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JRA何故「皐月賞」が第1位?『世界のトップ100』有馬記念、ジャパンCではなく…3歳限定戦が最高レベルに認定された理由

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撮影:Ruriko.I

 17日、IFHA(国際競馬統括機関連盟)が昨年2022年の『世界のトップ100G1競走』を発表した。12か国のG1競走の中から、第1位に米国のブリーダーズCクラシック、第2位に英国のチャンピオンS、第3位にフランスの凱旋門賞と、日本でもお馴染みの世界最高峰の舞台が名を連ねている。

 また、日本からは合計12のG1競走がトップ100入り。昨年の11競走から1つ増加し、世界では豪州、米国、英国に次ぐ4位の競走数となった。

 今や世界トップ100の常連国である日本だけに、特に目新しい結果ではない。だが、今回の発表は競馬ファンの間でちょっとした議論を呼んだ。何故なら、日本で最も高い評価を受けたのが「皐月賞」だったからである。

 過去3年、日本で最高評価だったレースは2019年の宝塚記念、2020年のジャパンC、そして2021年の天皇賞・秋である。いずれも現役最強を競う古馬王道路線のレースであり、順当な決定といえるだろう。

 しかし、皐月賞は毎年の春に行われる牡馬クラシック第1弾、それも3歳限定戦だ。これまでも将来の競馬界を担う数々の名馬を輩出したレースではあるが「日本最高レベル」というには少々違和感がある。

 それだけに今回の発表には、ネット上でも「何故、皐月賞?」という声が少なからずあった。

 ちなみに『世界のトップ100G1競走』はJRA賞のような投票ではなく、純粋に「上位4頭のレーティングの平均」で決定されている。簡単に言えば、上位陣が豪華メンバーであればあるほど高い評価を受けやすいということだ。

 その上で、下記が昨年の皐月賞の上位4頭だ。

2022年 皐月賞上位4頭

1着 ジオグリフ
2着 イクイノックス
3着 ドウデュース
4着 ダノンベルーガ

 最終的に年度代表馬に上り詰める2着イクイノックス、日本ダービーを勝つ3着ドウデュースの名が光ってはいるものの1着ジオグリフ、4着ダノンベルーガは、その後未勝利で2022年を終えている。

3歳限定戦が最高レベルに認定された理由とは…

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イクイノックス

それだけに「上位4頭のレーティングの平均」では苦戦を強いられておかしくない。だが、決め手になったのは、やはりイクイノックスの存在だ。

 昨年のイクイノックスのレーティングは126(有馬記念1着)。これは世界の3歳馬でトップ評価であり、古馬を含めても米国のフライトライン、英国のバーイードに次ぐ世界3位タイである。

 この世界トップレベルの怪物が「上位4頭のレーティングの平均」に与える影響は、言うまでもなく絶大だ。昨年の日本トップ5は皐月賞(121.00)、天皇賞・秋、ジャパンC(120.75)、日本ダービー、有馬記念(120.50)だが、その内4つはイクイノックスが出走したレースである。

 また、4着のダノンベルーガは主な勝ち鞍が共同通信杯(G3、レーティング115)だが、天皇賞・秋3着のレーティング119が大きい。これは皐月賞1着のジオグリフと同評価であり、アスクビクターモアの菊花賞1着117よりも高い。秋のジャパンCでは当時、賞金不足で出走が危ぶまれていたが、レーティング上位5頭の優先出走で滑り込んだ経緯もある。

 以上から、昨年の皐月賞は1着ジオグリフ(119)、2着イクイノックス(126)、3着ドウデュース(120)、4着ダノンベルーガ(119)の平均121.00を叩き出し、日本最高評価を受けたというわけだ。

 また、この皐月賞は5着が菊花賞馬アスクビクターモアであり、キラーアビリティが昨年12月の中日新聞杯(G3)、ラーグルフが今年の中山金杯(G3)を勝つなど、下位に沈んだ馬たちの活躍も目立っている。

 レーティングはあくまで競走馬の能力の目安に過ぎないものの、昨年の日本競馬を代表することになった皐月賞から、今年も多くの活躍馬が出ることに期待したい。

浅井宗次郎

浅井宗次郎

1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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