【京王杯SC(G2)展望】長期休養明け2戦目「スプリント王」ピクシーナイト VS「3歳マイル王」ダノンスコーピオン!
13日、東京競馬場では京王杯スプリングC(G2)が行われる。1着馬に安田記念(G1)の優先出走権が与えられる注目のステップレースを制するのは、果たしてどの馬か。
2021年のスプリンターズS(G1)を制したピクシーナイト(牡5歳、栗東・音無秀孝厩舎)は長期休養明け2戦目で、変わり身に期待がかかる。
モーリス産駒の快速馬がG1初制覇を果たしたのは2年前の秋だった。その後はスプリント界を牽引する存在になると目されたが、その年の暮れに香港スプリント(G1)で多重落馬事故に巻き込まれ転倒。復帰まで1年以上を要する長いリハビリ生活を経験した。
ようやく戦列復帰を果たしたのは今年の3月。デビューから手綱を取り続けていた福永祐一騎手はすでに調教師に転身していたため、戸崎圭太騎手との新コンビで高松宮記念(G1)に出走した。
調教では骨折明けを感じさせない軽快な動きを披露していたが、やはり長いブランクも響いたか結果は13着。戸崎騎手も「4コーナーで一瞬オッと思いましたが」と手応えを感じつつも、「休み明けの分、苦しくなりました」と久々の実戦に敗因を求めた。
前走後はいったん放牧に出されたが、先月中旬には栗東に帰厩。先月20日から坂路で時計を出し始め、3週前に53秒6、2週前に51秒3、そして1週前に50秒7と、上昇カーブを描いているのは時計面からも明らかだ。
1400mは久々となるが、骨折前の状態に近づいていれば勝ち負けは必至だろう。
スプリンターのピクシーナイトに対して、ダノンスコーピオン(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)は生粋のマイラーと呼べる存在だ。
昨年のNHKマイルC(G1)を大外18番枠から勝ち切った実力の持ち主で、秋以降もマイル路線での活躍が期待された。
昨秋は富士S(G2)から始動。古馬に交じって3着に入ったが、続くマイルCS(G1)は11着、さらに初海外の香港マイル(G1)は6着と精彩を欠いた。
その後は間隔を空けて、予定通り京王杯SCで実戦復帰。順調ならこの後は安田記念を見据えているはずだ。
昨年のマイルCSで11着に敗れた際、主戦の川田将雅騎手は「ここへきて改めて体が成長しようとしているのか、バランスが変わっていました。もうひとつ成長してからですね」とコメントしていたが、5か月の充電を経て460kg台だった馬体はどこまで逞しくなっているか。
これまでの9戦はマイルから1800mの距離を使われていたダノンスコーピオンだが、今回は初の1400mに挑む。長年にわたって「短距離王国」を築いてきた安田隆調教師の策略やいかに。
スプリントG1覇者とマイルG1覇者の2頭の間に割って入るとすれば、昨年のスプリンターズSで2着の実績が光るウインマーベル(牡4歳、美浦・深山雅史厩舎)だろう。
勝ち上がりに6戦を要した本馬が本格化の兆しを見せたのは、昨年の春だった。5月に橘S(L)と葵S(G3)を連勝すると、古馬と初対戦となったキーンランドC(G3)で2着に好走。さらにスプリンターズSでもクビ差の2着に入り、その実力を知らしめた。
その後はやや間隔を空けて1月のシルクロードS(G3)から始動。59kgのトップハンデが嫌われてか4番人気に留まったが、結果は人気を下回る7着に敗れた。
陣営は続く高松宮記念での巻き返しを期したが、中団から伸びを欠いて10着と2戦続けて掲示板を外している。その前走は「雨が降り過ぎてラストは苦しくなりました」と鞍上の松山弘平騎手が話したように、芝では初体験の不良馬場にも泣いた形となった。近2走の結果を受けて、今回は約1年ぶりの7ハロン戦で、葵S以来のVを見据える。
4勝のうち3勝を2000mで記録しているゾンニッヒ(牡5歳、栗東・池江泰寿厩舎)は、芝では初の7ハロン戦を迎える。
昨夏までは中距離、昨秋以降はマイルを主戦場にしていたゾンニッヒ。重賞初挑戦の前走ダービー卿チャレンジT(G3)を3着に好走しており、ポテンシャルは高い。G1馬が複数いる中に入ると実績的には見劣りするが、豪州の若き名手D.レーン騎手が勝利に導いても不思議ではない。
トゥラヴェスーラ(牡8歳、栗東・高橋康之厩舎)は、前走・高松宮記念で13番人気の低評価を覆して3着に激走。2年前の京王杯SCでも2着の実績があり、8歳馬だからと軽視はできない。
2年前にそのトゥラヴェスーラを破ったのがラウダシオン(牡6歳、栗東・斉藤崇史厩舎)だ。そのレースを最後に丸2年、勝利を挙げられていないが、20年NHKマイルCを制したG1馬の意地を見せたいところだろう。
この他には、前走のダービー卿CTで1番人気に支持されたが出遅れが響いて7着に敗れたレッドモンレーヴ(牡4歳、美浦・蛯名正義厩舎)、15年のNHKマイルC2着のアルビアーノを母に持つアヴェラーレ(牝5歳、美浦・木村哲也厩舎)、今回と同舞台の京王杯2歳S(G2)を勝っているモントライゼ(牡5歳、栗東・松永幹夫厩舎)などがスタンバイ。虎視眈々と上位をうかがっている。
スプリントから中距離まで、様々な距離で活躍してきた馬がそろった今年の京王杯SC。発走時間は13日、15時45分を予定している。
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