
元JRA安藤勝己氏の「苦言」乗り越え、取り戻した積極性! ライバル陣営を唸らせた神逃亡劇に大御所も「ペース配分は大したもん」

2日、中山競馬場で行われた芝3600mのステイヤーズS(G2)。大逃げを打った8番人気の伏兵アイアンバローズ(牡6歳、栗東・上村洋行厩舎)と石橋脩騎手のコンビがそのまま押し切り、27戦目にして待望の初重賞タイトルを手にした。
アイアンバローズは1周目3コーナーでアフリカンゴールドを競り落として先頭に立つと、石橋騎手が「ペースを遅くはしたくなかった」と振り返った通り、そのままリードをさらに拡大。後続に大差をつけて2周目のバックストレッチに入る。
2周目3コーナーでは差を詰められたが、最後の直線に入ると再加速。必死で追い上げを図る人気各馬を尻目に、2馬身半差をつけての完勝劇だった。
神逃亡劇に大御所も「ペース配分は大したもん」
8番人気の伏兵がまんまと逃げ切ったことについて、元JRA騎手の安藤勝己氏は自身のSNSに「脩のペース配分は大したもん」「本人もビートブラックで勝った天皇賞春を思い出したんやないかな」と、石橋騎手の積極的なレース運びを絶賛する旨のコメントをポストしている。
また2着に敗れたテーオーロイヤルを管理する岡田稲男調教師は「スローペースであれだけ逃げられては……」と、レース後に悔しさをにじませ、3着マイネルウィルトスの横山武史騎手も「前が止まらなかったことが想定外です」と、アイアンバローズの粘りに脱帽した様子。
さらには4着だったワープスピードの荻野極騎手も「自分からラップを上げる形にすれば良かったです。今日は大事に乗りすぎました」などと、今日のところはアイアンバローズと石橋騎手の巧みな逃げに白旗を上げるしかなかったようだ。
また、石橋騎手とアイアンバローズは一昨年のアルゼンチン共和国杯(G2)で初コンビを結成。同レースは6着に敗れたが、続くステイヤーズSと阪神大賞典(G2)では本馬のスタミナを活かした先行策で2着に好走していた。
その長距離適性も買われてだろう、続く天皇賞・春(G1)では3番人気の支持を集めた。ただ最内枠から好スタートを切ったものの、石橋騎手は5、6番手に控える競馬を選択。末脚比べではやや分が悪い本馬だけに、5着に流れ込むのが精一杯だった。
実はこの積極性を欠いたレースぶりに、当時やや苦言を呈していたのが前出の安藤氏である。
「アイアンバローズはもう一列前で運びたかった。バテないしぶとさが持ち味やから位置取りやね」と、石橋騎手のポジション取りについてSNSに投稿。結果を出せなかった石橋騎手も、アイアンバローズとは次走の宝塚記念(G1)を最後にコンビ解消となっていた。
ただ7戦ぶりにコンビ復活となった今回は、控えた2走前の天皇賞・春とは打って変わる積極的なレース運び。アイアンバローズに念願の初重賞タイトルをプレゼントするとともに、安藤氏からの評価を回復することも成功させたようだ。

レース後、石橋騎手は、最後まで粘り通したパートナーを「よく頑張ってくれた」と称賛。さらに「また騎乗依頼をしてもらえたので、その時には重賞を勝てなかったのですが、勝てて良かったです」と、同馬との久々のコンビで勝てた嬉しい胸の内を語っている。管理する上村調教師によると次走は未定のようだが、順調なら来年の天皇賞・春で面白い存在となるに違いない。
来年40歳を迎える石橋騎手は、これが約1年1ヶ月ぶりの重賞制覇。JRAで約6年間、G1タイトルから遠ざかっているものの、この積極性があればそう遠くないうちに戴冠が見えてきそうだ。
PICK UP
Ranking
17:30更新JRA武豊の意地と河内洋の夢がぶつかりあった7センチ差、「最弱世代」のレッテル貼られるも…エアシャカールの「三冠阻止」したアグネスフライト逝く
世界最強ゴールデンシックスティ「何故」セン馬に? 「産駒が見られないのが残念」の声も知っておきたい香港の競馬事情
武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- お宝馬券がザクザク…2024年の荒れたレース、3連単とWIN5には夢がいっぱい
- JRA競馬中継「視界不良」で16頭立てが“6頭立て”に……「どうやらスタートを切っているようです」という実況で始まった伝説のレース
関連記事
【チャンピオンズC】190万馬券の立役者・原優介「全国デビュー」に嘆きの声!? 12番人気ウィルソンテソーロで豪快追い込みも「ついに原がバレてしまった」
【カペラS(G3)展望】横山典弘から「最年長重賞勝利記録」奪還へ…「熟練コンビ」57歳柴田善臣×8歳リュウノユキナが登場!
【中日新聞杯(G3)展望】「日本ダービー6着」ホウオウビスケッツが始動! パンサラッサの盟友ユニコーンライオンがラストラン
【阪神JF(G1)展望】ボンドガール、コラソンビート、サフィラらに「103頭で1勝」の壁!? 逆転候補はB.ムルザバエフと新コンビのハーツクライ産駒
ディープインパクト×ブラックタイドの「インブリード」は? イクイノックス引退などで今後注目が高まりそうな「全きょうだいクロス」