JRA 皐月賞(G1)で「黄金トリオ」がもう一発!? 吉田隼人×友道厩舎×金子真人オーナーがエフフォーリア打倒の大阪杯の再現狙う
17日、中山競馬場で行われる牡馬クラシックの初戦・第82回皐月賞(G1)。2歳G1馬が2頭とも登場するだけでなく、キャリア2戦2勝の素質馬も参戦を表明と、この世代の頂上決戦にふさわしいメンバーが出揃った。
こうなると穴党にとっては厳しい戦いとなりそうだが、波乱の立役者として注目したいのがダンテスヴュー(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)である。
昨年8月の新馬戦は単勝1.4倍の支持を裏切り2着に敗れ、未勝利戦は同じ1.4倍で勝ち切ったものの、東京スポーツ杯2歳S(G2)では4着に敗戦。皐月賞で人気の一角となりそうなイクイノックスに1秒もの差をつけられてしまい、巻き返しを図った今年2月のきさらぎ賞(G3)もマテンロウレオに差し切られてハナ差の2着。対戦比較で考えると、なかなか推すのが難しい一頭のようにも思える。
だが、その一方で陣営のトーンは高い。
友道調教師「今年はこの馬で春のクラシックへ」
友道厩舎といえば、朝日杯FS(G1)の覇者で人気を集めることが予想されるドウデュースに加え、スプリングS(G2)で3着に入ったサトノヘリオスも皐月賞に参戦。3頭出しの中でダンテスヴューは唯一の1勝馬となるが「無理をさせたくなかったので、皐月賞一本に絞って意識的に間隔を空けた」とあえて休養の時間をとったことをポイントに挙げ、「攻めの気配からも成長を感じる。体のバランスがようやく良くなってきた」と、調教師もその成長ぶりに手応えを掴んでいる。
思えば1年前の春頃、注目の2歳馬情報が徐々に増えていく中で、精鋭が集う名門厩舎の中でも目玉候補の一頭として名前が挙がっていた素質馬。母クロウキャニオンはダート戦線で活躍したボレアスのほか、ディープインパクト産駒として初めて弥生賞(G2)を勝ったカミノタサハラ、今年の日経新春杯(G2)を制したヨーホーレイクといった数多くの活躍馬を輩出した名牝としても知られている。
また、ダンテスヴューは初仔キラウエア以来となるキングカメハメハ産駒となるが、師はデビュー前から「父はキングカメハメハですが、ディープインパクト産駒の兄ヨーホーレイクよりもディープっぽい」と語っており、しぶとく伸びるタイプが多かった兄姉を振り返りながら、「この血統にしては切れる脚を使いそう」と楽しみを口にしていた。
上述の通り、2月のきさらぎ賞は惜しくも敗れてしまったが、レース前に飛び出した「今年はこの馬で春のクラシックへ行きたいと思っています」というコメントからも、友道師のダンテスヴューに対する期待の大きさが窺い知れる。勝ってG1戦線に向かうことはできなかったとはいえ、まだまだ成長途上の素質馬が「無理せず皐月賞一本」に絞って準備をしてきたという点からも、大舞台で大化けの可能性は十分に秘めていると言えるだろう。
また、半兄のヨーホーレイクは同じようにきさらぎ賞2着から皐月賞に挑戦して5着だったが、その点についても師は「前向きで、ヨーホーレイクより中山向きでしょう」と語っている。兄姉をはじめ、数多くの名馬を手掛けてきた名伯楽が惚れこむポテンシャルの高さに加え、これだけ頼もしいコメントが並んでいることを思えば、実績で劣る1勝馬とはいえ軽く扱うことはできない。
さらにダンテスヴューにとって追い風となるのが、初コンビとなる吉田隼人騎手の存在だ。金子真人ホールディングス所有馬で、友道厩舎が管理する馬に吉田隼騎手が騎乗。思い起こされるレースといえば、2週前の大阪杯(G1)である。
昨年の年度代表馬・エフフォーリアと超新星・ジャックドールの2強に注目が集まった中、勝ったのは前々から運んで最後までしぶとく伸びた8番人気のポタジェ。この馬も吉田隼騎手×友道厩舎×金子オーナーのトリオだった。
1週前追い切りに跨った騎手は「繊細なイメージがあったが乗りやすかった」と第一印象を語り、「この操縦性の高さは中山では良さそう」という頼もしいコメントまで出ているのは好感が持てる。
競馬ファンをあっと驚かせたポタジェの再現なるか。ゴールデントリオがこの春2度目のサプライズを狙う。
(文=木場七也)
<著者プロフィール>
29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。
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