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武豊「まだまだやれる感じ」完璧騎乗で重賞7勝目!C.ルメール、川田将雅に迫る勝ち星量産…衰え見せない名手の読みズバリ

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武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 6日の札幌競馬場で行われたエルムS(G3)は、武豊騎手の騎乗したセキフウ(牡4、栗東・武幸四郎厩舎)が粘り込みを図るワールドタキオンを差し切って優勝。鞍上の武豊騎手にとっても、1997年バトルライン以来となる26年ぶりのエルムS勝利となった。

 北の大地でレジェンドが熟練の手綱捌きを炸裂させた。

 ペプチドナイルの“三冠リーチ”で注目を集めた“北海道ダート三冠”を形成する大沼S(L)2着、マリーンS(OP)3着を挟んだラスト一冠で逆転勝利だ。

 過去10年でエルムS優勝馬は、前走マリーンS組が5年連続勝利と相性の良さを誇っていたが今年も勝利を飾り、これで6連勝。6番人気と侮られたものの、昨年のサウジダービー(G3)で2着に入った実力を証明した。

「強かったです。揉まれ弱いところがあると思っていて、最後は外に出したいというのが大きなテーマでした。前が速くなりそうなメンバーだったのでマイペースで行こうと思っていました。いい脚を使ってくれましたし、今日の感じならまだまだやれるのではないでしょうか」

 会心のレースをそう振り返った武豊騎手だが、「マイペース」と評したレジェンドの冷静なペース判断が功を奏した。

衰え見せない名手の読みズバリ

 14頭立てダート1700mの一戦。タイセイサムソンがハナを奪い、ワールドタキオンが2番手に付ける展開。逃げると見られていたペプチドナイルは、騎乗した富田暁騎手に初重賞勝ちのプレッシャーもあったのか一列後ろにつけた。セキフウは先団から少し離れた後方2番手からの追走。1頭ポツンと置いていかれたロードブレスを除けば、実質最後方といえる位置取りだった。

 しかし、ここからが名手の腕の見せどころ。1000m過ぎから徐々に進出して最終コーナーでは団子状態になった先行勢の外につける絶好のポジション。直線で他馬が止まって見える末脚を引き出し、しぶとく抵抗するワールドタキオンを半馬身差でねじ伏せての差し切り勝ちを決めた。

「不良のダートで時計の出やすい状態でしたが、武豊騎手の読み通りに先行争いが激化している様子を見て、後ろの馬に絶好の展開でしたね。道中の折り合いも十分でスルスルと上がっていくセキフウの姿を見て、完全復調も感じられました。

意外にもペプチドナイルが逃げませんでしたが、もし強引に逃げていたとしてもハナ争いが激化するだけで、おそらくセキフウが勝利していたでしょう。揉まれ弱さのあるパートナーを馬群から離して伸び伸びと走らせた武豊騎手の好騎乗でした」(競馬記者)

 春先に調子を落としたセキフウだが、ただ1頭59キロを背負った大沼Sで2着に入り、マリーンSでも見せ場十分の3着と、復調をアピールするには十分な好走を演じていた。元々の評価の高さを思えば、6番人気はバカにされ過ぎた感すらある。

 ただ、馬の調子が良くても、それを導く鞍上が能力を引き出してくれてこそ。今年好調なレジェンドとのタッグもピタリとハマったのだろう。

 実際、エルムSで今年7度目の重賞制覇となった武豊騎手だが、8月が始まった段階で年間を通じて3勝だった昨年を大幅に上回る勝利数であり、10勝でトップのC.ルメール騎手、8勝で2位の川田将雅騎手に次ぐ3位。ここ数年で最速の重賞勝ち量産ペースだ。

■武豊騎手の重賞勝ち

シンザン記念(G3)ライトクオンタム
京都記念(G2)ドウデュース
チューリップ賞(G2)モズメイメイ
大阪杯(G1)ジャックドール
アーリントンC(G3)オオバンブルマイ
葵S(G3)モズメイメイ
エルムS(G3)セキフウ

 この日のセキフウの復活勝利を「今日の感じなら、まだまだやれそうな感じ」と評したレジェンドだが、54歳にしてなおトップジョッキーであり続けている自身にも通じるコメントである。

 この日の札幌では、ドゥラメンテ産駒の評判馬ガイアメンテとの出会いもあった。さらに秋には、現役最強馬イクイノックスを脅かす最右翼ドウデュースの戦列復帰も待っている。キタサンブラックとのコンビで話題を独占した2017年以来の重賞二桁勝利も現実味を帯びてきた。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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