
デムーロ兄弟と深い関わりを持つ「個性派ジョッキー」が現役生活にピリオド。世紀末の小倉で邂逅から20余年…元JRA藤田伸二氏も労いの言葉
1997年3月にJRA騎手としてデビューし、通算500勝をマークした松田大作騎手が、17日付で騎手免許を取り消したことが分かった。先週末は乗鞍がなかったため、10日の中京10Rに行われた名古屋日刊スポーツ杯(2勝クラス)で騎乗したセグレドスペリオルでの6着が最後のレースとなった。
引退の理由について松田騎手は「騎乗馬を思うように動かせなくなってきた」「年齢を重ねて体重の調整が難しくなってきたこと、またシンプルに騎乗依頼が減ってきたことでメンタルを維持できなくなった」など、自身の中でさまざまな葛藤があったことを説明している。
ターフに別れを告げることになった同騎手に対し、兄貴分的な存在であった元JRA騎手の藤田伸二氏はXで「一番大好きだった後輩と聞かれると彼だった…お疲れ様」「騎乗技術はピカイチやったが周りに恵まれなかったな…お疲れ様」と労いのポスト。
また一時期、一緒にトレーニングジムに通っていたという小牧太騎手も『netkeiba.com』で連載しているコラム『太論』の中で「数を乗れんようになると、苦しい汗取りに意味を見出せなくなるからね」と、引退理由に一定の理解を示している。
現役生活27年、45歳の松田騎手は、14番人気のタガノアザガルに騎乗した2015年のファルコンS(G3)で初重賞制覇。同年8月のクイーンS(G3)でも7番人気の伏兵メイショウスザンナでC.ルメール騎手の1番人気を下し勝利を飾るなど、どちらかといえば記録よりも記憶に残る個性派ジョッキーだった。
そんな松田騎手と親交の深かった騎手仲間として知られるのが、同い年のM.デムーロ騎手である。
世紀末の小倉で邂逅
M.デムーロ騎手は1999年末に短期免許で初来日。松田騎手は小倉の調整ルームでマネージャーからM.デムーロ騎手を紹介されると、すぐに互いの部屋を行き交うようになるなど意気投合。M.デムーロ騎手に日本語を教えたのも松田騎手だそうで、それ以来プライベートでもよく一緒にいる間柄になったとのことだ。

松田騎手が日本で伸び悩んでいた2000年代の前半、イタリアへ武者修行に誘ったのがM.デムーロ騎手である。松田騎手は2011年にも再度イタリアに遠征すると、帰国から2年後の13年にはキャリアハイとなる年間47勝をマーク。またM.デムーロ騎手がJRAの通年免許を受験する際には、松田騎手が相談を受けるなど、2人は公私にわたって絆を深めていったようだ。
また松田騎手と関係が深いのは、M.デムーロ騎手だけではない。同騎手の実弟であるC.デムーロ騎手も松田騎手にはお世話になったようで、短期免許で来日の2012年1月にJRA初勝利を挙げた際には「親しくしてもらっている松田騎手からアドバイスをもらったおかげだと感謝しています」と、松田騎手に感謝の言葉を送っている。
C.デムーロ騎手はそれからJRA・G1を4勝し、世界最高峰の凱旋門賞(G1)でも2勝を挙げるジョッキーにまで成長。兄のM.デムーロ騎手も先週までにJRA通算1274勝をマークしており、2011年にはヴィクトワールピサとのコンビでドバイワールドC(G1)を制している。
いまや日本のみならず世界で名を轟かせているデムーロ兄弟だが、これだけ大活躍するきっかけの1つには、日本で松田騎手と出会えたことも大きかったのではないだろうか。
引退後の進路は明確ではないものの、トレセンに残ることはないという松田騎手。突然の別れになってしまったが、27年間の騎手生活、本当にお疲れさまでしたと言いたい。
PICK UP
Ranking
5:30更新元JRA藤田伸二氏「置いてきぼり」大塚騎手に同情……木村哲也調教師のパワハラ問題に「本人はあまりピンと来てない」
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
【徹底考察】天皇賞・秋(G1) ルージュバック「戴冠へ機は熟したのか……目下の充実ぶりは出走馬No.1も『臨戦過程』に大きな落とし穴?」
- 武豊「爆弾発言」にインタビュアーもタジタジ、今村聖奈ら「6人騎乗停止」で蒸し返されたアンラッキーな被害者
- 【徹底考察】みやこS(G3) ラニ「この馬は間違いなく偉大なチャレンジャーだ。だが、『日本』で本当に強いのか、それとも……」
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 武豊を潰した新人騎手「暴走」に物議!? 連続斜行でレースぶち壊し……未だデビューから1人だけ勝てない「焦り」か
- 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
関連記事
【有馬記念】ソールオリエンス、タスティエーラは買いか消しか?3歳牡馬の世代レベルを確認可能な注目の一戦!
【朝日杯FS】「勝ち馬は強かった」ジャンタルマンタル降板の元主戦は16着大敗もかつての相棒を称賛。もう1頭の「大物」と暮れの中山で鬱憤晴らしへ
【ホープフルS】「女王輩出」サンデーレーシングが送りこむレガレイラ…世代トップクラスの注目馬は牡馬クラシック参戦も視野?
【中山大障害(G1)展望】オジュウチョウサン「ラストラン」から早1年……ニシノデイジーが連覇に挑戦!屈腱炎からスピード復帰の11歳馬にも熱視線
武豊「G1完全制覇」に立ちはだかる強力ライバルたち!エコロヴァルツは先に繋がるレースも…ドウデュースと挑む「叩き良化」に期待大