今村聖奈の「師匠」大ブレイクは必然!? 新王者キングズソード&超新星セラフィックコール、わずか3日間でダート界を席巻した新鋭調教師に流れる名門のDNA

名伯楽のDNAを受け継いだ新鋭厩舎が、いよいよ頭角を現し始めた。5日、京都競馬場で行われたみやこS(G3)は、1番人気のセラフィックコール(牡3歳、栗東・寺島良厩舎)が3馬身差をつけて完勝。これでデビューから負けなしの5連勝となった。
「物凄く良い馬。ずっと勝っているからプレッシャーがありました」
レース後、そう振り返ったM.デムーロ騎手の勝利騎手インタビューは「やっぱ、モノが凄い」「最後も思ったより楽だった」など終始セラフィックコールを褒め称える内容。最後には「ずっと乗せてほしい」と陣営に懇願するなど、相当な手応えを感じているに違いない。
セラフィックコールはこれが重賞初制覇となったが、優先出走権を確保したことで12月のチャンピオンズC(G1)は賞金の心配をせずに出走可能。「オーナーサイドと相談しながら」と陣営は慎重な姿勢を見せているが、参戦が叶えば最有力候補の一角に名を連ねることになりそうだ。
ダート界を席巻した新鋭調教師に流れる名門のDNA
一方、笑いが止まらないのは管理する寺島調教師だろう。
「こんなに上手くいくとは思わなかった」と振り返るこの3日間は、開業8年目で重賞3勝に留まっていた寺島厩舎の名を一気に全国区へ広めたはずだ。
というのも、3日には厩舎の管理馬であるキングズソードがJBCクラシック(G1)を勝って、厩舎に初G1を届けたばかり。そのわずか2日後に、今度は期待の3歳馬セラフィックコールがダート界注目の超新星になったのだから、その知名度はうなぎのぼりだ。
「2016年の9月に、亡くなった田中章博調教師の後を引き継ぐ形で厩舎開業となった寺島調教師ですが、最近は年間30勝前後の勝ち星を安定して挙げているなど、じっくりと実力を磨いてきた印象です。
ただ、その一方で厩舎の出世頭が南部杯(G1)3着などダートの短距離で活躍したキングズガードと、どちらかというと地味な印象でしたが、キングズソードとセラフィックコールの2枚看板ができたことで状況が変わってきそうです。去年、新人王・今村聖奈騎手の師匠として新人騎手育成賞を受賞したことでも有名な方ですが、今後は今村騎手以外のところでも注目される機会が増えるでしょうね」(競馬記者)
また記者曰く、寺島調教師は厩舎開業の頃から、ちょっとした注目を集めていたという。
「実は、寺島調教師には松田国英厩舎で調教助手をしていた経緯があります。松田国厩舎といえば、種牡馬としても大活躍したキングカメハメハやクロフネ、ダービー馬のタニノギムレット、名牝ダイワスカーレットなどを管理した名伯楽として知られていますが、同時に角居勝彦元調教師や友道康夫調教師、高野友和調教師などを指導した人物でもあります。また村山明調教師も所属騎手として“マツクニ厩舎”に関わっていました」(同)
角居元調教師といえば、牝馬ながらにして日本ダービー(G1)を勝ったウオッカや、現在は日本を代表する種牡馬になったエピファネイアなどを手掛けた人物。『東スポ競馬』の連載企画では「あのころは楽しくて仕方がなかった」と松田国厩舎での調教助手時代を振り返っている。
一方の友道調教師は言わずと知れたドウデュースやハーパーを手掛ける現役最高の調教師の一人であり、高野調教師も先月の富士S(G2)を管理馬のナミュールが勝ったばかり。村山調教師はG1・11勝馬コパノリッキーの調教師としても有名だ。
「まだ粗削りですけど、これからが楽しみです」
無敗のまま重賞制覇を飾ったセラフィックコールに改めて期待する寺島調教師は、そんな名門マツクニ厩舎のDNAを受け継ぐ一人というわけだ。もしかすると今回のブレイクは、新たな名伯楽誕生の序章なのかもしれない。
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