
トップナイフ「正直びっくり」で菊花賞に宣戦布告!強敵相手にパワーとスタミナを証明…それでも気になる「鞍上問題」の行方

20日に札幌競馬場で行われた札幌記念(G2)。G1級の超豪華メンバーで争われた注目のレースは、川田将雅騎手が騎乗したプログノーシスの優勝で幕を閉じた。
昨年の覇者ジャックドールは、大阪杯(G1)で初G1勝利に導いた武豊騎手とのコンビで1番人気に支持されたが、好位から伸びを欠いて6着。騎乗した各騎手が「馬場が悪かった」と振り返った逆境に、百戦錬磨のレジェンドも「今日は力を出せなかった」と悔やむしかなかった。
「特殊な馬場にもなっているので、適性の差も出たのかな」
勝利を振り返った川田騎手も軽くて速い馬場を得意とする馬が多いディープインパクト産駒のパートナーが、パワーとスタミナを要する重い馬場で意外な適性を見せてくれたことは、嬉しい誤算だっただろう。
これに対し、川田騎手以上の手応えを掴んだと考えられるのが、9番人気の評価を覆して2着に激走したトップナイフ(牡3、栗東・昆貢厩舎)の陣営だ。
15頭立てで争われた芝2000mの一戦は、先行争いをしたユニコーンライオンとアフリカンゴールドが飛ばす展開。オーバーペースを追走した組が、勝負どころで次々に脱落していく中、4コーナーで先頭に立つ強気な競馬を試みたトップナイフは、十分過ぎるほどの見せ場を作った。
好結果を残した横山和生騎手が「相手が悪かったです」と敗れた相手に敬意を表した一方で、「ジョッキーが上手く乗ってくれました。正直びっくりしています。ここまでやれると思いませんでした」と興奮を隠せなかったのが、トップナイフを管理する昆調教師。続けて「これで秋が楽しみになった気がします。秋は菊花賞(G1)を目標に考えています」とラスト一冠を視野に入れることを表明した。
牝馬の秋華賞(G1)は春二冠を圧勝したリバティアイランドでやむなしのムードが漂うものの、牡馬は無敗で皐月賞(G1)を快勝したソールオリエンスが、日本ダービー(G1)でタスティエーラの軍門に下ったこともあり、まだまだ混戦模様。過去にも夏場に力をつけた上がり馬が既存の勢力図に一石を投じた例は多くある。
2歳時にホープフルS(G1)で2着に入ったトップナイフを上がり馬と評する違和感はあるものの、春のクラシックで皐月賞(9番人気7着)や日本ダービー(10番人気14着)の成績だったことを考えると、トップクラスの古馬相手に地力強化の窺えた好走劇ではなかったか。
気になる「鞍上問題」の行方は…
「ジャックドールのすぐ後ろから徐々にポジションを押し上げて、最終コーナーで先頭に躍り出たときには、このまま押し切るかにも見えた好内容でした。着差こそ4馬身と離されましたが、ソーヴァリアントやダノンベルーガにヒシイグアスと古馬のトップクラスに先着したのだから価値があります。
先行勢が崩れた激流を自分から勝ちに行っての2着は、スタミナの裏付けがなければ出来ない芸当です。この強気な乗り方も陣営に菊花賞を意識させるには、十分だったといえますね。それでも気になるのは、本番で誰が乗るのかでしょう。もしかしたらちょっとした鞍上問題に発展する可能性も出てきそうです」(競馬記者)
というのも、横山和騎手にはダービーで4着に好走したベラジオオペラというパートナーがおり、既に陣営から菊花賞への参戦が発表済みだ。過去に横山武史騎手が2度騎乗しているが、ソールオリエンスが菊花賞に向かうようなら再コンビは見込み薄。だとすれば横山和騎手に再び声の掛かる可能性が高くなる。

そうなると、必然的に名前が挙がるのは父の横山典弘騎手。札幌記念ではマテンロウレオに騎乗していたが、和生騎手の前に7戦連続でトップナイフに跨っていた。関東の名手が関西を拠点に活躍しているのは、熱心なバックアップをしてくれる昆調教師の存在があってのもの。長距離戦で無類の巧さを見せる横山典騎手の再登板はあり得る話だ。
札幌記念をステップに菊花賞を好走した2002年のファストタテヤマ(16番人気2着)や16年のレインボーライン(9番人気2着)といった例もある。
現時点で誰が乗るかはまだ分からないが、トップナイフは今回の激走により、一気に菊花賞馬候補として注目を集めるはず。父のデクラレーションオブウォーは、日本語で「宣戦布告」という意味。逆襲を予告するには、まさに打ってつけの名前だ。
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