秋華賞(G1)リバティアイランド敗退の「逆転」候補は? 女王撃破に成功したレッドディザイア、スタニングローズの共通点とは
リバティアイランドが牝馬三冠を達成するのか、それともライバルたちがその偉業を阻むのか。今週末は牝馬三冠最終戦、注目の第28回・秋華賞(G1)である。
阪神ジュベナイルF(G1)、桜花賞(G1)、オークス(G1)と3連勝中のリバティアイランドが圧倒的な人気に推される中、ライバル陣営も一生に一度のチャンスで逆転を狙っている。その大一番は3歳を代表する強豪が揃った。
リバティアイランドを筆頭に桜花賞2着コナコースト、オークス2着ハーパー、オークス3着でクイーンS(G3)を勝利したドゥーラ、トライアルの紫苑S(G2)を制したモリアーナ、同2着のヒップホップソウル、同じくトライアルのローズS(G2)を制したマスクトディーヴァ、フラワーC(G3)優勝馬エミュー、3連勝中の上がり馬ピピオラなど。果たしてリバティアイランドの三冠を脅かす馬はいるのだろうか。
世論はリバティアイランドの三冠達成に大きく傾いている。
確かにこれまでのレースを見れば、それは誰もが納得できる。しかし最後まで競馬は何があるかわからないもの。牝馬三冠馬は、エリザベス女王杯(G1)が最終戦だった時代を含め合計6頭いる。メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクト。いずれもその世代を代表する名牝たちだ。
だが、一方で桜花賞とオークスを勝利しながら、エリザベス女王杯や秋華賞を勝てず三冠を逃した馬も少なくない。グレード制が導入された1984年以降では、1987年マックスビューティ、1993年ベガ、秋華賞が誕生してからは2009年ブエナビスタ、2022年スターズオンアースの計4頭だ。
特に秋華賞が三冠最終戦として行われるようになって敗退したブエナビスタとスターズオンアースのレースは参考になる。それらを踏まえ、今年の秋華賞でリバティアイランドが三冠を逃した場合、最後の一冠を制するのはどの馬か検証してみた。
リバティアイランド敗退の「逆転」候補は?
まず京都内回り2000mはトリッキーなコース。展開や枠、位置取りや状態、騎手の判断ミスなど様々な要因が重なることで、力関係が結果として逆転することがある。三冠を達成できなかったブエナビスタやスターズオンアースは、まさにそういったケースだろう。そういった要因が重なってリバティアイランドが敗退する場合、勝つのはトライアルを制して勢いに乗る馬でも夏の上がり馬でもなく、単純に能力の高い実績馬である。
つまり最も格付けの高い春のG1レース、すなわち桜花賞2着のコナコースト、そしてオークス2着のハーパーの2頭が、リバティアイランドが敗退した場合に勝利する可能性が高いといえるのだ。
まずブエナビスタが負けた秋華賞を振り返ってみると、レースを制したのは、桜花賞とオークスでブエナビスタの2着だったレッドディザイアだ。トライアルのローズSは2着に惜敗したが、見事最後の三冠で勝利を手にしたのだ。
また、スターズオンアースが敗退した秋華賞を勝利したのは、オークス2着のスタニングローズであった。
同馬は桜花賞に出走せずオークスで2着に好走し、トライアルの紫苑Sを勝利して秋華賞でスターズオンアースの追い込みを振り切って勝利している。トライアルを勝利しているとはいえ、オークス2着の実績があることが重要。この年のローズS優勝馬アートハウスが5着に敗退したように、いかにトライアルで好走しても、春のG1レースで実績がなければ勝利は難しいようだ。
このレッドディザイアとスタニングローズに共通していることは、最終コーナーで5番手以内の位置取りに付けていること。逆に敗退したブエナビスタは10番手、スターズオンアースは14番手と後方の位置取りだった。リバティアイランドはスタートに不安があり、陣営もそれを懸念して位置取りを「好位から中団で競馬をするのが理想」とコメントしている。
一方、コナコーストの桜花賞は最終コーナーで2番手の位置取り。最後はリバティアイランドに差し切られたものの、その先行力は魅力。オークスはスタート直後の不利で後方からの競馬になって敗退したが、本来であれば好位から競馬ができるタイプ。鞍上も主戦の鮫島克駿騎手に戻るのはプラスだ。
ハーパーのオークスは最終コーナーで8番手から2着に好走している。だがクイーンC(G3)を勝利したときは最終コーナーで5番手に位置し、またC.ルメール騎手も秋華賞に向けて「前の方で乗りたい。直線が短いので早い動きをしないといけない」と語っており、オークスより積極的な仕掛けをプランニングしている様子。大いにチャンスがあるといっていい。
日本中が注目する大一番。この秋華賞でリバティアイランドが負けるようなことがあれば、勝つのはコナコーストかハーパーだろう。
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