M.デムーロ「あの馬はヤバい」は本当だった! 確信ガッツポーズの裏で「ずっと乗りたい」の切実コメント…今度こそ避けたい4年前の非情な降板劇
秋G1の中休みとなった先週末の開催だが、日曜京都のメインレース・みやこS(G3)を快勝したセラフィックコール(牡3、栗東・寺島良厩舎)は、すでにG1級のポテンシャルを感じさせる逸材といえるだろう。
デビューからここまで4戦すべて出遅れていたようにスタートは苦手。今回の勝利で無傷の5連勝を挙げたのだが、もはや“平常運転”といえる5度目の出遅れだった。
しかし、そこは鞍上のM.デムーロ騎手も想定内。過去にB.ムルザバエフ騎手やD.レーン騎手が騎乗した際にも出遅れていたのだから、むしろそれすら個性にすら思える。
16頭立てで争われたダートの1800m戦。ハナを主張したペプチドナイルが逃げ、2番手にアイオライトがつけてペースが流れたこともあり、馬群は縦長の展開となった。出遅れたセラフィックコールは、後方5番手の位置からデムーロ騎手が気合を入れつつ追走。最後の直線を迎えたタイミングでは、先頭と大きな差があったものの、エンジンが掛かってからは抜群の切れを発揮した。
瞬く間に前を行く他馬を飲み込むと、2着メイクアリープに3馬身の差をつけて大楽勝。勝利を確信したデムーロ騎手からゴール前でガッツポーズが出るほど、圧倒的な強さで駆け抜けた。2日前に行われたJBCクラシック(G1)をキングズソードで制した寺島調教師としても、悩ましいライバルの登場かもしれない。
「調教に初めて乗った時からいい馬と感じていました。4コーナーで気合を入れていたらギアが上がってきて瞬発力を見せてくれます。思ったより最後は楽でした。ずっと乗りたい馬です」
戦前にも「この馬はヤバい」「化け物感がある」と惚れ込んだ相手だけに、レースを振り返ったデムーロ騎手が「ずっと乗りたい馬です」というコメントを残したのも納得だ。
ただ、その一方でデムーロ騎手の言葉に切実な願いを感じたファンも、少なからずいたのではないだろうか。
本馬は短期免許で来日していた外国人騎手が不在の間にデムーロ騎手がコンビを組んだ馬でもある。秋に大挙来日が予定されている外国人騎手の存在を思えば、デムーロ騎手とてコンビ続行の確約がある訳ではない。
今度こそ避けたい4年前の非情な降板劇
また、デムーロ騎手は4年前の春にほろ苦い乗り替わりを経験した過去がある。
前年の2018年のホープフルS(G1)をサートゥルナーリアとのコンビで制し、「来年が楽しみです。頑張ります」とクラシック制覇を期待したものの、陣営からは翌年の皐月賞(G1)を前にC.ルメール騎手への乗り替わりが発表された。
結果的に4連勝で朝日杯フューチュリティS(G1)を制したアドマイヤマーズと皐月賞に臨んだが、かつてのパートナーの前に完敗を喫して4着。後にNHKマイルC(G1)、香港マイル(G1)を制した名マイラーだったが、両馬の主戦を任されていたデムーロ騎手だけに、その胸中は複雑だったに違いない。
この件がきっかけとなったのかどうかは定かではないとはいえ、非情にも映った乗り替わり。15年にJRA所属の騎手となって毎年重賞で二桁勝利を手にしていた名手は、19年以降に成績が低迷。5年連続で重賞制覇が二桁に届かない状況に陥っている。
だが、エージェントが替わったこともあってか、最近の流れは決して悪くない。
直前のアクシデントで騎乗できなかったとはいえ、天皇賞・秋(G1)でスターズオンアースに騎乗するチャンスも舞い込んだ。先月の府中牝馬S(G2)を制したディヴィーナも今週末のエリザベス女王杯(G1)で有力候補の1頭に名を連ねている。再び勢いを取り戻したいデムーロ騎手にとって、G1獲りが視野に入るセラフィックコールは欠かせないパートナーとなりそうだ。
PICK UP
Ranking
17:30更新- オーギュストロダン回避で「逆輸入対決」は実現せず…武豊、坂井瑠星に注目集まる凱旋門賞
- 「助手席に誰も乗っていない」「同乗者は制止不可能だった」謎多きJRAの説明…憶測飛び交う角田大河の函館コース侵入
- スピルバーグ、ラブリーデイが最後の勝利…天皇賞・秋の王道ステップに変化
- 「体重超過」大江原比呂が1日でダイエット成功!岩田望来や西村淳也も悩んだ過酷な体重管理
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- サイレンススズカ級は不在!混戦模様の毎日王冠はローシャムパークでもシックスペンスでもない“まさかの激走穴馬”急浮上!
- 【凱旋門賞(G1)展望】地元ソシエ&ルックドゥヴェガ有力も、日本のシンエンペラーに大きなチャンス
- JRA・G1「トレンド継続」で武豊らにチャンス到来!? 秋華賞(G1)有力馬に騎乗する今年G1未勝利ジョッキーは?
- 【シリウスS(G3)展望】フェブラリーS(G1)1番人気の大器オメガギネス登場!
- 横山典弘ピューロマジック「9秒9」超えた稀代の韋駄天? 超速レコード持ち主はデュランダルに大楽勝
関連記事
【エリザベス女王杯】東大式鉄則「“飛び石勝ち馬”の負けた後に乗れ!」アートハウス1着固定で一攫千金勝負!【東大式必勝馬券予想】
今村聖奈の「師匠」大ブレイクは必然!? 新王者キングズソード&超新星セラフィックコール、わずか3日間でダート界を席巻した新鋭調教師に流れる名門のDNA
ノーザンファームに危機。ジェラルディーナ×ムーアは危険?エリザベス女王杯で下剋上を狙う非社台グループの【隠れ穴馬】
M.デムーロ「それで終わりでした」スタート直後に終戦した5年前の秋…悲劇の再現を克服した「息子」がダービー路線に急浮上!
「この時期に開催する意味があるのか」不要論から始まったみやこS(G3)。ダート王トランセンドから無敗の大物セラフィックコールまで、勝ち馬が「結果」で示し続ける存在意義