
【フラワーC】1番人気で敗れるも喝采を浴びた「魔女」の記憶…ホクトベガ、シーザリオなど名牝が制したレースを今年勝つのは?【東大式必勝馬券予想】
東京の桜開花も来週あたりか。今週末は中山、阪神、中京の3場で4重賞が行われる。いつもの枕の小噺は割愛して豪華2本立てで参ります。
まず16日に行われるフラワーC(G3・中山芝1800m)。
関東の3歳牝馬が無理に西下せず将来への足固めをするレース、と言えようか。歴代勝ち馬には日米オークスを制しエピファネイアなど3頭のG1馬を産んだシーザリオを筆頭にホクトベガ、シーキングザパール、ダンスインザムード、キストゥヘヴンら名牝が顔を並べる注目のレースだ。
想い出の1頭はまだオープン特別時代の1974年、5着に敗れたイナリトウザイ。血統表には馬名の頭に「アア」の文字が。アアと言っても無情でもバラ色の珍生でもない。中央競馬では1995年に、地方でも2009年の福山を最後にレースが終了した「アングロアラブ」。戦前戦中は廉価と丈夫さゆえ軍馬として重宝されたが、スピードではサラブレッドに敵わず戦後衰退の一途。それでも1970年代はまだまだJRAでもアラブ重賞があるくらい盛んだった。
イナリトウザイはデビューからアラブ限定で7馬身、大差、8馬身と圧倒の3連勝。4戦目にはサラブレッドに挑戦し楽勝、次走のオープン特別、東北3歳Sでも単勝1.9倍の1番人気に応え5連勝。ここで5着に下したのが後の桜花賞馬タカエノカオリというから恐れ入る。
7戦目で敗れたもののサラブレッドのオープン馬相手に掲示板は外さず最後のJRA出走となったのがこのフラワーC。桜花賞を目指せる実力ながらアラブにはクラシック出走権はなく、アラブの番組が多い地方競馬(大井)に転出することになったのだ。
1番人気に支持されたイナリトウザイは名人・野平祐二を背に逃げまくるが直線で失速、しかし5着と掲示板は確保し満場の喝采の中、中央のターフを去った。大井に転出後もサラ相手の東京盃をレコードタイムで圧勝するなど勝ちまくった「アラブの魔女」をどうか記憶にとどめていただきたい。
2本目は17日の阪神大賞典(G2・阪神芝3000m)。
1987年に3月中旬の開催となって以降は、天皇賞・春(G1)を目指す有力馬が当然のように勝ってゆくレース。2006年、単勝1.1倍のディープインパクトを筆頭に、テイエムオペラオー、連覇のメジロマックイーン、ナリタブライアン、3連覇のゴールドシップら歴史的名馬のオンパレードだが、今回はまだ年末の名物レース時代、1967年ターフに散ったキーストンを書きたい。先々週の拙稿・弥生賞ディープインパクト記念(G2)の続きである。
1965年の日本ダービーを制し、最優秀4歳牡馬(馬齢は当時)に輝いたキーストンは5歳初戦の金杯(京都)は勝利したものの天皇賞・春を5着に敗れ長期休養に入る。翌年1年3か月ぶりの函館オープン2着の後、4連勝と復調。暮れは長時間の旅を嫌い(東名高速はまだなかった)有馬記念でなく地元の阪神大賞典に駒を進める。
5頭立てで1番人気。ダービーで魅せた軽快な逃げ脚で後続を引き離し直線へ。誰もが勝利を確信したゴール前300m、キーストンは突如もんどり打ち騎手の山本正司は宙を飛んでターフに叩きつけられた。キーストンは自身の苦痛をおして山本の元へ……安否を確かめるように鼻面を相棒の胸に押し付ける。山本は意識混濁の中キーストンの顔を抱いた。
この模様はTVで生中継され私も全国の競馬ファンも涙なくして見られなかった。キーストンは安楽死の処置がとられ山本の意識が戻ったのはその後。人馬の愛の史上に残る名シーンとして諸氏も語り継がれたい。
この辺で「東大馬券王の大よそー」に移ろう。
まずフラワーC、ここ10年の勝ち馬10頭中9頭が前走1着で唯一の例外も2着。鉄則「重賞経験馬より1勝クラス勝ち上がり」から前走出遅れながらも2馬身半差快勝のカニキュルを頭に。2(3)着には前走着順は問わず重賞健闘のカンティアーモを推す。
そして「阪神大賞典」の鉄則は「長距離どんとこいのリピーター」。同レース3勝目を狙うディープボンド中心だが、前走・有馬記念(G1)ブービーがいただけない。ズバリ3連単フォーメーションで2(3)着に置き、1着欄にはブローザホーンを厚く、テーオーロイヤル、シルヴァーソニックも。3(2)着は手広くでガッチリ頂こう。
今年も歴史に残る戦いとなるのか?でも悲劇だけはいやだな。全馬元気でゴールに帰還してくれることを祈る。
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