JRA武蔵野S(G3)武豊クロフネの衝撃から20年。NHKマイルC(G1)からダート転向初戦「あの3歳馬」に注目
11月13日(土)に東京競馬場で武蔵野S(G3)が行われる。
今からちょうど20年前の2001年10月27日、東京競馬場ではスタンドからどよめきが起こっていた。歴史的名馬クロフネが衝撃の内容で武蔵野Sを勝利した日だ。永くに渡り競馬ファンに語り継がれているレースだ。
アメリカで生産されて日本で調教を受けた、いわゆる「マル外」のクロフネは、3歳時に芝のNHKマイルC(G1)を制し、日本ダービー(G1)に挑戦するも5着と終わる。
秋は神戸新聞杯(G2)から始動し3着となり、陣営は天皇賞秋(G1)に目標を定めていたが、当時あった外国産馬の出走枠の関係でまさかの除外となってしまう。「仕上げていたのに、レースを使わないのはもったいない」と武蔵野Sへの出走を決めた。
クロフネにとって初のダート挑戦となった、このレース内容は衝撃だった。中団外目につけ、3コーナーでは3番手まで進出。鞍上の武豊騎手が軽く促すと、4コーナーを回った時にはすでに先頭。そこからはまさに独壇場だった。みるみる後続を引き離し、大差勝ちを収めたのだ。
タイムは1分33秒3と初のダート戦で、いきなり当時の日本レコードを叩き出した。なお、この時計は同年のマイルCS(G1)から、わずかコンマ1秒遅いだけである。このレース後、ジャパンカップダート(G1)に挑み2戦連続大差でレコード勝ちを収め、クロフネが「伝説」となった事は言うまでもない。
あれから約20年。デビューから芝路線を歩み、NHKマイルCにも駒を進め、クロフネと同じ武蔵野Sで初のダート戦を迎えようとする馬がいる。3歳馬のバスラットレオン(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
同馬は、2歳時に朝日杯FS(G1)で4着と早くから芝での才能を見せていた。3歳春にはニュージーランドT(G2)で5馬身差をつける圧勝でNHKマイルCへと駒を進めた。しかし、レースではスタート直後にまさかの落馬で競走中止に。3番人気と期待されていただけに、残念な結果となった。
その後クロフネと同じく日本ダービーに挑戦するも15着と大敗。適性距離を考え、秋はマイル路線に戻すも二桁着順が続き、陣営は新たなプランとしてダート挑戦を試みた。
もともとデビュー前には「のちのちはダートで使ってみたい」との声があった馬。ここでガラリ一変の競馬を見せることが出来るのか。芝での実績は十分だけに注目を集めそうだ。
今年1月に老衰のため天国へ旅立ったクロフネ。ソダシ、カレンチャンなどG1馬も多数輩出し、名種牡馬となった。武蔵野Sを勝った年から節目の20年。バスラットレオンがクロフネのように水を得た魚になれば、ダート戦線が一気に活気づくはずだ。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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