大物オーナーも苦言!? 豪華メンバー集結も、「札幌記念をG1」にできない理由
まさに“G1”級と呼ぶに相応しい、豪華なメンバーが集結した今年の札幌記念(G2)。長きに渡り「スーパーG2」としての地位を確たるものにしているハイレベルのレースであり、G1への昇格を期待するファンも多いのではないだろうか。
しかしそんなファンの期待の声に対して苦言を呈したのが、ニシノ・セイウンの冠名で知られる西山茂行オーナーである。西山オーナーは自身のTwitterにてこのように記している。
「札幌記念をG1」にできない理由とは…
「札幌記念か。確かにメンバーはG1の価値があるけど、箱がなぁ。札幌競馬場の交通アクセス、キャパシティ、ついでに言うと馬主席の広さ、G1となるとどれだけ来賓が来るかも知らない人がたいして来賓席の用意もない札幌競馬場で簡単に『札幌記念をG1に』と言わないで欲しいなあ」
このように西山オーナーは、札幌競馬場でG1を開催するためには、設備面で高いハードルが存在すると指摘した。
多くのG1が行われる関東・関西の主要4場では最も多い東京競馬場で約20万人、この中では最も少ない阪神競馬場でも約9万人の観客を収容可能だ。それに対して札幌競馬場の収容可能人数は6万人と見劣り、G1レースに押し掛ける大観衆を受け入れるには物足りなさを否定できない。
また西山オーナーは別のツイートにて、東京・中山のG1では普段の開催では来ないような来賓が大勢来るという点についても指摘している。客席のみならず、来賓席の用意に関しても札幌競馬場と主要4場とでは当然ながら差があるはずで、札幌競馬場のスペックが全体的にG1開催には適していないというニュアンスを含んでいる。
加えて、興行面を考えても札幌記念のG1昇格には障壁が存在する。
現在のJRAのG1レースは春と秋にそれぞれ各路線・距離のチャンピオンを決める競走として整備されている。ここで札幌記念をG1に昇格してしまえば大阪杯(G1)、天皇賞・秋(G1)に加えて3つ目の古馬混合・2000mのG1となる。G1レースが路線の頂点を決めるものであるとするならば、札幌記念の位置づけが中途半端なものになってしまう。
現状、距離が2200mと似通っている宝塚記念も春のグランプリでありながら、メンバーが揃わない年が多く盛り上がりに欠ける面がある。仮に札幌記念をG1化すれば更に春・秋の中距離G1のメンバーが分散し、有力馬が激突する機会が減少することで興行面での盛り上がりが失われてしまう。こうしたリスクを踏まえれば、JRAとしても積極的に「札幌記念のG1化」に動きにくいのではないだろうか。
長きにわたりファンから熱望されている札幌記念のG1昇格。しかし実現に向けて越えなければならないハードルは少なくないようだ。