団野大成「重賞4勝」でもレースレベルに疑問あり?近年のスプリンターズSと好相性の北九州記念組、終わってみれば「拍子抜け」だったワケ
今夏最大の注目を集めた札幌記念(G2)が行われた20日、小倉競馬場では秋のスプリンターズS(G1、10月1日・中山)を見据えるメンバーの揃った北九州記念(G3)が開催された。
スピード自慢たちが覇を競った注目の一戦を制したのは、団野大成騎手が騎乗した5番人気ジャスパークローネ(牡4、栗東・森秀行厩舎)だ。
前走のCBC賞(G3)も団野騎手とのコンビ。7番人気の伏兵を積極的なポジション取りで連勝に導いた若手の有望株の手腕も光った。この勝利で今年の重賞4勝目を挙げた団野騎手だが、4勝中3勝が芝1200mのレース。初G1を手にした高松宮記念(G1)もスプリント戦だったように、短距離戦で頼りになる騎手としても注目の存在だろう。
フルゲート18頭立ての芝1200m戦。外目の7枠15番から好スタートを決めたジャスパークローネは、団野騎手が押して押して1馬身ほどのリードでハナを奪うことに成功。これに52.0キロの軽量を生かしたスティクス、今村聖奈騎手のテイエムスパーダ、武豊騎手から松若風馬騎手へと乗り替わったモズメイメイが追いかける展開となった。
懸命に追い上げを図る後続を尻目にジャスパークローネの脚色は一向に衰えないまま、最終コーナーを迎え、脚の鈍った先行勢が止まったところを、中団から末脚を伸ばしたママコチャとストーンリッジが交わして、それぞれ2着と3着に入った一方で、2戦連続で逃げ切り勝ちを収めたジャスパークローネのスピードが際立った。
「今日はジャスパークローネが一番速いと信じていました」と振り返った団野騎手。「気分良く行かせた方が持ち味が活きる馬」「ペースは気にせず馬とのコンタクトだけを意識していました」とパートナーの持ち味を把握していたからこそ出たコメントだった。
近年の北九州記念組は、昨年17着に惨敗したジャンダルムが、8番人気の低評価を覆してスプリンターズSを制し、2020年に10番人気で3着に入ったアウィルアウェイが、本番でも10番人気で3着、19年の4着馬モズスーパーフレアも3番人気で2着と相性の良さを誇っている。
伏兵馬が勝ったからといって、ただのフロックと考えては痛い目を見る可能性が高いかもしれない。
ただ、勝ちタイム1分7秒3(良馬場)に関しては、レースレベルに疑問を残す時計だったようにも感じる。
「実は前日土曜の小倉メイン・佐世保S(3勝クラス)の勝ちタイムが北九州記念よりも速かったんです。同じ芝1200m戦ということもあって注目していましたが、勝ち馬のメイショウゲンセンは、1分7秒1で駆け抜けていたんです。
メンバーや展開が異なるため、単純な比較は不可能ですが、共通点はメイショウもジャスパーもどちらも逃げ切り勝ちだったことです。両馬の斤量も1キロしか変わらないですから、実質同等のパフォーマンスだったともいえそうですよ」(競馬記者)
確かにG3に比べてメンバーが劣る3勝クラスのレースで1分7秒1が出たなら、北九州記念で1分6秒台が出ても不思議ではない馬場状態だったという見方も可能だ。
特筆すべきは2つのレースにおける前後半のラップ構成。メイショウゲンセンが3F32秒8-34秒3で、ジャスパークローネは32秒9-34秒4と、ちょうど0秒1ずつ後れを取っている。少なくとも額面上では北九州記念の勝ち馬を上回るペースで0秒2の先着を決めていた訳だ。
となると、1分6秒台必至と思われたレースで少々「拍子抜け」する勝ちタイムが出た背景には、「メンバーが弱かった」という可能性も見え隠れする。実際に今年の北九州記念が低レベルだったかどうかは、本番が終わるまで分からないものの、今年の結果に関しては再考の余地がありそうだ。
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