
C.ルメールVS武豊が「因縁」の有馬記念(G1)で激突!? ディープインパクト、キタサンブラックで苦杯をなめたレジェンドの三度目の正直

JRAの夏競馬も残すところ、あと2週。9月9日からは秋の中山・阪神開催がスタートする。徐々に近づいてきた秋のG1シーズンに向けて、有力馬の動向が各所から聞こえてくる時期となってきた。
23日には、昨年の日本ダービー(G1)を制したドウデュースの陣営が9月上旬を目処に栗東に帰厩して天皇賞・秋(G1)を目指す予定であることを発表した。
『日刊スポーツ』の取材によると、管理する友道康夫調教師は「天皇賞・秋からジャパンC(G1)、有馬記念(G1)と行きたい」と語っており、“秋の古馬三冠”も視野に入れて進めていく方針を示しているという。
1981年にジャパンCが創設され、1984年から天皇賞・秋が芝2000mで行われるようになってから約40年が経った今でも、過去にこの「秋古馬三冠」を成し遂げたのはテイエムオペラオーとゼンノロブロイという2頭だけ。短期間でG1レースを3戦する過酷さや、それに伴う調整の難しさもあり、近年は挑戦する馬自体が多くない。
そんな“絶滅”が危惧されるタイトルに現役屈指の強豪が意欲を見せているとあって、秋に向けた楽しみが自然と膨らむ。加えて、ジャパンCにはダービーでドウデュースに敗れた悔しさを糧に“世界最強馬”へと上り詰めたイクイノックスが参戦を予定していることもあり、この2頭の“再戦”を心待ちにする声が早くも盛り上がりを見せている。
ドウデュースとイクイノックスの対決となれば切っても切り離せないのが、それぞれの主戦である武豊騎手とC.ルメール騎手だろう。両者はこれまでも大舞台で幾度となく名勝負を繰り広げてきた。なかでもこの2人を語るうえで欠かせないレースとなるのが、暮れのグランプリ・有馬記念である。
2005年の冬、武豊騎手はデビューから無傷の7連勝でクラシック三冠を成し遂げたディープインパクトとともに有馬記念に参戦。当然ながら単勝1.3倍の圧倒的支持を集めた中、この怪物を完封してみせたのがルメール騎手とハーツクライだった。

レース後、フランスの名手は「中山は府中とコース形態が違いますから、前で競馬をする形になった。真面目な馬ですから、どのポジションでも十分力を発揮できると感じていました」とコメント。狙い通りの先行押し切りで、日本中に衝撃を与えた。
苦杯をなめた武豊騎手は1年後の有馬記念をディープインパクトとともに制するのだが、その後は厳しい戦いが続いてしまう。その中で転機となったのが、2016年のキタサンブラックとの出会いだ。
天皇賞・春(G1)とジャパンCを制し、勢いに乗って臨んだ暮れの大一番。直線先頭からラチ沿いを抜け出しかけたところに、外からしぶとく伸びてきたのがルメール騎手とサトノダイヤモンドだった。
10年ぶりとなる有馬記念の勝利をクビ差で逃しただけでなく、勝たれた相手はあのハーツクライ以来の有馬記念制覇となるルメール騎手。それもディープインパクト産駒とのコンビという、まるで競馬の神様のいたずらのような結末が大きな話題となった。
そして迎えた2023年。現実味を帯びてきた頂上決戦の“第3章”は、このまま順調に行けば武豊騎手がハーツクライ産駒のドウデュースとともに、ルメール騎手が騎乗するキタサンブラック産駒のイクイノックスの連覇阻止に挑むという構図となる。
7年前と同じように、自身と縁の深い馬の産駒に跨ったルメール騎手に目の前で優勝をさらわれるようなことは避けたいところ。18年前に自身の前に立ちはだかった因縁の相手の仔とともに、苦い記憶を払しょくすることができるのか。実現すれば、両者の歴史が複雑に絡み合うドリームレースとなる。
これから下半期の主役の座を争うことが予想される2人は、人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)のリリース2.5周年を記念したテレビCMに出演することも24日に発表された。
お披露目された新CM「It’s Show Time」には作品のキャラクターは一切登場せず、タキシードに身を包んだ武豊騎手とルメール騎手が華麗なタップダンスを披露し続けるというもの。まさかの形での競演が大きな話題となった。
さらに『ウマ娘』関連では、テレビアニメの第3期となる『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』が10月から放映されることがすでに決まっており、その主人公となるのがキタサンブラックとサトノダイヤモンド。こうした流れも手伝って、「武豊vs.ルメール」のライバル関係はより一層注目を浴びることが予想される。
武豊騎手&ドウデュースによる史上3頭目となる秋古馬三冠の偉業が現実のものとなるのか、はたまたフランスの名手が歴史を再現するようにレジェンドの前に立ちはだかるのか。まずはドウデュースとイクイノックスの激突が無事に見られることを祈りつつ、手綱を取る2人の戦いを楽しみに見守りたい。
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