岩田康誠「大絶賛」の超新星が4連勝! 大変身の裏にT.マーカンドの“金言”も、かつての主戦は「昨年、今年0勝」の184連敗…
19日、中山競馬場で行われた千葉S(OP、ダート1200m)は、1番人気のスズカコテキタイ(牡4歳、美浦・奥村武厩舎)が人気に応える完勝。これで4連勝となり、ダートの短距離界にまた新星が現れた。
16頭立てで行われたダート1200mのレース。イン突きが得意な岩田康誠騎手だが、この日は「初めて乗ったので無難な競馬をした」と話した通り、4枠8番から外々を回る競馬。人気馬らしい、いい意味で無難なレース運びだったが、それでも最後は外から鋭く伸びて2着テイエムトッキュウを1馬身差でしっかりと捉えた。
「スタート良し、中良し、終い良し……言うことないですね」
この内容には、逃げ切りを図ったテイエムトッキュウの北村友一騎手も「今日は勝ち馬の脚が上でした」と白旗を上げざるを得なかったようだ。それにもかかわらず岩田康騎手は「自分のリズムで走れば、もっと強い競馬ができたと思う」と大絶賛。管理馬の勝利を見届けた奥村武調教師が「大きなところを目指していきたい」と希望を膨らませるのも当然だろう。
これで怒涛の4連勝となったスズカコテキタイだが、4歳春にしてすでにキャリア15戦目と、連勝前までは1勝クラスの壁にぶち当たっていた。
大変身の裏にT.マーカンドの“金言”も
しかし、昨秋に短期免許で来日した英国の名手T.マーカンド騎手とコンビを結成して風向きが変わった。休み明けのレースで2着して約1年ぶりに連対すると、次走で1勝クラスをあっさり突破。マーカンド騎手が帰国した後は、仏国の名手T.バシュロ騎手とコンビを組み、さらに連勝を重ねてオープン入りを果たしている。
1勝クラス突破に7戦を費やした馬に一体、何があったのだろうか。
「実は昨秋にマーカンド騎手が騎乗した際、陣営にブリンカーの着用を勧めたそうです。どうやら効果テキメンだったようで、そこから連勝街道が始まっています。4連勝がすべて中山ダート1200mと、この舞台が合っていることも確かですが、マーカンド騎手の助言がいい方向に作用したことは間違いないでしょうね」(競馬記者)
マーカンド騎手といえば、昨秋に妻のH.ドイル騎手と日本初参戦。当時は同時期に来日したC.デムーロ騎手やD.レーン騎手の陰に隠れる形だったが、瞬く間にその手腕を発揮するとジャパンC(G1)では三冠牝馬デアリングタクトの復活を託された。
昨年は英愛仏でG1制覇を果たすなど、英国だけでなく欧州全体から注目される名手だけに、スズカコテキタイを“大変身”させたさすがの慧眼と言える。
だが、その一方で悪目立ちしてしまっているのが、かつての主戦・岩部純二騎手だ。
かつての主戦は「昨年、今年0勝」の184連敗…
スズカコテキタイは一昨年の秋に、岩部騎手とのコンビでデビュー。3戦目の未勝利戦を勝ち上がったものの、その後は鳴かず飛ばずの日々が続いた。その後、昨年2月のキャリア9戦目で主戦を降板。スズカコテキタイが出走した中山で騎乗していたが、無念の乗り替わりとなっている。
「岩部騎手も以前『調教では動くし、走る馬』とスズカコテキタイに期待をかけていたのですが……。結果が出ない以上、乗り替わりは仕方なかったのかもしれません。
今回のレース後にもSNSなどで『やはり上手い騎手だと違う』『岩部が乗ってた時は何だったんだ』といった声もありましたが、この4連勝は昨春に今の奥村武厩舎へ転厩して環境が変わったことも大きいと思いますよ」(別の記者)
この日、かつての相棒と同じ中山に参戦していた岩部騎手だが、実は一昨年の10月以降、ずっと勝利から遠ざかっている。最後の勝利は10月23日の未勝利戦、騎乗馬はスズカコテキタイだった。連敗はこの日で184となったが、逆に言えば、それだけまだ騎乗依頼があるということ。大連敗を重ねるにはまず、誰かに頼まれてレースで騎乗する必要があるからだ。
同じ中山の3Rでは、西村太一騎手がJRAで約4年ぶりに勝利を挙げたことが話題になった。「苦しかったし、辞めようと思ったこともありましたが、応援して支えてくれる人たちのおかげで頑張ってこれました」という言葉は、同じような“崖っぷちのジョッキー”たちの励みになったはずだ。
昨年、そして今年もまだ勝利がない岩部騎手だが、スズカコテキタイのようにきっかけ一つで大変身できるのが競馬だ。まずはワンチャンスを掴みたい。
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