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今村聖奈に続け!新人女性騎手・小林美駒が示した非凡なセンスと勝利への執念

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 競馬界にとって、3月は新たな出会いの季節。今年は計6名の新人騎手がデビューを果たした。

 初週から初勝利を掴む騎手は出なかったものの、4日の阪神1Rでクリノクリスタルに騎乗した田口貫太騎手はデビュー戦でいきなり2着と健闘。この週中は笠松に遠征して2日連続で白星を挙げるなど、同期たちを一歩リードしている。

 その一方で、出だしから4名で計5件の制裁を受けたという点は褒められたものではないが、ある意味これもこの時期の“風物詩”と言えるだろう。なにはともあれ、大きな事故などなく全員が無事にプロとしての第一歩を踏み出した。

 そんな今年の新人騎手の中で、キラリと光るものを見せてくれたのが美浦・鈴木伸尋厩舎所属の小林美駒騎手である。

 2005年3月19日生まれの同騎手は、JRA最年少の17歳。デビュー初日の4日は中山12Rで自厩舎のクリーンドリームに騎乗して、あと一歩で初勝利かという3着に食い込んでみせた。

 土日の中山開催で計6頭に騎乗したのだが、光ったのは“スタートセンスの良さ”だ。6頭すべてで目立った出遅れがなかっただけでなく、6頭のうち5頭は前走と比べて最初のポジション取りが良化していた。

小林美駒騎手が示した非凡なセンスと勝利への執念

 特筆すべきは5日の中山4Rだ。騎乗したノーブルハーバーはキャリアで1度も逃げたことがない馬だったが、好発を決めると果敢にハナを奪ってレースの主導権を握った。最後は馬群に飲み込まれたものの、強みである減量を生かして前で流れに乗ろうという姿勢が随所に見られた。

 上述した中山12Rも最後は差し馬の強襲に遭ったが、4コーナー3番手から逃げ馬を捉えて一時は先頭に立つシーンもあった。最後はクビ差・ハナ差の3着と好勝負を演じており、今後も逃げ先行で見せ場を作ってくれることだろう。

 そして小林美騎手の魅力はスタートの巧さだけではない。この世界では必要不可欠な、“勝利への執念”が垣間見えるシーンもあった。

 実は3着に入った4日の中山12Rにおいて、同騎手は「戒告」を受けたという。JRAのレース結果を見ると、たしかに「最後の直線コースでの御法(鞭の使用)について戒告」とある。

 そこでレース映像を見返してみると、逃げる相手を追いかけた直線、残り200mのハロン棒付近で鞭を“6回”連打している姿を確認することができる。

 JRAでは今年からこの「御法(鞭の使用)」に関する新ルールが適用され、従来は「1レース内で連続10回まで」だったのが「5回まで」に半減しているのだ。おそらく今回の小林美騎手の戒告も、このルールに基づいて下された判定と思われる。

 当然ながら、小林美騎手がこのルールを知らないということは考えづらい。ただ、やはり初勝利が目の前にチラついてきた状況では、何が何でも勝ちたいという思いが前面に出てしまうのは仕方がないことだろう。むしろ“勝負師”の資質があるとも言える。

 実際に、大先輩であるM.デムーロ騎手も『netkeiba.com』にて連載中のコラム内で、ファンから「鞭の回数を数えている余裕はあるの?」という質問を受け、「数えている」としながらも、「接戦になったりして勝ちたい気持ちが高まってくると、数える余裕がなくなる」と明かしていた。

 ルールはルール。プロとしては守らなければいけないものなのだが、やはりこの厳しい世界を生き抜いて行くためには、ひとつでも上の着順を掴み取るという姿勢が大事。それだけに、この「戒告」から見えた“勝利への執念”は持ち味として前向きに捉えたいポイントにもなる。

 JRAの女性騎手といえば、昨年は今村聖奈騎手が女性騎手にまつわる様々な記録を塗り替え、最終的には51勝を挙げて「最多勝利新人騎手」のタイトルも獲得。競馬界に新風を吹き込み、フィーバーを巻き起こした。

 そんな偉大な先輩に追いつけ、追い越せ。2年続けてニューヒロインの誕生となれば、競馬界もより一層盛り上がることだろう。一方で、今年も新たに2名の女性騎手がデビューを果たし、JRAの女性騎手は総勢6名に。結果を残すことができなければ、その中に埋もれてしまうのだ。

 まずは初勝利を挙げてキャリアの第一歩を踏み出し、飛躍への足掛かりとすることができるか。今週末の小林美駒騎手は、中山と中京で計11鞍に騎乗予定。笑顔の初勝利インタビューを楽しみに待ちたい。

GJ 編集部

GJ 編集部

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