【大阪杯】世間を驚かせた皐月賞馬の主戦降板…そして遅すぎた再会「アルアインの無念」から4年3か月。最後まで感謝を貫いた松山弘平が挑むリベンジの時
初G1を飾ったパートナーと、複雑な別れ
「最後まで、よく頑張ってくれました――」
2019年の有馬記念(G1)。ラストランを終えたアルアインを松山弘平騎手はそう労った。結果は11着。前々走の天皇賞・秋(G1)が14着で、前走のマイルCS(G1)も16着。2017年の皐月賞馬は5歳の12月を迎え、覆し難い衰えが来ていた。
「この舞台に連れてきてくれた馬と関係者に感謝したいです」
開口一番に関係者への感謝を口にできるのは、松山騎手がJRAを代表する人格者と言われる所以だろう。だが、同時に「騎手という職業は、こんなにも厳しいものなのか」と改めて感じたのは、筆者だけではないはずだ。
まさに、前代未聞の乗り替わりだった。2年前の2017年の春、松山騎手とアルアインは皐月賞(G1)を制覇し、クラシックの主役に躍り出た。毎日杯(G3)からコンビを結成しての連勝であり、松山騎手にとってはこれが嬉しいG1初制覇。続く日本ダービー(G1)では敗れはしたものの4番人気で5着。勝ったレイデオロと0.3秒差なら、皐月賞馬の威厳は示したと言えたはずだ。
しかし、アルアインと共に充実の春を終えた松山騎手に悲報は唐突にやってきた。アルアインは秋の始動戦となるセントライト記念(G2)から、C.ルメール騎手と新コンビを組むことが発表されたのだ。
ここから、アルアインと松山騎手の運命は大きく分かれてしまった。ルメール騎手の後、川田将雅騎手、C.デムーロ騎手、北村友一騎手、柴山雄一騎手、R.ムーア騎手と次々と鞍上を替えたアルアインだが、松山騎手の再登板はなし。2年後の大阪杯(G1)では見事な復活勝利を飾ったが、その鞍上にもやはり松山騎手の姿はなかった。
そんなアルアインが松山騎手の元に帰った来たのがコンビ解散から約2年7か月後、引退レースとなった有馬記念だった。結果は先述した通り、単勝160.6倍の15番人気で11着。確かに「頑張った」と言えるかもしれないが、勝ち目があったかと言われれば「正直なかったのでは」と言わざるを得なかった。
それでも松山騎手がレース後「しっかりと好位で競馬できましたし、直線で一瞬は先頭に立てるかと思うくらいの走りでした」と相棒に最大限の賛辞を送ったのは、アルアインが自身初のG1馬だからという理由だけではなかったはずだ。繰り返しになるが、これこそが松山騎手が人格者たる所以である。
そして、あのアルアインの引退から3年5か月が経った昨年の春、松山騎手はまたも世間を驚かせた大きな乗り替わりを経験している。
タスティエーラと松山騎手のコンビは、トライアルの弥生賞ディープインパクト記念(G2)を勝利し、本番の皐月賞でも5番人気で2着するなど3歳クラシック指折の有力コンビだった。
しかし、日本ダービーでタスティエーラの鞍上に松山騎手の姿はなかった。
最後まで感謝を貫いた松山弘平騎手が挑むリベンジの時
ハーツコンチェルトに騎乗した松山騎手は、レース後「よく頑張ってくれました」と3着に善戦した相棒をねぎらったが、「悔しい気持ちでいっぱいです」とも語っている。皮肉にもダービーを制して世代の頂点に立ったのはD.レーン騎手と新コンビを結成した、かつての相棒タスティエーラだった。
そこから約1年後、今週末31日の大阪杯でタスティエーラの手綱が松山騎手の元に戻ってきた。アルアインと最後の戦いに挑んだ2019年の有馬記念と大きく異なる点は、本馬がまだ一線級の力を十分に残している点だろう。
「結果は悔しいの一言に尽きますが、馬は最後まで頑張ってくれました。先々が楽しみです」
上記は、タスティエーラに最後に騎乗した昨年の皐月賞2着後の松山騎手のコメントである。アルアインの時に果たせなかったリベンジを、かつてアルアインが勝った大阪杯で果たす。
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