【マーメイドS(G3)展望】菊花賞馬の全妹ビッグリボンが中心! 「騎乗停止明け」角田大河&今村聖奈も参戦へ
18日、阪神競馬場では牝馬限定重賞のマーメイドS(G3)が行われる。ハンデ戦とあって波乱決着は当たり前。特に近5年は7番人気の馬が2勝、10番人気の馬が3勝を挙げている。
そんな穴党必見のレースで1番人気に推されそうなのがビッグリボン(牝5歳、栗東・中内田充正厩舎)だ。
17年の菊花賞馬キセキの全妹で、重賞挑戦は前走に続き2度目。前走・福島牝馬S(G3)は初めての1800m戦で、序盤は追走にやや苦労し、中団後方からの競馬となった。4角で6番手まで押し上げ、直線は大外を通って、ゴール前はステラリアとの追い比べ。先に抜け出していたクリノプレミアムを交わしたものの、ステラリアにはハナ差及ばなかった。
それでも初の重賞で、かつてのエリザベス女王杯(G1)2着馬にあと一歩まで迫ったことは高く評価すべきだろう。
前走のハナ差負けに悔しさを露わにしたのは、コンビ通算「2-1-1-0」とした西村淳也騎手。レース後、「着差が着差だけにとても悔しいです。もう少しうまく乗れていれば……」とコメントを残した。引き続き騎乗を託され、今回は相当な意気込みで臨むだろう。
前走から1ハロン長い2000mは走り慣れた距離でもあり、牝馬限定戦なら血統的に大きなプラスになるはず。兄キセキにも負けない馬格の持ち主で、阪神の急坂も、他馬より背負うことになるであろう斤量もあっさり克服して不思議はない。
実績でビッグリボンを上回るウインマイティー(牝6歳、栗東・西園正都厩舎)。6歳を迎えたが、衰える気配は微塵もない。
3歳時にオークス(G1)でデアリングタクトの3着に好走したが、その後は長らく低迷していた。暗いトンネルから抜け出したのはちょうど1年前。昨年の当レースで10番人気の低評価に反発し、2年2か月ぶりの美酒を味わった。
その後は京都大賞典(G2)でヴェラアズールの3着、エリザベス女王杯こそ16着に大敗したが、年末には有馬記念(G1)で強豪牡馬に挑戦し、大健闘の6着。さらに今年2月の京都記念(G2)でもドウデュースの6着と牡馬の一線級相手に大崩れしていない。
4か月ぶりの実戦は転厩初戦となるが、ディフェンディングチャンピオンとして無様な競馬はできないだろう。鞍上を務める和田竜二騎手にとっても1年ぶりの重賞制覇が懸かる。
ストーリア(牝4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)は、昨年の春から夏にかけて3連勝を飾り、秋華賞(G1)にも駒を進めた好素材の持ち主だ。
秋華賞は8着に敗れたが、自己条件の3勝クラスを2走挟み、格上挑戦で臨んだのが今年3月の中山牝馬S(G3)。52kgとハンデにも恵まれた一戦で、スルーセブンシーズには完敗を喫したが、2着に粘り込んだ。
続く福島牝馬Sで1番人気に支持されたが、道中早めに進出した積極策が裏目に出て5着。それでも勝ったステラリアと2着ビッグリボンとは0秒3差と実力の一端は示している。テン乗りの坂井瑠星騎手が新味を引き出せるか。秋のビッグレースに向けても、ここでしっかり賞金を加算しておきたい立場だ。
梅雨の時期に開催されるレースだけに、道悪になる可能性も十分あるだろう。そうなった時に浮上するのがホウオウエミーズとビジンの2頭である。
3年連続で出走を果たすホウオウエミーズ(牝6歳、美浦・池上昌和厩舎)は、昨秋の新潟牝馬S(OP)を含めて全5勝を重か稍重の馬場でマークしている道悪巧者。良馬場の昨年は最下位16着に敗れているだけに「一雨降れば」という存在だ。
ビジン(牝4歳、栗東・武英智厩舎)は、ダートで3勝を挙げているように牡馬勝りのパワータイプ。前走・サンシャインS(3勝クラス)で芝初勝利を飾ったが、重馬場も味方につけた印象だった。今回も力を要する馬場になれば出番はあるだろう。
スマートフォンの不適切使用で30日間の騎乗停止処分を受けた角田大河騎手と今村聖奈騎手の2人も参戦を予定している。
角田河騎手がコンビを組むのはシンシアウィッシュ(牝4歳、栗東・吉村圭司厩舎)。昨年のフローラS(G2)で3着した実力馬だが、その後はなかなか勝てず、ようやく前走で2勝クラスを突破した。ポテンシャルは高いだけに、軽ハンデを味方に激走があってもおかしくない。
今村騎手は自厩舎のハギノメーテル(牝4歳、栗東・寺島良厩舎)と5度目のコンビ。これまでダートで2勝、芝で1勝を挙げている二刀流で、3走前には障害レースにも出走した。馬場問わずこの馬の勝ちパターンは4角を先頭で迎えた時で、その戦績は3戦3勝。一方、4角2番手以下の時は7戦して「0-0-1-6」なので、勝つために今村騎手が採る戦法は逃げの手しかないだろう。
この他にも前走2勝クラスを勝ち上がったドゥラメンテ産駒の2頭も虎視眈々。ゴールドエクリプス(牝4歳、栗東・大久保龍志厩舎)は、昇級3戦目の前走紫野特別を初コンビ・岩田望来騎手が勝利に導いた。引き続き同騎手が手綱を取る。同じく2勝クラスを突破したての関東馬サンカルパ(牝4歳、美浦・田中博康厩舎)は、先月下旬に栗東へ移動済みで、滞在効果が期待される。
今年のマーメイドSは、ビッグリボンやウインマイティーを中心とした実績馬がその実力を発揮するのか、それとも軽斤量の格下馬がハンデ差を生かすのか。注目の一戦は18日、15時35分に発走を迎える。
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