「武豊復帰戦」でディープインパクト最終世代の素質馬がスランプ脱出!? 元JRA安藤勝己氏も「兆しを見せた」と名指しで評価
16日、中山競馬場で行われた牝馬限定重賞のターコイズS(G3)は、1番人気のフィアスプライドが優勝。ディープインパクト産駒の5歳牝馬が5度目の重賞挑戦で、見事に初タイトルを勝ち取った。
レース後、同馬を管理する国枝栄調教師は「いろいろと流れが良かったですね。使えないかもと思っていたこのレースを使えましたし、ルメール騎手も空いていました」と、全国リーディングの鞍上を手配できたことも勝因の一つに挙げた。
実際に、C.ルメール騎手はスタートにやや難がある同馬と初コンビで好スタートを決めると、絶好位の4番手を確保。先団をすぐ前に見ながらいつでも抜け出せる位置から競馬を進めた。
4角を抜群の手応えで迎えると、スムーズに外へと持ち出し、あとは逃げた8番人気のフィールシンパシーを交わすだけ。直線半ばで先頭に躍り出ると、最後は同馬に1.1/4馬身の差をつけてゴール。同レース3連覇を狙った6番人気のミスニューヨークが3着に入った。
馬券に絡んだ3頭はいずれも4歳以上の馬だったが、5頭いた3歳馬の中で最先着を果たしたのは、4番人気で4着に入ったソーダズリングだった。鞍上の武豊騎手は10月の天皇賞・秋(G1)当日に負傷し戦列を離れていたが、このレースで1か月半ぶりに実戦復帰。54歳のレジェンドが、ブランクを感じさせない好騎乗を披露したのはさすがの一言に尽きるだろう。
そして、そのソーダズリングから3/4馬身差の5着に健闘したのが、同じく3歳馬で14番人気と大きく評価を落としていたライトクオンタム(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)だった。
元JRA安藤勝己氏も名指しで評価
ライトクオンタムは、国内に6頭しかいない2020年生まれのディープインパクト“ラストクロップ”の1頭。今年1月にシンザン記念(G3)をキャリア2戦目で制し、続く桜花賞(G1)ではリバティアイランドに次ぐ2番人気に支持された逸材でもある。
ところが、桜花賞で8着に敗れると、オークス(G1)は距離も長かったか、ブービー17着に惨敗。その後は夏の札幌で開催されたクイーンS(G3)で敢然と古馬に挑んだが、9着に敗れるなど精彩を欠いていた。
ターコイズSでは、主戦の武騎手がソーダズリングに騎乗したため、この日は大野拓弥騎手との初コンビだった。
「桜花賞以降は成績も右肩下がりで、秋華賞(G1)にも出走せず。得意とする寒い時期までじっくりと間隔を空けて臨んだのが今回のターコイズSでした。直近の2走(オークス、クイーンS)はハナを切っていましたが、今回は出たなりの競馬で、勝ち馬のすぐ後ろを追走する形。4角でやや手応えが怪しくなったようにも見えましたが、最後は中山の急坂もものともせずしぶとく伸びていましたよ。
レース後には元JRA騎手の安藤勝己氏が自身のXに『マイルに戻って兆しを見せたのはライトクオンタム』とポストし、5着馬の健闘を名指しで称えていました。桜花賞以降に迷い込んだ長いトンネルからようやく脱出するきっかけを掴めたのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
武幸調教師と武騎手の“兄弟コンビ”で今年の桜花賞に挑んだライトクオンタムだが、そのプロフィールは1歳上のウォーターナビレラを連想させる。同馬は昨年の桜花賞で2着したものの、その後は成績が低迷し、オークス以降は8連敗。結局その8戦のうち7戦が二桁着順という不振に陥り、今年9月に引退した。今後は繁殖入りの予定となっている。
ライトクオンタムはそんな先輩と同じような軌跡を辿ろうとしていただけに、今回の好走は明るい兆しといえる。
8か月前は、リバティアイランドの最大のライバルとまで呼ばれたライトクオンタム。“ディープインパクト最終世代”の貴重な素質馬だけに、やはり武騎手とのコンビ復活を待つファンも多いだろう。来年の牝馬マイル路線で上位を賑わす存在になれるか、今後の走りに要注目だ。
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