「低レベル」札幌記念に感じた物足りなさ、G1馬5頭でもガッカリ感の正体
G1馬5頭の豪華メンバーが出走した札幌記念(G2)は、今夏最大の注目レースとなった。
将来的なG1昇格に期待する声もあるスーパーG2を制したのは、4月の大阪杯(G1)を5着に敗れていたジャックドール。落鉄もあった前走の敗戦から巻き返しに成功し、最大目標となる天皇賞・秋(G1)でも、上位人気の支持が確実だろう。
1997年にそれまでのG3からG2へと昇格した札幌記念は、昇格初年に優勝して連覇を飾ったエアグルーヴを筆頭に、数多くのG1馬が出走しているレースでもある。近年は凱旋門賞(仏G1)を予定している実力馬が、ステップとして出走するケースも増えている。
このような経緯もあり、今年もG1昇格が取り沙汰された札幌記念だが、本当にハイレベルの一戦だったのかというと、少々疑問は残った。
肩書こそG1馬5頭でも、唯一パンサラッサがクビ差2着に健闘したものの、その他の馬の成績はソダシ5着、グローリーヴェイズ6着、ユーバーレーベン11着、マカヒキ16着と振るわなかった。
9歳馬マカヒキに至っては、ブービーのアイスバブルから、さらに6馬身も遅れて入線する最下位。オークス(G1)でソダシを破ったことのあるユーバーレーベンにしても、海外遠征した前走との馬体重比較はなくとも、2走前の京都記念(G2)から32キロ増では、走れる状態にあったのかさえ疑わしい。
距離が敗因と陣営が明言したソダシの敗戦には、情状酌量の余地があるものの、G1馬は1頭しか馬券に絡めなかった。そういう意味では、G1馬5頭の超豪華メンバーという響きには、程遠かったかもしれない。
G1馬5頭でもガッカリ感の正体
これは勝ち馬のジャックドールについても同様で、勝ち時計や前後半のラップでも、今年の札幌記念のレベルには不安がある。
「パンサラッサの強さは、今更説明することでもありませんが、ハイペースで逃げていたように思えても、4コーナー3番手以内の馬が3着以内を独占したように、後ろの馬に出番はありませんでした。ラップの数字の上ではハイペースに見えても、実は前に行った馬だけで決着する前残りに近いでしょう。
時計的にも同日の8Rで行われた1勝クラスの牝馬限定戦と1秒しか違いません。このレースの勝ち馬も前傾ラップで楽に逃げ切っています。前の馬が残りやすい馬場傾向だったことは確かです」(競馬記者)
つまり、記者の言い分では、好走したパンサラッサも展開と馬場に恵まれ、勝ったジャックドールも、これで天皇賞・秋を勝ち負け必至かというと、まだ信用できないという訳だ。
言われてみれば確かに頷ける部分もあるが、レースとしては大きな盛り上がりを見せたことも確かであり、ゴール前の叩き合いも見応えがあった。
今年の札幌記念を経由した馬が、秋のG1戦線でどのような走りを披露するかで、本当に低レベルだったのかどうかの答えも出るだろう。将来的なG1昇格を見据える上でも、好走してくれることを期待したい。