今村聖奈「かつての相棒」が3連勝でG1制覇。初コンビ川田将雅の10馬身圧勝から始まった快進撃に何を思う?
3日、大井競馬場で行われたJBCクラシック(G1)は、4番人気のキングズソード(牡4歳、栗東・寺島良厩舎)が4馬身差で圧勝。3連勝でダート界の頂点に君臨した。
「非常に強かった。(最後に後続を突き放して、1頭だけ)抜けたところが気持ちよかった」
レース後、鞍上のJ.モレイラ騎手が絶賛した通りの圧勝劇だった。好スタートから3番手を確保したキングズソードは、最後の直線入り口こそノットゥルノ、テーオーケインズと横並びだったが、手応えの差は歴然。残り300mで一歩抜けだすと、そこからは後続を大きく突き放してゴールした。
重賞未勝利の上、今回がG1初挑戦という立場だったが、終わってみれば4馬身差の完勝。これには管理する寺島調教師も「驚きの方が大きい」と厩舎初G1の喜びよりも、管理馬の進化に驚いた様子。「兄は6歳、7歳で成長した」と全兄には厩舎に初重賞をプレゼントしたキングズガードがいる血統だけに、これからのダート界に長く王朝を築く存在になるかもしれない。
その一方、この圧勝劇が大きな刺激になったのは今村聖奈騎手かもしれない。
「上手く誘導することができませんでした――」
昨年11月、2勝クラスに出走したキングズソードの鞍上には今村騎手がいた。レースは2番枠を活かして内々の経済コースを回ったが、最後の直線で行き場を失う痛恨の展開……。2着に敗れ「一連の流れの中でスムーズさを欠いてしまった」と悔しい結果に終わった。
忸怩たる思いで挑んだレースだった。前走は1コーナーで不利を受けた馬が下がってきたところを上手くかわし切れずに大きな距離ロス。最後は5着まで追い上げただけに「1コーナーが凄くもったいなかった」と悔いが残る結果に終わっていたからだ。
しかし、結果を出せなかったジョッキーがいつまでも乗っていられるほど競馬の世界は甘くない。キングズソードは今村騎手が所属する寺島厩舎の馬だったが、それでも次走は川田将雅騎手に乗り替わりになってしまった。
あくまで結果論だが、快進撃はここから始まった。川田騎手を新パートナーに迎えたキングズソードは、1か月後の赤穂特別(2勝クラス)を出遅れながらも10馬身差で圧勝。3勝クラスも1戦で突破すると、重賞初挑戦となったアンタレスS(G3)こそ3着に敗れたが、その後3連勝で今回のJBCクラシックを快勝した。
「今村騎手が降板になってから、1年足らずで2勝クラスからG1制覇まで上り詰めたことになります。今村騎手としても、元主戦として思うところがあるかもしれませんが、特筆すべきはキングズソードの成長力と、川田騎手の修正力でしょう。
今村騎手が苦戦していた通り、元々は乗り難しい面のある馬でしたが、川田騎手が乗るようになってから馬が変わってきた印象です。今回は米国遠征のために騎乗できませんでしたが、本人も現地で喜んでいるでしょうね」(競馬記者)
実際に、キングズソードと初コンビを組んだ昨年12月の赤穂特別のレース後、川田騎手が残したのは「かなり難しいところがある」と10馬身差の圧勝劇とは思えない渋いコメントだった。
この勝利から、わずか5戦でG1馬の仲間入りを果たすことになるキングズソードだが、急成長の裏には「これから整えていけば、さらに良い走りができると思います」と話していた新主戦騎手の“教育”も大きな糧になっていたはずだ。
一方、JBC開催の5日前には、地方競馬の公式サービス『SPAT4』と『netkeiba.com』のコラボ企画に登場し「JBCクラシックには寺島厩舎のキングズソードが出走予定なので、応援に行こうと思っています。大井競馬場に行くのは初めてなので、今から楽しみです」と語っていた今村騎手。
果たして、その目にG1馬へ成長したかつての相棒はどう映っただろうか。
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