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最強AI予想が「競馬を支配する日」は永遠に来ない!? 全レース、単勝も馬単も3連単も1点で的中出来るパーフェクトAIのジレンマ【徒然なる神のくず競馬トーク】

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最強AI予想が「競馬を支配する日」は永遠に来ない!? 全レース、単勝も馬単も3連単も1点で的中出来るパーフェクトAIのジレンマ【徒然なる神のくず競馬トーク】の画像1

「ターミネーター」

 私は密かなる将棋ファンだったりします。アプリで対局を観ながら次の一手を予想したり、藤井七冠の手に驚いたりしているのですが、将棋の対局を観ている時の一つの楽しみがAIの評価値なんですね。

 賛否あると思いますが、AIの評価値とAI推奨の次の手が見れた方が、我々素人にはわかりやすくて面白い。良くも悪くも最早AIは人間を超えていて、人間はAIに全く勝てないのです。AI推奨の最善手を打てるかどうか?「おお!打った!」みたいな楽しみ方になっているんですね。

 少し悲しい気もしますが、それは仕方ないことだし、新しい楽しみ方も生まれているわけで、悪いことばかりではありません。しかし、とんでもない時代が来たものですよ、本当に。来たというか、おそらく始まりに過ぎないのでしょう。怖いような楽しみなような、ですね。

 さて、ここで私が問題にしたいのは、競馬にも随分前からAI予想というのが出て来てますよね? 今はまだ将棋のAIほど、明らかに人間を超えているというAIはないように思えます。これが今後出て来るのだろうか?って事なんですけども……。

 結論から言うと出て来ないと思います。というか、出て来たら競馬は終わります(笑)。

 何故終わるのか?の前に、まず今のAIの弱点、ここだけは人間に明らかに劣るという点を述べておきましょう。これは、とにもかくにも実際に目で見て情報を得ることは出来ないってことですね。

 例えば過去のレース映像には、新聞には載っていない情報が詰まっています。これを見れないのは大きなハンデで、それだけで相当に不利です。パドックも見れませんし、調教も見れませんし、一夏超えての成長なども見れません。そのかわり、圧倒的な情報処理能力、計算能力でAIは戦っているわけですが……。

 血統面のデータ収集、ラップなどの時計面、新聞の馬柱からの情報の読み取り、更には期待値の計算など。他にもあるでしょうけど、これらの面はもはや人間はAIに遥かに及ばないでしょう。今後も差は広がるばかりです。しかし、実際にいろいろなものを目で見ることが出来ない限りは、おそらく人間を超えることは出来ないのではないか?と。そう思うんですよね。

 いや、間違えた。私が言いたいのは、そういうことではなくてですねえ。極論から話しましょう。

 では、ターミネーターのように目も見えると。レースもちゃんと観れるAIが生まれたとしましょう。これはもう人間など、まるっきり太刀打ち出来ません。的中率という観点ではAIの圧勝ですわな。間違いなく。

 もし仮に!全レース、単勝も馬単も3連単も1点で的中出来るパーフェクトAIが誕生したとしましょう。しかし、もしもこんなAIが生まれて世に出たら、競馬は成立せずに終わりなのです。競馬はパリミチュエル方式なので、このターミネーターに全員が乗っかって、全ての配当が1.0倍になりギャンブルが成立しない、誰も馬券を買わなくなって競馬は終了するわけです(笑)。

 まあ、さすがにそんな競馬ターミネーターが誕生することはないでしょう。誕生したとしても、全レースを1点で毎回必ず的中するというのは、このターミネーターを持ってしても不可能です。それほど競馬は偶発的な要素が大きいですからね。その偶発的要素まで予想出来るのはもはや神ですから、そんなことを考えても仕方ありません。

 話を戻しまして、結局のところいろいろと予想して的中率を上げたとしても、最後は期待値も計算しなければプラスにはならないわけですよね。パリミチュエル方式とはそういうものです。ちなみに期待値というのは、単勝を例に簡単に説明すると、2回に1回は勝つ馬のオッズが3倍つくみたいなことです。

 競馬で勝つということはそれが全てで、誰もがそういう馬を探しています。期待値を意識せず(オッズを見ない人とか)に馬券でトータル勝っている人がいたとしても、それは結局期待値がプラスの馬を選び続けられている人だということに変わりはありません。

 これは競馬の鉄則で、競馬は勝つ確率が最も高い馬を当てるゲームではないのです。この法則からはAIも逃れられません。今のAIだって期待値も計算して予想しています。では、ものすごく回収率(的中率ではない)の高いスペシャルAIが出来上がったとして、それが世に広まったとしましょう。そうすると、どうなるか?

 はい。まず全員ではありませんが、AIに乗っかって買う人間がものすごく増えるので、オッズが激下がりして期待値も激下がりします。10倍あったオッズが2〜3倍になったりしそうです。こりゃ大変なことです。最初の予想の時点では期待値の高い「買うべきだった馬」が、期待値の低い「買ってはいけない馬」に変わってしまうわけです。これでは流石に、世に広まる前は余裕で回収率100%を超えていたAIも、100%を切ってしまうんじゃないですかねえ。

 何ということでしょう。つまり、競馬というギャンブルの特性上、AIが天下を獲る日は来ないということになります。みんながAIに乗っかって期待値が下がってしまった馬を切って、逆にAIのおかげで期待値が上がった馬を買うべきだ!となりますから。

 あ、このAIはターミネーターではありませんからね。毎回勝つ馬がわかっているわけではありません。あくまでも期待値の高い馬や馬券を、高精度で見抜くAIです。このAIが優秀であればあるほど皆が乗っかって来てしまい、期待値が下がり、トータル収支では回収率100%を切るダメAIになってしまうのです。何というジレンマか(笑)。優秀であればあるほど、ですからね。

 え〜と、長くなりました(笑)。

 つまり、ものすごく高性能のAIが出来る可能性はあります。しかし、それが世に出てしまうと終わりってことです。計算のやり直しです。そのAIの予想で大きく変動した期待値をまた計算し直さなければいけません。

 ああ、だから締め切り10秒前くらいに予想を出すAIなら最強かもしれませんね。30秒前に出されても誰も乗っかれませんけどね。誰も乗っかれない時間じゃなきゃ、成立しないって事ですね。

 まとめましょう。ものすごく高性能のAIが出来たとしても、それは実際世に出てしまったら機能しなくなります。なので、ものすごく高性能のAIを「隠し持つ」人ならば!それならば出て来ても不思議ではないのではないでしょうか。

 ただ、私はターミネーターを隠し待ちたい……いや、隠し持つというか、ターミネーターになりたいです。ええ。ではまた。

キャプテン渡辺

キャプテン渡辺

お笑い芸人。1975年10月20日生まれ、静岡県静岡市出身。A型。放送芸術学院卒業。2005年にお笑いトリオ・キラッキラーズを結成。現在はピン芸人として活躍中。土曜の競馬中継「ウイニング競馬」(テレビ東京)レギュラー。競馬予想術の粋を集めた自著「神の馬券術」(KADOKAWA)が好評発売中

【YouTube】くず競馬チャンネル

Twitter:@captain1975

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