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かつて「失敗の烙印」を押されかけた名牝シーザリオ、最後の産駒デビューで思い出される「13年前の奇跡」

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かつて「失敗の烙印」を押されかけた名牝シーザリオ、最後の産駒デビューで思い出される「13年前の奇跡」の画像1
撮影:Ruriko.I

 28日の東京6R・3歳新馬(芝1600m)はフルゲート16頭に対し、31頭の出馬投票があった。2倍近い倍率を潜り抜けて出走にこぎつけた1頭がテンペスト(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)である。

 父がロードカナロア、母は2005年に日米のオークスを制したシーザリオという超良血馬のテンペスト。もともと昨年12月の中山でデビューを予定していたが、枠順確定後に左前球節に腫れが出たため出走を取り消していた。

 超良血と呼ばれる理由は母がシーザリオだからだ。これまで10頭の産駒がJRAで走っているが、9頭が勝ち上がっていて、このうちエピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの3頭がG1を制覇している。唯一勝ち上がれなかったロザリンドも母として重賞4勝のオーソリティを産むなど、今後数十年は日本でシーザリオの血が残っていくだろう。

 そんな名牝のシーザリオが残した最後の産駒がテンペストである。

 しかし、今でこそ名繁殖牝馬として確固たる地位を築いているシーザリオだが、繁殖入り直後の数年は失敗の烙印を押されかけたこともあった。

最後の産駒デビューで思い出される「13年前の奇跡」

「実は菊花賞(G1)とジャパンC(G1)を制した3番仔のエピファネイアが出るまでは繁殖牝馬として決して順風満帆ではありませんでした。キングカメハメハ産駒だった初仔のトゥエルフスナイトと2番仔のヴァイオラはどちらも虚弱体質で普通の調教もままならない状態。ヴァイオラの方はデビューが叶わず3歳春に蹄葉炎を患って死亡しています。

一方で、トゥエルフスナイトはデビューにはこぎつけましたが、春のクラシックもとっくに終わり、秋口に差し掛かった3歳9月の札幌でした。出走したのは最後の勝ち上がりを懸けた“スーパー未勝利戦”。陣営も何とか間に合わせたという状態だったと記憶しています」(競馬誌ライター)

 待ちに待ったシーザリオ初仔のデビューということで、初出走のトゥエルフスナイトをファンは3番人気に支持した。しかし、何度も勝ち負けしている既走馬もいて、苦戦は免れないとみられた。

「宮崎北斗騎手を背にトゥエルフスナイトは好スタートを決めると、すんなり好位を確保。道中は上手く流れに乗って、4角では早め先頭に立つ積極策を見せました。最後は直線で後続の追撃をしのいで一発回答で勝利を収めました。

レース後には宮崎騎手が『この時期にこのメンバーで勝てるんですから、能力は非常に高い』というコメントを残し、その後の活躍が期待されましたが、体質の弱さは解消されず。結局1戦1勝のまま約1年後には登録を抹消されています」(競馬誌ライター)

 母のシーザリオに対して懐疑的な見方が渦巻く中、初仔トゥエルフスナイトの激走はほんの一瞬だが明るい光を照らしたのは間違いないだろう。

 あれから13年、繁殖牝馬として大成功を収めたシーザリオ最後の産駒が仕切り直しの一戦を迎える。

GJ 編集部

GJ 編集部

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