎手を中心に巻き起こった“鞍上ドタバタ劇”も、すべて無駄に終わってしまうのが、日本ダービーという舞台なのかもしれません。何故なら、この3歳牡馬の頂上決戦には、何よりも「人馬の絆」が問われていると歴史が物語っているからです。
「競馬界には、昔から『ダービーは乗り替わりでは勝てない』という格言があります。実際に前走から騎手が乗り替わってダービー馬になったのは、1985年のシリウスシンボリが最後。35年間破られていない鉄板級の法則になります」(競馬記者)
現に、昨年の日本ダービーは勝ったコントレイルを始め、上位3頭の騎手はいずれも前走からの継続騎乗でした。
また、一昨年には騎乗停止中のルメール騎手からD.レーン騎手に乗り替わった皐月賞馬のサートゥルナーリアが、単勝1.6倍に推されたものの4着に敗れています。一方で1から3着が継続騎乗だったのは、何とも皮肉な結果ですね。
従って今年も先述した武豊騎手のディープモンスター、川田騎手のヨーホーレイク、横山典騎手のレッドジェネシス、デムーロ騎手のアドマイヤハダルはもちろん、有力視されている福永騎手のシャフリヤール、戸崎圭太騎手のグレートマジシャンといったところもアウト……。
1986年以降、「35年間破られていない壁」が立ちはだかることになります。
騎手のチェンジは、巻き返しを図りたい陣営にとって有効な戦略の1つです。しかし、こと日本ダービーにおいては、ことごとく「裏目の歴史」を作ってしまっているようです……。(文=藤田ハチ子)
<著者プロフィール>
藤田菜七子騎手のデビューと同時期に編集部デビュー。2日遅れだったことで「ハチ子」と命名される。以来、渋谷の忠犬ハチ公像にどこか親近感を覚える。法則、オカルト好きでTOCANA愛読者。毎年、日本ダービーで1枠からの流し馬券を買うのが恒例行事。