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有馬記念、エフフォーリア「運命」を分けた1万9616票。オグリキャップ、トウカイテイオーに続けず

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エフフォーリア 撮影:Ruriko.I

 若き天才・武豊騎手が演出したオグリキャップのラストラン。皇帝の仔トウカイテイオーの364日ぶりの奇跡。さらには栗毛の怪物グラスワンダーの復活劇、ハーツクライによる英雄ディープインパクト撃破――。

 今年で第67回を迎えた競馬の代名詞・有馬記念(G1)の歴史は、同時に競馬の感動や面白さが凝縮された「ドラマ」の歴史でもある。

 3歳馬イクイノックスの優勝で幕を閉じた今年の有馬記念だが、もし勝てば最もドラマチックだったのは、間違いなく前年の覇者エフフォーリアだったはずだ。

 昨年の有馬記念で堂々の世代交代を告げ、競馬界の頂点に君臨したエフフォーリア。アーモンドアイやコントレイル、クロノジェネシスといった一時代を彩った名馬たちがターフを去った競馬界の新たな主役が誕生した瞬間でもあった。

 しかし、迎えた今年2022年のエフフォーリアは、競馬界を背負って立つには程遠い存在だった。

 始動戦の大阪杯(G1)で単勝1.5倍に推されるも、まさかの凡走に終わると、巻き返しが期待された宝塚記念(G1)でも6着と1番人気を裏切ってしまう。復権が必須となった今秋だったが、予定していた天皇賞・秋(G1)を回避。この有馬記念にようやく間に合ったものの同世代のタイトルホルダーや3歳馬イクイノックスらの台頭を許し、格付けを大きく落としていた。

 それでも30万票を集めた有馬記念のファン投票で2位だったのは、それだけ多くのファンがエフフォーリアの復活を期待していたからに他ならない。本番でもし復活勝利を挙げていれば、間違いなく有馬記念を彩る歴史の1ページに刻まれていたはずだ。

 しかし、結果は5着。レース後に主戦の横山武史騎手が「やりたい競馬はできた」と振り返った通り、最後の直線入り口ではタイトルホルダーやイクイノックスと先頭に並ぶなど見せ場十分だったが、一歩及ばなかった。

 エフフォーリアの復活が成らなかった要因には様々なものが挙げられるだろうが、ここではあえて1つだけ挙げておきたい。

「運命」を分けた2万票

 冒頭で触れた1990年オグリキャップ、93年トウカイテイオー、98年グラスワンダー、そして2005年ハーツクライ。どれも「これぞ、有馬記念」と言いたくなる劇的な勝利だが、彼らには共通点があった。

 すべて単勝4番人気だったのだ。

 そういった意味で、今年のエフフォーリアには大きな可能性があった。戦前の下馬評では、多くの競馬サイトやニュースで4番人気に予想されていたからだ。

 実際に、エフフォーリアはレース発走1時間前まで4番人気だった。しかし、同じく4番人気候補だったヴェラアズールと単勝9.9倍で並ぶ、まったく予断を許さない状況だった。

 結局、最終的に4番人気になったのはヴェラアズール。エフフォーリアは5番人気だったが、その単勝オッズはわずか0.1倍差と、まさに紙一重だった。ちなみに単勝投票数ではヴェラアズールの341万5756票に対して、エフフォーリアは339万6140票。約2万票となる1万9616票の差がついた。341と339の2と考えれば、やはり紙一重ならぬ“紙二重”といったところか。

 無論、エフフォーリアが「4番人気になれば勝っていた」などとは言うつもりは毛頭ない。だが、勝負事が時として目に見えない運命的な力によって結果が左右されることは、これまでの有馬記念の歴史も物語っている。

「今年使った中では一番状態が良かった。負けはしたが得るものがあったレース。馬もやり切ったと思います」

 レース後、主戦騎手がそう前を向いているだけに、来年もエフフォーリアの姿が見たい。いや、来年こそは復活した強いエフフォーリアを見たい。それにしても、単勝にしてわずか0.1倍差の5番人気……今の本馬の歯痒さが集約されたようなオッズだった。

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