「遅れてきた大器」が秋の逆転に好発進…シュネルマイスター凌ぐ32秒7の切れ味にC.ルメールも手応え十分、敗れた相手も「今日は相手が悪かった」

先月末にタスティエーラが日本ダービー(G1)を制したばかりだが、来年のクラシックを夢見る2歳馬が次々にデビューしただけでなく、ラスト一冠での逆転を目指す有力馬たちも、賞金の加算が急務となる時期である。
安田記念(G1)と同日に行われた日曜東京9RのホンコンジョッキークラブT(2勝クラス)を勝利したドゥレッツァ(牡3、美浦・尾関知人厩舎)もまた、秋の飛躍を誓う実力馬の1頭だ。
昨年9月の中山でデビューし、このときは超スローペースで前残りの展開に泣いて3着に敗れたものの、東京に舞台を替えた2戦目の未勝利戦では、素質馬のサトノグランツを上がり3ハロン33秒4の切れで撃破。同馬は後に京都新聞杯(G2)を制し、ダービーで穴人気した実力の持ち主だっただけに、これを破ったドゥレッツァの評価も相対的に上がった。
前走の山吹賞(1勝クラス)で勝利に導いた横山武史騎手からC.ルメール騎手に手綱の戻った今回は、単勝オッズ1.3倍の大本命に支持された。前日の雨の影響で渋っていた馬場コンディションも良馬場まで回復していたこともあり、瞬発力が武器のドゥレッツァにとって、直線の長い東京は十二分に能力を発揮できる舞台設定となった。
ただ、近年のホンコンJCTについては波乱が続いており、1倍台の大本命といえども楽観できない現実もあった。何しろ1勝クラス条件で開催されていた2013年から18年の間は堅いレースだったのに対し、2勝クラスとなった19年以降は1番人気馬が全敗。昨年も1.2倍の断然人気を集めたドゥラドーレスが3着に敗れて大波乱となっていた。
「遅れてきた大器」が秋の逆転に好発進…
9頭立てで行われた芝2000mのレースは、逃げたヘネラルカレーラが超スローペースに持ち込む展開。昨年と同じような状況が再現されたものの、ルメール騎手の判断は驚くほど冷静だった。
「一瞬、昨年のドゥラドーレスの敗戦を思い浮かべましたが、そこは東京で抜群の成績を誇る名手だけあって杞憂に終わりました。スタートを無難に決めると、好位の3番手からいつでも前を交わせるポジションをキープ。後は直線で逃げ粘る相手をパスするだけのパーフェクトな騎乗でした。
ただ、そんな当たり前に思える結果もルメール騎手だからこそ、安心して見られたと思います。もし凡庸な騎手が騎乗していたなら、仮に好スタートを決めていたとしても、折り合えないまま後方に下げて、末脚が不発というケースは珍しくありません。手の合っている人馬ですし、このままコンビ継続に期待したいですね」(競馬記者)
奇しくもドゥレッツァは、昨年に不覚を取ったドゥラドーレスと同じドゥラメンテの産駒。波乱が続くレース傾向が気になったファンもいたのではないか。そんな心配をよそに何事もなかったかのように任務を遂行する仕事人の好判断は、目に見えないファインプレーだったといえる。

レース後のコメントでもルメール騎手から「パワーアップしていました」「ずっと楽でした」「上のクラスもいける」とポテンシャルの高さに太鼓判が押されれば、3着馬に4馬身差をつけて、本来なら楽勝しても不思議ではない善戦に持ち込んだヘネラルカレーラの坂井瑠星騎手も「今日は相手が悪かったです」と白旗を上げざるを得なかった。
このレースでマークした上がり3ハロン32秒7の末脚は、ペースや相手関係は違っていたとはいえ、G1の安田記念を完勝したソングラインの33秒1だけでなく、シュネルマイスターの上がり最速32秒8をも上回った。このまま順調に秋を迎えることができれば、遅れてきた大物候補が既存の勢力図を塗り替える可能性もありそうだ。
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