【スプリンターズS(G1)】浜中俊ナムラクレアと狙う父のリベンジ! 物議を醸したG1勝利で「この世の終わり」も経験…恩返しのカギは「6戦全敗」の苦手条件
10月1日に行われるスプリンターズS(G1)。1番人気に推されることが濃厚なのがナムラクレア(牝4歳、栗東・長谷川浩大厩舎)である。
ここまでキャリア14戦5勝、うちスプリント重賞4勝の実績を持つ実力馬だ。今春の高松宮記念(G1)でも僅差の2着に入り、前哨戦のキーンランドC(G3)を横綱相撲で完勝している現役屈指のスプリンターなのだから当然だろう。
前走後の調整も順調そのもののようだ。27日の最終追い切りは栗東の坂路コースで4F53秒4-11秒7と軽やかに駆け上がった。管理する長谷川調教師は「芯が入った走りをしてくれた。いい状態でレースを迎えられる」と評しており、状態面は文句なさそう。初G1のタイトルはもう目の前まで迫っているといえそうだ。
また同馬の主戦・浜中俊騎手も、今年のスプリンターズSは力の入る一戦となる。
昨年もナムラクレアとのコンビで同レースに挑んだが、外々を回らされて5着。2番人気の期待を裏切ってしまった。ただ敗れた他の騎手も「内と外の差が少し出た感じ」「インが強く、枠や展開に左右された」「極端にインが有利」と指摘するコメントを残していたことから察しがつくように、内に進路を取った馬たちが上位4着までを占めた。そういった意味では、5枠9番からスタートした人馬にとっては少々運がなかったともいえる。
実際に浜中騎手も『中日スポーツ』で連載している自身のコラムに「昨年は内有利の馬場になってしまった」と敗因を記している。先週の中山競馬に参戦する際に「しっかり馬場の状態を把握できれば」ともつづっているだけに、昨年のリベンジを期待してもよさそうだ。
なお浜中騎手は、ナムラクレアの父ミッキーアイルの主戦も務めていたことでも知られている。本馬とのコンビでG1・2勝を含め重賞5勝と華々しい成績を残している。
ただ、2016年のマイルCS(G1)ではゴール前で外側に大きく斜行し、複数の馬の進路を妨害するなど物議を醸したことを覚えているファンもいるだろう。
辛くも降着とはならなかったが、浜中騎手には23日間の騎乗停止という重い処分が下された。レース後の同騎手は「すべて自分の責任です」と話し、表彰式では藤岡佑介騎手いわく「この世の終わり」のような顔さえしていたらしい。そんな苦楽を共にしてきたミッキーアイルは、浜中騎手にとっても思い入れの強いパートナーだったのではないか。
引退後は種牡馬として活躍しているミッキーアイルだが、まだ産駒にG1のタイトルはない。それだけに浜中騎手としてもミッキーアイルに少しでも恩返しがしたいところである。
恩返しのカギは「6戦全敗」の苦手条件
だが、そんなナムラクレアと浜中騎手の前に思わぬ壁となって立ちはだかりそうなのが、ミッキーアイルの種牡馬としての成績である。
というのもミッキーアイル産駒は中山・芝でこれまで【3-5-2-57/67】勝率4.5%、連対率11.9%。勝率・連対率ともうひとつの成績。これはJRAが開催する全国10カ所の競馬場で下から2番目だけに、相性がいい条件とはいえなさそうだ。ちなみに最も成績がいいのは阪神・芝で【17-7-7-89/120】勝率14.2%、連対率20.0%となっている。
なおミッキーアイル産駒は中山・芝で1番人気だと6戦全敗。1番人気濃厚のナムラクレアはこの不吉な数字を覆せるかどうかも戴冠へのカギとなってくるだろう。
「ミッキーアイル自身は現役時代、中山競馬場で3戦1勝。スプリンターズSでも2着に入るなどまずまずの成績を残していただけに、産駒があまり芳しくないのは意外ですね。
ただ先週、同産駒のランドオブラヴがスプリンターズSと同じ中山・1200mの舞台で勝利を挙げていたのは前向きになれる材料でしょう。ミッキーアイルは種牡馬入りして今年でまだ4世代目と、サンプル数もまだそこまで多くないわけですから、これからだと思いますよ」(競馬誌ライター)
実はJRAでG1・9勝の浜中騎手も、まだ中山でG1を勝ったことがない。果たしてナムラクレアとのコンビで節目のG1・10勝&初の中山ビッグレース制覇となるだろうか。
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