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「武豊×ウオッカ」以来の偉業に挑む戸崎圭太、“府中の鬼”ソングラインの連覇あるか

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ソングライン 撮影:Ruriko.I

 東京競馬場の5週連続G1開催も今週末がいよいよ最後となる。熱戦を締めくくるのが、4日に行われる安田記念(G1)だ。

 春のマイル王決定戦に、今年は10頭ものG1馬が参戦を表明した。例年以上に豪華なメンバー構成となった中、昨年に続く連覇を目指すのがソングライン(牝5歳、美浦・林徹厩舎)である。

 昨年の安田記念を4番人気で制し、キャリア11戦目にして悲願のG1初制覇を成し遂げたキズナ産駒だが、秋はキャリア初のスプリント戦となったセントウルS(G2)で5着に敗れ、今年の初戦も前年に優勝しているサウジアラビアの1351ターフスプリント(G3)で10着と大敗していた。

 それでも、休みを挟んで立て直しを図った前走のヴィクトリアマイル(G1)では、雨を切り裂くようにインから力強く抜け出し、前年の覇者・ソダシを退けて1着でゴールイン。得意舞台で真価を発揮し、2つ目のG1タイトルを手にした。これで同馬の東京・芝1600mの成績は【4-1-0-1/6】となり、勝ち星も2つがG1で、もう1勝もG2という驚異的な成績となっている。

 まさに庭と言える府中マイルの舞台で、その最高峰である安田記念を連覇することができれば、2008~2009年のウオッカ以来の快挙となる。前走とは違い、今回は歴戦の古馬や3歳マイルG1を制した有望株をはじめ、強力な牡馬との対決となるだけに、連覇はそう簡単ではない。

 そこで心強いデータとして挙げられるのが、近年の安田記念における牝馬の奮闘である。

 JRA公式サイトの「データ分析」を見ても、2つ目の注目ポイントには「牝馬が好成績」という見出しが躍る。安田記念の過去10年の成績を見てみると、牝馬は【2-4-1-11/18】で3着内率38.9%を誇っているほか、もっと言えば馬券に絡んだ「2-4-1」の部分はすべて近5年のうちに記録されたものであり、実は牝馬が5年連続で連対を果たしているのだ。

 その一方で気がかりな点もある。「牝馬が好成績」という事実はありながら、ヴィクトリアマイル優勝馬に限っては安田記念で苦戦を強いられているのだ。

 中でも記憶に新しいのが、2020年のアーモンドアイだろう。言わずと知れた2018年の三冠牝馬は、2019年の暮れに有馬記念(G1)でキャリア初の大敗を喫するも、年を越して仕切り直しの一戦として挑んだヴィクトリアマイルは後続に0秒7の差をつける圧勝。単勝1.4倍という絶大な人気に応え、その強さを再び誇示して見せた。

 ところが、続戦した安田記念は1.3倍と前走以上の人気を背負ったものの、スタートで出遅れるアクシデントに見舞われる。出走14頭中11番手からの競馬となると、直線では外に出して徐々に位置を上げたものの、インから上がり最速33秒7で突き抜けたグランアレグリアを捉えることはできず、0秒4差の2着に終わった。

 そしてその最強馬・アーモンドアイを破ったグランアレグリアも、1年後にヴィクトリアマイルで後続に0秒7差をつける完勝。単勝1.3倍の圧倒的支持に応えて安田記念に挑んだが、前年の上がりを短縮する32秒9の豪脚を使いながら、先に抜け出したダノンキングリーには一歩届かず。C.ルメール騎手は2年連続で勝利を逃す格好となった。

 それ以前の歴史を振り返ってみても、2006年に第1回ヴィクトリアマイルを制して安田記念に臨んだダンスインザムードが続く安田記念では5着に敗れており、2011年には前年に牝馬三冠を成し遂げたアパパネがヴィクトリアマイルを勝って安田記念に挑んだが、単勝2.2倍の1番人気で6着に敗れている。

 さらにもう一頭、2013年のヴィルシーナも同様のローテーションで府中マイルのG1を連戦したが、安田記念では8着。同じ舞台でのG1勝利で弾みがつくかと思いきや、“中2週”という間隔での連戦はG1を複数回勝利するような名牝であっても一筋縄ではいかないというのがよく分かる。

 ただ、ヴィクトリアマイルと安田記念を連勝してみせた名馬が一頭だけいる。冒頭にも登場した、2009年のウオッカだ。

 同馬は2008年も同じローテを歩んだが、その時はヴィクトリアマイルで5番人気の伏兵・エイジアンウインズに先着を許してしまった。それでも、続く安田記念ではテン乗りの岩田康誠騎手が勝利に導き、前年の日本ダービー(G1)以来となるタイトルをゲット。復活の勝利を挙げた。

 それから1年後、史上初となるヴィクトリアマイルから安田記念のマイルG1連勝と、ヤマニンゼファー以来となる安田記念の連覇を同時に達成。安田記念では最後の直線でなかなか進路が見つからず、手綱を取った武豊騎手も「直線を向くまではうまく進めましたが、その後は下手ですね」と振り返っている。

 それでも、最後は抜け出したディープスカイを差し切って見事に1着でゴールイン。わずか0秒1差の辛勝となり、名手に「あの状況でも勝ってくれるんですから強いですね。馬を褒めて下さい」と言わしめた。

 思えばソングラインも、昨年はヴィクトリアマイル5着からの安田記念優勝ということで、先に安田記念で勝利を挙げておいて、1年後にヴィクトリアマイルを制するまではウオッカと同じ歩みとなっている。

 歴史的名牝以来となる14年ぶりの偉業の“ダブル達成”へ……。ソングラインと戸崎圭太が歴史に名を刻む瞬間は訪れるのか。大きな注目ポイントとなりそうだ。

GJ 編集部

GJ 編集部

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