安田記念(G1)グレード制導入後「初圏内」で名を轟かせた3歳馬、武豊と秋G1で盛大に散った「芦毛の怪物」
4日に戦いの火蓋が切られる安田記念(G1)。先月のNHKマイルC(G1)を制したシャンパンカラー(牡3歳、美浦・田中剛厩舎)が、2011年のリアルインパクト以来となる3歳馬の優勝を虎視眈々と狙っている。
前走から中3週となるだけに状態面が気になるところだが、管理する田中剛師は『スポーツニッポン』の取材に「前走の疲れどころか、さらにパワーアップしています」と実に頼もしいコメント。最終追い切りに跨った主戦の内田博幸騎手も「どれだけやれるか楽しみです」と話すなど、確かな手応えを感じているようだ。
古馬とは負担重量差が4キロある上、東京の芝1600mはこれまで3戦3勝と絶好の舞台である。12年ぶりの快挙が達成されたとしても何ら不思議ではない。
なおグレード制が導入された1984年以降、安田記念に3歳馬(旧4歳)はこれまで9頭が出走し【1-0-2-6】となっている。頭数を考えると、それほど悪くない成績なのではないだろうか。
ちなみに最初に馬券に絡んで歴史に名を刻み込んだのが、1997年に3番人気で3着に入ったスピードワールドである。
芦毛でアメリカ生まれの同馬は、1996年に芝1400mのデビュー戦を4馬身差で快勝。2戦目の府中3歳S(当時G3 現・東京スポーツ杯2歳S)こそ2ハロンの距離延長も影響してか5着に敗れたものの、続く同年暮れのひいらぎ賞(500万下・当時)から翌年3月のクロッカスS(OP・当時)まで3連勝を飾った。
特に中山・芝1600mで開催されていたキャリア4戦目の京成杯(G3)では、大外10番枠からスタートするも出遅れ。単勝1.2倍と圧倒的人気を背負っていたこともあり場内はざわついたが、持ったまま4コーナーで先頭に並びかけると、直線だけで後続に6馬身差をつける圧勝劇。ファンからは「芦毛の怪物」とも呼ばれるようになった。
その後、3歳春はNHKマイルCを目指して調整されていたのだが、脚部不安を発症したため回避。矛先を安田記念に変えると、主戦の的場均騎手(現調教師)が落馬負傷していたこともあり、田原成貴騎手(当時)と新コンビを結成して臨んだ。
レースでは最後方付近を追走し、最後の直線で馬群の中を割って猛然と追い込んだが、勝ち馬のタイキブリザードから0秒3差の3着まで。敗れはしたものの、グレード制が導入されて以来、3歳馬として初めて同レースで馬券に絡んだのだから、その名を轟かせるには十分すぎるほどのパフォーマンスだったのではないだろうか。
「スピードワールドはその後、同年秋に武豊騎手との新コンビでマイルCS(G1)に出走。当日は1番人気に支持されましたが、プラス18キロの馬体増も堪えたのか、レースでは後方のままほとんど見せ場を作れず12着に大敗しました。
引退後は種牡馬入りしましたが、ブルードメアとして2010年の阪神ジュベナイルF(G1)3着のライステラスを送り出しました。昨年8月に惜しくもこの世を去っています」(競馬誌ライター)
そんな芦毛の怪物スピードワールドが大健闘を見せた安田記念から、早くも四半世紀以上の時が流れた。果たして今年の3歳馬シャンパンカラーはどのような走りを見せてくれるだろうか。
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